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2026-09-09 07:00
WEST.の重岡大毅(34)が主演する映画『5秒で完全犯罪を生成する方法』が、11日に公開される。今作では“生成AI”を使用して殺人事件を隠蔽しようとしたことから、思わぬ窮地に陥る主人公をスリリングに演じた重岡が、あえてアナログにこだわった役作りの裏側や、現在の芝居への向き合い方を語った。
【撮り下ろし写真】柔らかな笑顔を浮かべる重岡大毅
今作は、フリーライターの初海航(重岡)と意図せず殺人を犯した妹・幸来(原菜乃華)の兄妹の物語。妹を守るため“生成AI”を駆使して事件を隠蔽しようと思いつくが、この選択によってさらなる悪夢が2人を襲う。便利なツールだったはずの生成AIが想定外の事件を引き起こしていく、完全犯罪サスペンスとなっている。
原案・脚本・プロデュースを手がけるのは、重岡と『宇宙を駆けるよだか』(18)でもタッグを組み、『マスカレード・ホテル』シリーズ(19、21)、『#マンホール』(23)など、数々のミステリー・サスペンス映画やドラマで脚本や原案を担当してきた岡田道尚氏。監督は、第2回日本ホラー映画大賞を受賞し、その受賞作を長編化した映画『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』(25)で商業映画監督デビューを果たした近藤亮太氏が務める。
■タイピング習得が公式ブログ毎日更新の“最後のピース”に「自分に向き合って、自分と対話する」
――『5秒で完全犯罪を生成する方法』という、なかなかインパクトの大きいタイトルですが、まずお話をお聞きしたときの印象はいかがでしたか?
【重岡】“どういうことやろう?”と思ったんですけど、この映画の話を聞いたのと同じくらいに自分も生成AIを使い始めたこともあって、身近になってきたAI×完全犯罪というテーマは面白そうだと思いました。生成AIのことについては周りの友人からも聞いてたし、「これちょっと面白いかも」って、すごく興味津々になりました。
――普段、どのようにAIを使われていますか。
【重岡】仕事でもプライベートでも使っています。プライベートだったら、例えばトレーニング内容を見てコーチっぽいことをしてもらったり、ご飯屋さんを探してもらったり、ロケに行く場所の情報を聞いてみたり。割とエンタメっぽいような良い距離感で僕は使っています。
――それが“完全犯罪”という言葉と結びつくというのは…。
【重岡】でもぶっ飛んでいるわけではない。AIって怖いとも同時に思っていたんです。なんの知識もなくても、歌ならメロディーや歌詞も作ってくれるし、永遠にこちらの要求に応え続けてくれる。最近でいえば、生成AIで作った映画もあったり、本物と間違うような精巧なものができるので、遠い話ではないと思いました。それを見事にエンタメ映画として昇華されていると感じました。普段、AIに触れている人も見てほしいです。
――今の時点でのAIとの付き合い方の最適解は、もう自分の中では見つけられていますか。
【重岡】なんとなく良い距離感でやられています。エンターテインメントのツールのひとつって感じかな。最悪、誰かに見られてもいいことでしか使いません。試しに歌詞を書いてもらったりしたけど話にならなかった(笑)。僕のプロンプトの打ち方が悪かったのかもしれないですけど、でもそうやってやっている自分はやっぱり気持ち悪いじゃないですか。これじゃないなぁって。
――役作りを今度は生成AIに手伝ってもらうことは考えますか。
【重岡】そこは怖いんですよ。そもそも、まず世に出てないなにかを打ち込むのはちょっと怖い。あと、答えだけ先に提示されちゃうと、そこまでの道草が楽しみなのに醍醐味を全部奪われちゃうような気がします。AIに納得させられるのがちょっと怖いっていう感じです。
――むしろ今回の役作りはアナログ。役作りの上でノートに書き込んでいったそうですね。
【重岡】もともとクリエイティブなことをするときは、手書きでやることが多いのですが、今回は特にそれが力を発揮できた。でも今回は、フリーライターの役なのでこれを機にタイピングに興味持ち始めました。今ウェブでブログを毎日更新していて、毎日毎日書いているんですけど、ライターのみなさんはすごいですよね。文章書くのってめっちゃ大変じゃないですか。
――スマホではなく、あくまで(パソコンの)タイピング?
