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元暴力団や野宿者を支える牧師、食道がん見つかり…“声は絶対になくしたくない” ドキュメンタリー放送

エンタメ
2025-11-28 16:33
元暴力団や野宿者を支える牧師、食道がん見つかり…“声は絶対になくしたくない” ドキュメンタリー放送
28日放送『ザ・ドキュメント 歌いたいんや~西成・メダデの家族とともに~』(C)カンテレ
 関西テレビ(カンテレ)はきょう28日深夜1時15分から、関西ローカルで『ザ・ドキュメント 歌いたいんや~西成・メダデの家族とともに~』を放送する。

【番組カット】西田牧師と出会い…心境が変化した元暴力団員

 野宿者が多く暮らす大阪市西成区に、ひときわ異彩を放つ“メダデ教会”がある。「あんたたち昔、何してたんや。路上でひっくり返って、ゴミと一緒じゃ」容赦ない言葉で信徒たちに説教する、牧師の西田好子さん(75)は、元小学校の教師。野宿者との出会いをきっかけに「はぐれ者たちに希望を」と、60歳で牧師に転身し「メダデ教会」を設立した。

 信徒は元犯罪者や野宿者など、その大半が実の家族と絶縁状態にある人々だ。彼らは親代わりの西田牧師に支えられ、同じマンションで互いに世話を焼きながら、「メダデの家族」として暮らしている。そんな信徒たちの中心人物である安倍政道さんは、元暴力団員。母親の再婚に反発して中学生で家を飛び出し、組同士の抗争で、殺人罪で服役した過去を持つ。

 出所後、公園で偶然耳にした西田牧師の熱い説教に、思わず涙がこぼれたという安倍さん。以来、西田牧師を「姐(ねえ)」と慕い、教会で生き直すことを決意する。安倍さんは、西田牧師に諭され続けるうち、中学2年で家を飛び出して以来、憎しみを抱いていた母親への気持ちに少しずつ変化が。「“おふくろ、ごめんな”と思うようになった」と語る。

 安倍さんを筆頭に、病を抱える信徒たちを病院へ連れて行ったり、叱咤激励したりと献身的に支えてきた西田牧師。だが、そんな彼女を病魔が襲う。ステージ4の食道がんだった。がんは声帯の近くにあり、手術をすれば「牧師としての命である声を失う恐れがある」と宣告される。

 讃美歌や演歌を交えた、全身全霊の説教で信徒たちをはげまし、導いてきた西田牧師。「声がいる、どうしても声がいる」。家族と絶縁し、社会からはみ出した“血のつながらない家族=メダデ教会の信徒たち”を支えるために、自分の“声”は絶対になくしたくないと、悲痛な思いを訴える。

 これまで多くの信徒たちを支えてきた西田牧師が初めて見せた弱さ。教会存続の危機に、彼女を支えようと、“血のつながらない家族=メダデ教会の信徒たち”と、離れて暮らす西田牧師の息子たち、2つの“家族”が動き出す。

 シングルマザーとして2人の息子を育てあげた西田牧師だが、牧師になってからは“メダデの家族”を最優先にしてきた。そんな母親の入院をきっかけに、息子が複雑な本心を明かす。西田牧師は“声”と“命”のどちらを選ぶのか。そして彼女が思い描く“家族のあり方”とは。多様化する現代社会で、新たな家族の形を問いかける。

【コメント】
■ナレーション・キムラ緑子
VTRを拝見して、まず「任侠の世界だな」と感じました。西田さんはまさに“女組長”。彼女自身が、信徒の方々を救うことで自分も救われ、とても幸せそうに見えました。社会の枠からはみ出してしまった、生きにくい人々が出会うべくして出会った。奇妙だけどピュアな世界。ひとつの“宇宙”を築いているように感じました。

■担当ディレクター・菊谷雅美
プライベートでメダデ教会を訪れると、繰り広げられていた光景は、中学校・高校とプロテスタントの学校に通っていた私が知るキリスト教とは全く異なるもの。度肝を抜かれました。怖いもの見たさのような感じで始めた取材でしたが、抜け出せなくなり、気づけば5年という歳月が流れていました。
取材に行くと、必死に生きなければいけないと、自分に喝を入れたくなります。西田さんは周りの目を気にせず、全身で感情を表現する方です。その姿は、時に敵を作りやすい危うさも孕(はら)んでいますが、飾らずすべてをさらけ出すからこそ、強烈な“生”を感じます。当初は、なぜこれほどまでに西田さんに引かれるのか、自分でも分かりませんでした。しかし、彼女は救うことによって救われているんだろうなと感じ、その本気さに、共感する部分が出てきました。タイトルにした『歌いたいんや』という言葉は、まさに彼女の生き様そのものです。血のつながりがなくても、人は家族になることができると思わされました。多様化する社会において、「家族の形」を考えるきっかけになればと思っています。

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