エンタメ
2025-12-01 12:00
アニソン界のレジェンドの一人、奥井雅美が、12月5日放送(金・午後8時)のBS11アニソン番組『Anison Days』に出演する。自らが立ち上げから深く関わってきた世界最大級のアニソンフェス「Animelo Summer Live 2025 “ThanXX!!”(アニサマ)」が記念すべき20回目を迎えたことを受け、その激動の歴史と知られざる舞台裏を赤裸々に語った。番組で繰り広げられた貴重なトークをレポートすると共に、収録直後に行われたオリコンニュースの独占インタビューをお届け。森口博子、酒井ミキオとのセッション、20回目を迎えたアニサマについてどう感じたのか。その舞台裏からアニソン文化の変遷まで語ってもらった。
【動画】アニソンは“世界に誇る文化” 森口博子が語る「Zガンダム」からの想い
■「アニサマ20回目」のアニバーサリー 発起人が抱いた思わぬ感情とコラボ舞台裏
放送開始から9年目に突入した『Anison Days』は、数多くのアーティストを迎え、上質な音楽とトークを届けてきた。なかでも奥井は番組の初回放送や記念すべき節目に幾度となく出演しており、番組にとっても特別な存在の一人だ。
そんな奥井とのトークの話題は、番組MCの森口も出演したアニサマ。今や世界最大級のアニソンフェスとしてファンを熱狂させているが、その立ち上げに奥井が深く関わっていることはファンならずとも知っていることだろう。当時、奥井がレーベルの垣根を越えたアニソンフェス開催をという、関係者の呼びかけに応じたのがきっかけ。今のようにメーカーや事務所を超えて一つになるアニソンフェスが存在しなかった時代、アニメやアニメ音楽に関わる人々が一丸となって盛り上がる場所を創設するため、奥井も奔走。業界のしらがみを抜きにした熱い思いが開催を後押ししたという。
その熱意はファンに届き、第1回は大成功。その後、回を重ねるごとに規模を拡大していき、世界最大級のアニソンフェスへと成長を遂げた。番組とアニサマ、どちらとも縁深い奥井。さらに20回目の今年は全日すべて出演という偉業を成し遂げただけに、自然とアニサマ中心にトークは繰り広げられた。
立ち上げメンバーの一人であり、キャリアも抜群の奥井だが、今回の初日、意外にもオープニングアクトでRoseliaとコラボした際、ちょっとした緊張に支配されていたと明かす。
「彼女たちのファンからブーブー言われたらどうしようって。ちょっと緊張して…」
若い世代のファンに受け入れてもらえるかという不安から、ステージに上がる直前までしゃがみ込んでいたというのだから驚きだ。しかし、ひとたび演奏が始まると、「イントロが始まった瞬間から、もうちゃんとしなきゃみたいな。年上のお姉さんなので」と意識を切り替えたという。レジェンドが語った意外な一面が垣間見られた。
そんな奥井は今回の共演者の中で、特に印象的な出会いとなったのが氷川きよし+KIINA.。リハーサルで奥井が自身のパートを練習していたとき、歌い終えると氷川きよし+KIINA.が「感動しました!」と。その純粋な反応に奥井が「私が作った」と伝えると、「ええーっ!」と驚かれ、その後「先生」と呼ばれるようになったと話し、森口や酒井の笑いを誘っていた。
■森口博子との絆が生んだ感動の『ONENESS』
奥井は番組MC・森口との共演シーンも印象的だったと回想。その頃、森口は足を怪我しており、ステージ上での移動が困難な状況にあった。フィナーレで『ONENESS -20th Anniversary-』を歌う際、ステージの端にいた森口を見た奥井の行動を、森口は「奥井さんの掛け合いがあったのですが、気づいたら奥井さんがセンターから私のところまで駆け寄ってくださっていて……! 感動でウルウルでした」と感謝した。
「本来なら博子ちゃんは真ん中にいるはずなのに。寂しいだろうなと思って歩いて行って、隣で一緒に歌いました」(奥井)
そのエピソードを聞いた酒井が「One for all All for one」と評すると、奥井と森口から「カッコいい!」と言われ、酒井は「有名な言葉で僕が考えたわけではないですけど」と照れ笑いを浮かべていた。
アニサマに3日間連続で出演したことについて、奥井は出演前の心境を「自分の体力が持つかという心配の方が大きかった」と吐露。それでもステージに立てば、観客から送られるエネルギーが彼女を突き動かした、「心は満タンになりましたけど、体が弱りました」とユーモアたっぷりに振り返った。
■節目に出演する奥井、『Anison Days』チームとの揺るぎない信頼”
番組収録後、スタジオの一角で、奥井、森口、酒井の3人にインタビューを実施。リラックスした雰囲気の中、番組やアニソンというジャンルへの熱い想いが語られた。
――収録、お疲れ様でした。ソロとしては久しぶりの出演となりましたが、奥井さんにとって『Anison Days』はどのような場所でしょうか?
