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Kコンテンツ、作品輸出から“プラットフォーム展開”へ 韓国「TVING」CEOに聞く

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2025-11-11 08:30
Kコンテンツ、作品輸出から“プラットフォーム展開”へ 韓国「TVING」CEOに聞く
TVINGの最高経営責任者(CEO)ジュリー・チョイ氏 (C)ORICON NewS inc.
 韓国の大手メディアグループ CJ ENM を母体とする動画配信(OTT)サービス「TVING(ティービング)」が、ディズニーの公式動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」を通じて日本市場へ参入した。これにより、日本のディズニープラス加入者は追加料金なしで、TVING が制作するドラマやバラエティ番組を日本語字幕付きで視聴できるほか、CJ ENM が手がけるドラマも順次配信される。

【画像】第1弾として配信される韓国ドラマ『親愛なるX』

 TVINGは2020年のサービス開始以来、「カンヌ国際シリーズフェスティバル」や「AACA(Asian Academy Creative Awards)」などで受賞実績を重ね、短期間で存在感を高めてきた。背景には、CJ ENMとドラマ制作会社STUDIO DRAGONが長年にわたり築いてきた知的財産(IP)と制作体制がある。『ミセン -未生-』『応答せよシリーズ』『マイ・ディア・ミスター ~私のおじさん~』『シグナル』など、日本でも評価の高い作品群が、TVINGの基盤となっている。そして、2025 年を「グローバル展開元年」と位置づけ、ディズニープラスとの複数年にわたるコンテンツ提携により、海外初進出を果たした。

 TVINGの最高経営責任者(CEO)ジュリー・チョイ氏は、ディズニープラスとの提携について、CJ ENMとの長年の協力関係が支えとなったと説明する。「私自身が以前ディズニーに所属していたこともあり、相互の信頼関係がすでに築かれていました。今回を契機に、TVINGの作品に加えて、CJ ENMによる優れたコンテンツも選定し、さらに協働を深めていきたいと考えています」と語る。

 最初の進出先に日本を選んだ理由として、同社は三点を挙げた。第一に、日本が米国・中国と並ぶ世界有数のコンテンツ市場であること。第二に、アジア圏において韓国ドラマの受容度が高く、「韓国コンテンツの反応を測る指標となり得る市場」であること。第三に、ディズニーのブランド力がすでに浸透しており、視聴者に円滑にリーチできる点である。

 「日本はコンテンツ市場として非常に大きく、OTT市場としてもまだ伸びしろがあります。特に韓国コンテンツは若い世代を中心に受容度が高い市場です。また、日本の視聴者は良質なコンテンツに対価を払う文化があり、TVING にとって相性の良い市場だと考えています」(チョイ氏)

 日本で成功すれば、アジア、さらにはグローバル展開への波及につながると見ている。これまで韓国コンテンツは、作品ごとに NetflixやDisney+などへ販売するかたちで海外展開が進んできたが、今回はプラットフォームそのものを展開する“プラットフォーム輸出”である点が新しい。ローカルからグローバルへの成長を目指す重要な一歩となる。

 チョイ氏はさらに、TVINGの躍進を支えてきたのは「新しい才能が挑戦できる場を継続して提供してきたこと」だと強調する。「私たちは、経歴よりもストーリーの独創性や、クリエイターが持つ新しい視点を重視してきました。企画を形にすることに継続して投資してきた結果が、今のTVINGにつながっています」。実際に、『酒飲みな都会の女たち』『身代金 狂気の生き残りゲーム』など、TVINGを代表する人気作品の中には、若手監督による初の作品も多い。また、「韓国のコンテンツを日本の視聴者に届けるだけでなく、日本のクリエイターとの共同制作の機会も、今後さらに広がると考えています」と期待を述べた。

 チョイ氏は米ハーバード大学で応用統計学および経済学を学び、ウォルト・ディズニー・コリアなどで戦略要職を経て、23年にTVINGのCEOに就任。韓国OTT業界初の女性トップとして、事業拡大を主導している。

 最後に、リーダーとして大切にしていることについてこう語った。

 「最も大事にしているのは“真心”です。ビジョンに自分が心から共感できているか。作品が本当に人に届くと信じられるか。決断がスタッフにとってプラスになるものか。常に自問しながら意思決定をしています。心からそう思えることが、人を動かし、組織を動かす力になると信じています」

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