エンタメ
2025-12-01 11:01
チャップリン家が唯一公認したドキュメンタリー映画『チャップリン』が12月19日から角川シネマ有楽町(東京)ほか全国で順次公開される。公開に先立ち、ジョニー・デップが登場する本編映像の一部と、チャーリー・チャップリンの息子マイケル・チャップリン、そして孫で本作の監督を務めるカルメン・チャップリンのコメントが解禁された。
【動画】ジョニー・デップが所有するトレーラー・ハウスにマイケルを招く本編映像
チャップリンは、ドタバタ喜劇の枠に社会風刺や庶民の哀愁を織り交ぜ、世界中の観客を魅了してきた。トレードマークの山高帽にちょび髭、だぶだぶのズボンの“放浪紳士”は、笑いの中にさみしさや孤独を抱え、社会のなかで弱い立場の人に寄り添う心優しいキャラクターとして愛されてきた。
本作では、その放浪紳士の背景にあるチャップリンのルーツ――ロマの血を1/8引き、それを誇りに感じていたという新たな側面に光を当てる。極貧の幼少期から、アメリカを追放されスイスで生涯を終えるまでの道のりを、これまでにない視点で描くドキュメンタリーとなっている。
製作を担当し、劇中でチャップリンの足跡をたどるのは息子のマイケル。父の名声と親の七光りという重圧に苦しんだ彼が父子断絶を経て、その関係を見つめ直す。『ドクトル・ジバゴ』(1965年)などで知られる俳優で娘のジェラルディン・チャップリンらも出演する。
今回解禁された映像は、俳優ジョニー・デップがチャップリンのルーツであるロマについて語る場面。チャップリンの作品について、「放浪紳士は心が優しく、根っこから純粋でありながら、ワルな一面も持っている」と魅力を語っていたデップは、自身の出演作『妹の恋人』(1993年)でチャップリンが『黄金狂時代』で披露する「パンのダンス」をオマージュしたほか、『ショコラ』(2000年)と『耳に残るのは君の歌声』(2000年)でロマの青年を演じるなど、チャップリンとロマどちらにもゆかりのある人物だ。
デップはロマの人々がかつて生活していたトレーラーハウスを所有し、「このトレーラーハウスに来ると、心が落ち着きます」と微笑みながら話す。そこに訪れるのは、チャップリンの息子マイケル。デップがロマの青年役を務めた『耳に残るのは君の歌声』の撮影を振り返りながら、ロマのルーツをたどってゆく。
あわせて、息子マイケルと監督カルメンのコメントも公開された。マイケルは「どうしても父と自分を切り離して考えられませんでした。私は結局父の名声のおかげ。そんな思いから必死に逃れようとしました」と世界的大スターを父として持った葛藤を明かし、「父の陰から抜け出すことができたのはロマのおかげだ」と語る。
カルメン監督は、ルーマニアで目にしたロマの子どもたちの姿が『キッド』(1921年)と重なったと述懐し、「祖父の放浪紳士は、暗い世の中を照らす希望の光でした。祖父はさまざまな階級や職業の人々を魅了し、自分の子どもたちにも情熱と創造的自由を体現するインスピレーションを与えました」とコメント。
本作では、『キッド』、『街の灯』(1931年)、『独裁者』(1940年)、『ライムライト』(1952年)などの名作映像に加え、日本初公開となる家族撮影のプライベートフィルムも登場。チャップリンの幼少期の記憶、ユダヤ人・共産主義者とされた過去、そして放浪紳士にも通じるロマ文化の影響など、多様な切り口から人物像に迫る。
■マイケル・チャップリン(チャップリンの息子)のコメント(全文)
私は若いころずっと父から逃げていました。父は私には巨大すぎる存在でいつも及び腰になっていたのです。自分では認めたくなかったので、虚勢を張って気の弱さを隠していました。自分をごまかしていたのです。しかし、私が本当に逃げていたのはどこに行ってもついて回る父の名声です。どうしても父と自分を切り離して考えられませんでした。私は結局父の名声のおかげ。そんな思いから必死に逃れようとしました。