【奥井】 いつも楽しい収録をさせていただいています。トークが面白いのはもちろん、何よりこの番組は技術面が本当に素晴らしい。演奏後、毎回チェックするたびに、その時点でのカメラワークが完璧で、「このままでもオンエアできるのでは」と思うクオリティです。来るたびに「すごいな」と感じますし、今回も改めてその素晴らしさを実感しました。
【森口】 そう感じていただけたなら、すごくうれしいです。奥井さんは、番組レギュラー化1回目から出演してくださっていて。奥井さんがゲストに来てくださると、すごく安心感があって、歌声もどこを切り取ってもいつもパワフルでホッとします。世代も近くて、同じ時代を一緒に乗り越えてきた歴史を感じるので、ゲストの方なのに「お任せします」という気持ちで臨めます(笑)。
――信頼を寄せているのですね。
【森口】 はい! プライベートでもお誕生日をお祝いしていただいたり、お寿司を食べに行ったりもして。その時、隣の席にいたカリフォルニアボーイに話しかけられて、「私たち、いくつに見える?」と聞いたら「24歳」って言われて、否定しませんでした(笑)
【酒井】 奥井さん、ソロで5回目、JAM Projectで1回と出演回数は最多に近い方ですよね。ミュージシャン側からしても、奥井さんのパワフルなボーカルは、演奏を力強くグイグイ引っ張ってくれるので安心できます。僕らにとっては、まさに頼れる“姉御”ですね。
【森口】放送400回記念でもご出演いただいていますよね。それはやっぱりスタッフの皆さんも「奥井さんなら!」と安心しているからだと思います。
【奥井】ありがとうございます。
■アニソンの今と昔を語る――深く関わってきた3人だからこそ見せる時代の変化
――アニソンに携わってきたお三方にお聞きします。現在に至るまで、アニソンというジャンルにおいて最も変わったなと感じる点は何でしょうか。
【奥井】 私はもともと松任谷由実さんのバックコーラスなどをやっていて、その後デビューしたのですが当時はアニソンという言葉すらなく、アニメの歌を歌うと言うと、ミュージシャン仲間からちょっと小バカにされるような時代でした。それが今やすごく良い時代になったというか。単純に「長く歌ってきてよかった」と心からそう思います。
【森口】 17歳の頃、『機動戦士Zガンダム』の主題歌「水の星へ愛をこめて」でデビューさせていただいたのですが、同期のアイドルたちにはCDショップに行くと専用ラックがあって。ただ私にはなくて、当時は悔しい思いをたくさんしました。それが今や世界に誇る文化になっている。ファンの皆さんやスタッフの皆さんが育ててくださったおかげで、アニソンは地球の誇らしい「日本の宝」になったと思っています。好きなものを好きだと、誰もが声を大にして言える時代になったことがうれしいです。
【酒井】 昭和の頃は「テレビまんがの歌」と呼ばれていました。ちょっと評論家のように語ってみると、アニメの内容に沿ってヒーローの名前が歌詞に入っている時代があって、その後80年代後半あたりから90年代にかけてタイアップが増えていきました。
その流れで見ると、日本のアニメは“ガラパゴス”的に独自の進化をして、それが世界的には新しかった。コンテンツとして輸出されていったときに音楽もついていき、それに応じてアニソンの“地位”がグイッと上がっていったと思います。そして2000年代に入ると、もはやアニソンというジャンルとは言わず、360度、どんな曲もあって中心にアニメ作品がある。衛星のようにさまざまジャンルの楽曲があるので、ボーダレスとも言えます。
海外では「OTAKU」という言葉がクールな意味で使われるようになり、その価値観が逆輸入されている現在なのかなと。近年は構成が難しい、コードチェンジとか転調がたくさんあるのもまたガラパゴス的な進化をしていて、それがまた海外の人にとっては新しい音楽として受け入れられているのが、アニソンの現状なのかなと解釈しています。
――思わず聞き入ってしまいました。