【重岡】はい。スマホだと別の余計なことをしちゃいそうで(笑)。でも、役作りでは手書きのノートを使用しました。
――手書きで役作りする作業は、今までもしてきたのでしょうか。
【重岡】ありましたね。でも、今回の航役こそ、ノートを使うことが自分の中で最適解でした。完全犯罪サスペンスだからこそ、航の心情を書いて整理したかったんです。自分なら、警察に言うんちゃうかな。でも、警察に言ったら妹が世間に好奇の目でさらされたら?これで加担して捕まったらどうなるのか。自首したらどうなるのか。航が揺れながらもストーリーが進む事にいろんなことが起きていく。航がなぜこんなことをできるのか、泥沼にはまっていくような感じで、ガーって書いていきました。1冊分は書いて、でも自己満ですね(笑)。なにかわからないけど、納得したかったんです。これだけやったから大丈夫だろうと、試合前にアスリートが自分を追い込む作業と同じかもしれない。それによって、スッキリできた。つらいはつらいんですけど、いっぱい時間を使ったから、あとはやるだけや、あとはもう、神のみぞ知るっていう状況まで、頑張ったな、と思いたかった。
――自信をつける作業でもあった。
【重岡】そうですね。結構大事な作業なんです。迷いを消す、というか。
――どのように書いていたのでしょうか。
【重岡】思ったことを書き殴るだけです。誰にも見られないからもう自由。“航ー!”とか“完全犯罪!完全犯罪!”とか“警察!警察!”とかもう好き放題。書いて、自分のなかでなにか心に引っかかるのものがあるんです。そこを磨くみたいな感じです。自分のなんかモヤモヤ、言葉にならないモヤモヤを言葉にする。0から1にするみたいな。イメージですけど、
――書くことによって航の思考が見えてくる感覚があった。
【重岡】要は、航をやっているより自分のことをやってるような感じ。割と自分探しのようなとこもありますよ。自分と航を重ね合わせて、自分を知るためにやっていました。
――その作業とブログの毎日投稿を始めた時期は関係があるんですか?
【重岡】実はあります。この映画で出合ったタイピングによってピースがそろった感じなんです。言葉と文字って面白いな、それを、自分なりにもっと使えればいいな、と思いました。もっと自分のこと知りたい、そのためには、自分に向き合って、自分と対話するのが1番いいかもしれない。だったら、せっかくブログというものがあるんだし、タイピングにも出合ったんだし、やってみっか!って。手書きも面白いけど、手書きとタイピングでは、また自分の心の動き方が違うから、面白いなと思います。
――この作品が後押しになったのですね。
【重岡】最後のピースでした。タイピングは面白いですよ。ちょっと早くなりました。
――ちなみに、そのノートはどこかで公開する予定はありますか。
【重岡】絶対しないですね(笑)。
――航は妹を守るために、完全犯罪をしますがその点に共感できるところはありますか。
【重岡】最初に共感できた部分はそこだったかな。誰しも何か大切なものがあって、それを失いたくないというのは同じだと思うので、そういうところを手掛かり、入口にしてやっていきましたね。
――普段から他の役でも、自分との共通点を見つけながら役作りをしていくのでしょうか。
【重岡】基本、そうです。例えば、自分だったら、僕は完全犯罪もしないし証拠隠滅もしないけど、役としてはそれをやらないといけないわけじゃないですか。自分で“俺はならやらないな”と思いながら演じることはできない。だから自分なりに役をいろんな角度から見て自分のものになるまで、理解していく。口で言うのは簡単ですが、地獄のエネルギーが要ります。年々、どんどん、回りくどくなってきてる感じがしますね。昔はもっと直感的で、もっと野性的な感じだったんですけど、いつからそれが怖くなりました。
――変化の理由はどういったものですか。
【重岡】年齢を重ねて、キャリアも重ねて状況も立場も変わってきて。直感的、野性的な戦い方ひとつだけじゃ物足りないのと、それだけだとちょっと不安だなと思って。だって、突然、泣き崩れて、号泣して、しゃべれなくなって…これやらなあかんの?と怖くなるんです。昔は若いし、“行ってまえ!”って感じだったけど、脚本家さんがいて、スタッフさんがその日集まって、これだけいろんなスポンサーさんがいて、こういう媒体の人が取材してくれてて…視野が広がっていくにつれて、やれることを増やしていかないと思うようになったんでしょうかね。