父はとっくの昔に亡くなりましたが、私が父の陰から抜け出すことができたのは、ロマのおかげだと確信しています。父のロマとしてのルーツを示す手がかりや父がスクリーンの中で演じてきたキャラクター“放浪紳士”を深く追求しました。そして、父が心の中に秘め、時には自慢さえしていたロマの人々の足跡をたどろうと思ったのです。
■カルメン・チャップリン(監督/チャップリンの孫)のコメント(全文)
数年前、映画の撮影でルーマニアのブカレストに行った時、人々に無視され、警察に迫害されているロマの子どもたちを見かけました。食べ物を探し、警察から怯えながら逃げ惑う孤児たちの姿に衝撃を受けました。それはまるで祖父チャーリー・チャップリンの映画『キッド』から飛び出してきたかのようだったのです。
祖父の母ハンナは、ロマのルーツを老年まで隠していましたが、亡くなる3年前、祖父が36歳の時に、そのことを打ち明けました。彼の祖先のルーツをたどるこの事実は、祖父にとって新しい発見であり、大きな意味を持っていました。祖父は異端者であり、ロマの伝統を大切にしていた開拓者でした。彼にとってこのルーツは、貧困に苦しんだ自身の幼少期に尊厳を与え、母と弟と共に耐え忍んだ過酷な苦しみに夢と魔法をもたらしたのです。
祖父の伝説的なキャラクター“放浪紳士”は、暗い世の中を照らす希望の光でした。祖父はさまざまな階級や職業の人々を魅了し、自分の子どもたちにも情熱と創造的自由を体現するインスピレーションを与えました。本作では、チャーリーの息子で私の父マイケル・チャップリンによる歩みを通して、あまり知られていない私たち家族のロマのルーツを明るみにし、その文化によって祖父がどのように芸術家一家を生み出したのかに迫ります。チャップリンの物語はこれまで何度も語られてきましたが、共同脚本に参加するなかで、私は父マイケルの視点から個人的なアプローチをしたいと考えたのです。
(C)The Caravan Trail, A.I.E, Kwanon Films Limited, and Submarine Sublime 2024
Charlie Chaplin (C)Bubbles Incorporated SA
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チャップリンは、ドタバタ喜劇の枠に社会風刺や庶民の哀愁を織り交ぜ、世界中の観客を魅了してきた。トレードマークの山高帽にちょび髭、だぶだぶのズボンの“放浪紳士”は、笑いの中にさみしさや孤独を抱え、社会のなかで弱い立場の人に寄り添う心優しいキャラクターとして愛されてきた。
本作では、その放浪紳士の背景にあるチャップリンのルーツ――ロマの血を1/8引き、それを誇りに感じていたという新たな側面に光を当てる。極貧の幼少期から、アメリカを追放されスイスで生涯を終えるまでの道のりを、これまでにない視点で描くドキュメンタリーとなっている。
製作を担当し、劇中でチャップリンの足跡をたどるのは息子のマイケル。父の名声と親の七光りという重圧に苦しんだ彼が父子断絶を経て、その関係を見つめ直す。『ドクトル・ジバゴ』(1965年)などで知られる俳優で娘のジェラルディン・チャップリンらも出演する。
今回解禁された映像は、俳優ジョニー・デップがチャップリンのルーツであるロマについて語る場面。チャップリンの作品について、「放浪紳士は心が優しく、根っこから純粋でありながら、ワルな一面も持っている」と魅力を語っていたデップは、自身の出演作『妹の恋人』(1993年)でチャップリンが『黄金狂時代』で披露する「パンのダンス」をオマージュしたほか、『ショコラ』(2000年)と『耳に残るのは君の歌声』(2000年)でロマの青年を演じるなど、チャップリンとロマどちらにもゆかりのある人物だ。