【森口】 あと変化と言えばテンポが速い。言葉数が多くなって、大人としては毎回覚えるのに大変(苦笑)。もう口が回らなくて、チャレンジ精神というか達成感があるなって。
【酒井】 その面においては「初音ミク」のようなテクノロジーが出てきたがゆえに、そっちに歌わせたら人間も頑張っているみたいになって。その相乗効果でまたテンポが速くなっていくという(笑)。
【森口】 あの小林幸子さんが「ボカロにできて自分にできないことはない」と挑戦されるんですよ! そうしたら後輩の私たちは歌えないとは言えないですよね(笑)。そういうアグレッシブな姿を見ると楽はできないです。
【奥井】 そうだね。
互いへのリスペクトと安心感がひしひしと伝わる濃密なトークだったが、放送ではアニサマの舞台裏エピソードがさらに駆られている。アニソンという文化を愛し、共に戦い、つないできた3人。彼らが織りなす貴重なセッションとトークに期待してほしい。
■アニサマ20回目、創始者が語る“景色”と“原点”
――番組ではアニサマ20回目の話題で大変盛り上がり、奥井さんが立ち上げメンバーの一人であることも語られていました。思い入れのあるアニサマ20回目を、ステージ上で迎えたお気持ちを聞かせてください。
【奥井】 1回目の時はこんなに長く続けられるものになるとは思っていなかったので。スタッフ、出演者はもちろん、アニサマのファンという方を含め、たくさんの人が紡いできてくれたものだと改めて感じました。20回目の今回は、自分の体力、気力を消耗しつつも、すごいなという感動もひとしおで、違った意味で心が満タンになって帰らせていただいたので、すごく素晴らしかったです。
――奥井さんも関わったそうですが、アニサマは立ち上げの経緯を改めて教えてください。
【奥井】 当時、自身のレーベルを立ち上げた頃、「メーカーの垣根を越えたアニソンフェスをやりたい」というお話をいただき、今のようなアニソンフェスがなかったので、ぜひやりましょうと。
――当初はどのような状況だったのでしょうか。
【奥井】 1年目は、まだ業界内でも前例のないイベントだったので、レコード会社さんも「うーん……という感じでした。自分の友人関係を頼って、なんとか出演者を集めました。その1回目が成功を収めたことで、2年目からは業界の見る目が変わり、オファーが殺到するようになりました。
――今年は3日間すべてに出演されましたが、ステージを終えた瞬間の心境を言葉で表すなら?
【奥井】 しょぼくてもいいですか(笑)。ステージを降りた瞬間に最初に思ったのは、「ああ、ちゃんと最後まで声が出てよかった……」』です。特に最後の『ONENESS』を歌ったときは自分のパートを、自分が納得できるクオリティで歌い切ることが最大の目標で、声を残さなきゃと思っていたので、無事にできてホッとしたのが正直な気持ちでした。
――収録中のトークでもお話しされていましたが、森口さんから見て、3日間を駆け抜けた奥井さんの勇姿はどうでしたか。
【森口】 アニサマの立ち上げから関わってこられたアーティストである奥井さんが、今もパワフルな背中を見せてくださる。なかなかできないことですし、その姿を見ると私たち後輩は『よし頑張ろう!』と心から思えます。なんて美しくてカッコいいのだろうという景色を見せてくれる。私たちも熱量あるファンの方との一体感を感じられるアニサマという空間にいさせてもらえる幸せを味わうことができて、奥井さんをはじめ、立ち上げてくださったスタッフさん、紡いでこられた全ての人に感謝しかありません。
――アニソンを歌うアーティストにとってはかけがえのない場所ということですね。
【森口】 あのステージの大歓声で100年は生きていけます。アニサマはアーティストに改めて『存在意義』を与えてくれるし、大げさでなく『生まれてきて良かった』とまで思わせてくれる。その道を築いてくれた奥井さんの存在は、本当に大きいです。(撮影:上岸卓史/取材・文:遠藤政樹)
世界最大のアニソンライブイベント「Animelo Summer Live」をBS11で独占放送!
◆『Animelo Summer Live 2025 “ThanXX!” powered by Anison Days』
2026年1月1日(木・祝) 後1:00~5:30
◆『Anison Days』
BS11 毎週金曜 後8:00~8:30
<出演者>
MC:森口博子 酒井ミキオ ナレーション:駒田航
ゲスト:奥井雅美
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そんな奥井とのトークの話題は、番組MCの森口も出演したアニサマ。今や世界最大級のアニソンフェスとしてファンを熱狂させているが、その立ち上げに奥井が深く関わっていることはファンならずとも知っていることだろう。当時、奥井がレーベルの垣根を越えたアニソンフェス開催をという、関係者の呼びかけに応じたのがきっかけ。今のようにメーカーや事務所を超えて一つになるアニソンフェスが存在しなかった時代、アニメやアニメ音楽に関わる人々が一丸となって盛り上がる場所を創設するため、奥井も奔走。業界のしらがみを抜きにした熱い思いが開催を後押ししたという。
その熱意はファンに届き、第1回は大成功。その後、回を重ねるごとに規模を拡大していき、世界最大級のアニソンフェスへと成長を遂げた。番組とアニサマ、どちらとも縁深い奥井。さらに20回目の今年は全日すべて出演という偉業を成し遂げただけに、自然とアニサマ中心にトークは繰り広げられた。
立ち上げメンバーの一人であり、キャリアも抜群の奥井だが、今回の初日、意外にもオープニングアクトでRoseliaとコラボした際、ちょっとした緊張に支配されていたと明かす。
「彼女たちのファンからブーブー言われたらどうしようって。ちょっと緊張して…」
若い世代のファンに受け入れてもらえるかという不安から、ステージに上がる直前までしゃがみ込んでいたというのだから驚きだ。しかし、ひとたび演奏が始まると、「イントロが始まった瞬間から、もうちゃんとしなきゃみたいな。年上のお姉さんなので」と意識を切り替えたという。レジェンドが語った意外な一面が垣間見られた。
そんな奥井は今回の共演者の中で、特に印象的な出会いとなったのが氷川きよし+KIINA.。リハーサルで奥井が自身のパートを練習していたとき、歌い終えると氷川きよし+KIINA.が「感動しました!」と。その純粋な反応に奥井が「私が作った」と伝えると、「ええーっ!」と驚かれ、その後「先生」と呼ばれるようになったと話し、森口や酒井の笑いを誘っていた。
■森口博子との絆が生んだ感動の『ONENESS』
奥井は番組MC・森口との共演シーンも印象的だったと回想。その頃、森口は足を怪我しており、ステージ上での移動が困難な状況にあった。フィナーレで『ONENESS -20th Anniversary-』を歌う際、ステージの端にいた森口を見た奥井の行動を、森口は「奥井さんの掛け合いがあったのですが、気づいたら奥井さんがセンターから私のところまで駆け寄ってくださっていて……! 感動でウルウルでした」と感謝した。
「本来なら博子ちゃんは真ん中にいるはずなのに。寂しいだろうなと思って歩いて行って、隣で一緒に歌いました」(奥井)
そのエピソードを聞いた酒井が「One for all All for one」と評すると、奥井と森口から「カッコいい!」と言われ、酒井は「有名な言葉で僕が考えたわけではないですけど」と照れ笑いを浮かべていた。
アニサマに3日間連続で出演したことについて、奥井は出演前の心境を「自分の体力が持つかという心配の方が大きかった」と吐露。それでもステージに立てば、観客から送られるエネルギーが彼女を突き動かした、「心は満タンになりましたけど、体が弱りました」とユーモアたっぷりに振り返った。
■節目に出演する奥井、『Anison Days』チームとの揺るぎない信頼”
番組収録後、スタジオの一角で、奥井、森口、酒井の3人にインタビューを実施。リラックスした雰囲気の中、番組やアニソンというジャンルへの熱い想いが語られた。
――収録、お疲れ様でした。ソロとしては久しぶりの出演となりましたが、奥井さんにとって『Anison Days』はどのような場所でしょうか?