デップはロマの人々がかつて生活していたトレーラーハウスを所有し、「このトレーラーハウスに来ると、心が落ち着きます」と微笑みながら話す。そこに訪れるのは、チャップリンの息子マイケル。デップがロマの青年役を務めた『耳に残るのは君の歌声』の撮影を振り返りながら、ロマのルーツをたどってゆく。
あわせて、息子マイケルと監督カルメンのコメントも公開された。マイケルは「どうしても父と自分を切り離して考えられませんでした。私は結局父の名声のおかげ。そんな思いから必死に逃れようとしました」と世界的大スターを父として持った葛藤を明かし、「父の陰から抜け出すことができたのはロマのおかげだ」と語る。
カルメン監督は、ルーマニアで目にしたロマの子どもたちの姿が『キッド』(1921年)と重なったと述懐し、「祖父の放浪紳士は、暗い世の中を照らす希望の光でした。祖父はさまざまな階級や職業の人々を魅了し、自分の子どもたちにも情熱と創造的自由を体現するインスピレーションを与えました」とコメント。
本作では、『キッド』、『街の灯』(1931年)、『独裁者』(1940年)、『ライムライト』(1952年)などの名作映像に加え、日本初公開となる家族撮影のプライベートフィルムも登場。チャップリンの幼少期の記憶、ユダヤ人・共産主義者とされた過去、そして放浪紳士にも通じるロマ文化の影響など、多様な切り口から人物像に迫る。
■マイケル・チャップリン(チャップリンの息子)のコメント(全文)
私は若いころずっと父から逃げていました。父は私には巨大すぎる存在でいつも及び腰になっていたのです。自分では認めたくなかったので、虚勢を張って気の弱さを隠していました。自分をごまかしていたのです。しかし、私が本当に逃げていたのはどこに行ってもついて回る父の名声です。どうしても父と自分を切り離して考えられませんでした。私は結局父の名声のおかげ。そんな思いから必死に逃れようとしました。
父はとっくの昔に亡くなりましたが、私が父の陰から抜け出すことができたのは、ロマのおかげだと確信しています。父のロマとしてのルーツを示す手がかりや父がスクリーンの中で演じてきたキャラクター“放浪紳士”を深く追求しました。そして、父が心の中に秘め、時には自慢さえしていたロマの人々の足跡をたどろうと思ったのです。
■カルメン・チャップリン(監督/チャップリンの孫)のコメント(全文)
数年前、映画の撮影でルーマニアのブカレストに行った時、人々に無視され、警察に迫害されているロマの子どもたちを見かけました。食べ物を探し、警察から怯えながら逃げ惑う孤児たちの姿に衝撃を受けました。それはまるで祖父チャーリー・チャップリンの映画『キッド』から飛び出してきたかのようだったのです。
祖父の母ハンナは、ロマのルーツを老年まで隠していましたが、亡くなる3年前、祖父が36歳の時に、そのことを打ち明けました。彼の祖先のルーツをたどるこの事実は、祖父にとって新しい発見であり、大きな意味を持っていました。祖父は異端者であり、ロマの伝統を大切にしていた開拓者でした。彼にとってこのルーツは、貧困に苦しんだ自身の幼少期に尊厳を与え、母と弟と共に耐え忍んだ過酷な苦しみに夢と魔法をもたらしたのです。
祖父の伝説的なキャラクター“放浪紳士”は、暗い世の中を照らす希望の光でした。祖父はさまざまな階級や職業の人々を魅了し、自分の子どもたちにも情熱と創造的自由を体現するインスピレーションを与えました。本作では、チャーリーの息子で私の父マイケル・チャップリンによる歩みを通して、あまり知られていない私たち家族のロマのルーツを明るみにし、その文化によって祖父がどのように芸術家一家を生み出したのかに迫ります。チャップリンの物語はこれまで何度も語られてきましたが、共同脚本に参加するなかで、私は父マイケルの視点から個人的なアプローチをしたいと考えたのです。
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