【奥井】 いつも楽しい収録をさせていただいています。トークが面白いのはもちろん、何よりこの番組は技術面が本当に素晴らしい。演奏後、毎回チェックするたびに、その時点でのカメラワークが完璧で、「このままでもオンエアできるのでは」と思うクオリティです。来るたびに「すごいな」と感じますし、今回も改めてその素晴らしさを実感しました。
【森口】 そう感じていただけたなら、すごくうれしいです。奥井さんは、番組レギュラー化1回目から出演してくださっていて。奥井さんがゲストに来てくださると、すごく安心感があって、歌声もどこを切り取ってもいつもパワフルでホッとします。世代も近くて、同じ時代を一緒に乗り越えてきた歴史を感じるので、ゲストの方なのに「お任せします」という気持ちで臨めます(笑)。
――信頼を寄せているのですね。
【森口】 はい! プライベートでもお誕生日をお祝いしていただいたり、お寿司を食べに行ったりもして。その時、隣の席にいたカリフォルニアボーイに話しかけられて、「私たち、いくつに見える?」と聞いたら「24歳」って言われて、否定しませんでした(笑)
【酒井】 奥井さん、ソロで5回目、JAM Projectで1回と出演回数は最多に近い方ですよね。ミュージシャン側からしても、奥井さんのパワフルなボーカルは、演奏を力強くグイグイ引っ張ってくれるので安心できます。僕らにとっては、まさに頼れる“姉御”ですね。
【森口】放送400回記念でもご出演いただいていますよね。それはやっぱりスタッフの皆さんも「奥井さんなら!」と安心しているからだと思います。
【奥井】ありがとうございます。
■アニソンの今と昔を語る――深く関わってきた3人だからこそ見せる時代の変化
――アニソンに携わってきたお三方にお聞きします。現在に至るまで、アニソンというジャンルにおいて最も変わったなと感じる点は何でしょうか。
【奥井】 私はもともと松任谷由実さんのバックコーラスなどをやっていて、その後デビューしたのですが当時はアニソンという言葉すらなく、アニメの歌を歌うと言うと、ミュージシャン仲間からちょっと小バカにされるような時代でした。それが今やすごく良い時代になったというか。単純に「長く歌ってきてよかった」と心からそう思います。
【森口】 17歳の頃、『機動戦士Zガンダム』の主題歌「水の星へ愛をこめて」でデビューさせていただいたのですが、同期のアイドルたちにはCDショップに行くと専用ラックがあって。ただ私にはなくて、当時は悔しい思いをたくさんしました。それが今や世界に誇る文化になっている。ファンの皆さんやスタッフの皆さんが育ててくださったおかげで、アニソンは地球の誇らしい「日本の宝」になったと思っています。好きなものを好きだと、誰もが声を大にして言える時代になったことがうれしいです。
【酒井】 昭和の頃は「テレビまんがの歌」と呼ばれていました。ちょっと評論家のように語ってみると、アニメの内容に沿ってヒーローの名前が歌詞に入っている時代があって、その後80年代後半あたりから90年代にかけてタイアップが増えていきました。
その流れで見ると、日本のアニメは“ガラパゴス”的に独自の進化をして、それが世界的には新しかった。コンテンツとして輸出されていったときに音楽もついていき、それに応じてアニソンの“地位”がグイッと上がっていったと思います。そして2000年代に入ると、もはやアニソンというジャンルとは言わず、360度、どんな曲もあって中心にアニメ作品がある。衛星のようにさまざまジャンルの楽曲があるので、ボーダレスとも言えます。
海外では「OTAKU」という言葉がクールな意味で使われるようになり、その価値観が逆輸入されている現在なのかなと。近年は構成が難しい、コードチェンジとか転調がたくさんあるのもまたガラパゴス的な進化をしていて、それがまた海外の人にとっては新しい音楽として受け入れられているのが、アニソンの現状なのかなと解釈しています。
――思わず聞き入ってしまいました。
【森口】 あと変化と言えばテンポが速い。言葉数が多くなって、大人としては毎回覚えるのに大変(苦笑)。もう口が回らなくて、チャレンジ精神というか達成感があるなって。
【酒井】 その面においては「初音ミク」のようなテクノロジーが出てきたがゆえに、そっちに歌わせたら人間も頑張っているみたいになって。その相乗効果でまたテンポが速くなっていくという(笑)。
【森口】 あの小林幸子さんが「ボカロにできて自分にできないことはない」と挑戦されるんですよ! そうしたら後輩の私たちは歌えないとは言えないですよね(笑)。そういうアグレッシブな姿を見ると楽はできないです。
【奥井】 そうだね。
互いへのリスペクトと安心感がひしひしと伝わる濃密なトークだったが、放送ではアニサマの舞台裏エピソードがさらに駆られている。アニソンという文化を愛し、共に戦い、つないできた3人。彼らが織りなす貴重なセッションとトークに期待してほしい。
■アニサマ20回目、創始者が語る“景色”と“原点”
――番組ではアニサマ20回目の話題で大変盛り上がり、奥井さんが立ち上げメンバーの一人であることも語られていました。思い入れのあるアニサマ20回目を、ステージ上で迎えたお気持ちを聞かせてください。
【奥井】 1回目の時はこんなに長く続けられるものになるとは思っていなかったので。スタッフ、出演者はもちろん、アニサマのファンという方を含め、たくさんの人が紡いできてくれたものだと改めて感じました。20回目の今回は、自分の体力、気力を消耗しつつも、すごいなという感動もひとしおで、違った意味で心が満タンになって帰らせていただいたので、すごく素晴らしかったです。
――奥井さんも関わったそうですが、アニサマは立ち上げの経緯を改めて教えてください。
【奥井】 当時、自身のレーベルを立ち上げた頃、「メーカーの垣根を越えたアニソンフェスをやりたい」というお話をいただき、今のようなアニソンフェスがなかったので、ぜひやりましょうと。
――当初はどのような状況だったのでしょうか。
【奥井】 1年目は、まだ業界内でも前例のないイベントだったので、レコード会社さんも「うーん……という感じでした。自分の友人関係を頼って、なんとか出演者を集めました。その1回目が成功を収めたことで、2年目からは業界の見る目が変わり、オファーが殺到するようになりました。
――今年は3日間すべてに出演されましたが、ステージを終えた瞬間の心境を言葉で表すなら?
【奥井】 しょぼくてもいいですか(笑)。ステージを降りた瞬間に最初に思ったのは、「ああ、ちゃんと最後まで声が出てよかった……」』です。特に最後の『ONENESS』を歌ったときは自分のパートを、自分が納得できるクオリティで歌い切ることが最大の目標で、声を残さなきゃと思っていたので、無事にできてホッとしたのが正直な気持ちでした。
――収録中のトークでもお話しされていましたが、森口さんから見て、3日間を駆け抜けた奥井さんの勇姿はどうでしたか。
【森口】 アニサマの立ち上げから関わってこられたアーティストである奥井さんが、今もパワフルな背中を見せてくださる。なかなかできないことですし、その姿を見ると私たち後輩は『よし頑張ろう!』と心から思えます。なんて美しくてカッコいいのだろうという景色を見せてくれる。私たちも熱量あるファンの方との一体感を感じられるアニサマという空間にいさせてもらえる幸せを味わうことができて、奥井さんをはじめ、立ち上げてくださったスタッフさん、紡いでこられた全ての人に感謝しかありません。
――アニソンを歌うアーティストにとってはかけがえのない場所ということですね。
【森口】 あのステージの大歓声で100年は生きていけます。アニサマはアーティストに改めて『存在意義』を与えてくれるし、大げさでなく『生まれてきて良かった』とまで思わせてくれる。その道を築いてくれた奥井さんの存在は、本当に大きいです。(撮影:上岸卓史/取材・文:遠藤政樹)
世界最大のアニソンライブイベント「Animelo Summer Live」をBS11で独占放送!
◆『Animelo Summer Live 2025 “ThanXX!” powered by Anison Days』
2026年1月1日(木・祝) 後1:00~5:30
◆『Anison Days』
BS11 毎週金曜 後8:00~8:30
<出演者>
MC:森口博子 酒井ミキオ ナレーション:駒田航
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