――逆にキャリアを積めばテクニックでこなせる人もいると思いますが、重岡さんはそうじゃない。
【重岡】でも、カッコつけた言い方をすると最終的に野生に戻るというか、“もうどうなってもいいと思い”と思えるところまで持っていく。全部、つながってるって理解してるから、あんまり怖くない。いや、怖いときもあるけど…(笑)。だから、自分には思いきりの良さはあるかもしれないですね。
――今作は『宇宙を駆けるよだか』の脚本家である岡田さんと8年ぶりのタッグとなりましたが、その当時は直感的で、野性的に芝居していたと思いますか。
【重岡】もちろん役作りみたいものも、その時なりにしてたと思うんですが、もっと“わかる気がする!よし現場に行こう!”みたいな気はします。あの時はあの時なりに必死にやっていたので、今はできないやり方で演じていた気がします。だからこそ映像って面白い。あの時にしか撮れない映像がある。いくら経験を積んだからと言っても『よだか』の時とは同じようにはいかないし、『溺れるナイフ』の時の大友役をもう1回演じられるかと言われたら絶対に、できない。そういう空気感を丸ごと閉じ込めてるのが映画。あの時の俺はあの時なり、未熟さもあったけど、未熟なりの尖り方もできていたのかな、と思います。
――自分の芝居との向き合い方が変わるきっかけになった作品はありますか?
【重岡】毎回、一つひとつです。毎回、同じようにはいかないから。この作品でもめちゃくちゃきっかけをいただきました。この作品を経験したことで、今回はノートに手書きでやってみたけど、次の作品でもこういう書き方をやってみたらいいんじゃないかなとか、いろんなことを思いついちゃう。いろいろなことをやってみたいし、やってみなければ、答え合わせもできない。そういう意味ではなにかしらのきっかけは毎回、いただいていますね。
――どんどん窮地に追いやられていく航の表情など段階的にお芝居を変化させる必要もあったかと思いますが、意識していたことはありますか?
【重岡】とりあえず思ったことやってみるということの連続。これは監督に言われたのですが、日常がぶっ壊れたところから物語がスタートするけど、ずっと同じテンションで演じていても観ている方も大変になってくる。でも、やっぱり人間は環境に適応していくものだから、普段の“今日何食べる?”、“これがいい”みたいな兄妹の日常会話を普通にしてもいい、と。確かに言われてみれば“そうだな、なるほどな”と面白かったです。ノートに書いたことを全部思い浮かべて演じようとすれば、ガチガチになってしまい、柔軟性もなくなっちゃう。なのでその言葉でちょっと身軽になれました。
――演じるなかで、壁にぶつかったことはありましたか?
【重岡】クライマックスですっごく寒い廃工場に行ったのですが、あったかいお茶がおいしくて、身にしみました。基本、撮影は楽しかったです。
――緊迫した状況の続く役柄ですが、カメラがないところは違ったのですね。
【重岡】そうですね。役に引っ張られる感覚はなかったです。実際にそんな人って本当にいるのかな?って思うんですけど、役に引っ張られた今、めちゃくちゃタイピングしてました(笑)。ただ、シンプルにスケジュール的な追い込まれてヤバい!みたいな状況にはなるけど、役の感情に引っ張られて、日常の自分がおかしくなるみたいなことってない気がします。
――重岡さんはこれまでもサスペンス作品に出演する機会が多くありましたが、そういう作品のオファーが多いことをどう捉えていますか。
【重岡】たまに言われるんすよね。なんか闇があるって(笑)。なんやねん、と思います。人にどう見られてるかって、俺にはわからないけど、でも一つのことに夢中になりすぎてるところはあるかもしれない。ただ、1点を見つめてるときあって『大丈夫?』って声かけられる時はありますね(笑)。
――重岡さんは几帳面というか、納得するまでなんでもやるタイプだと思うんですけど、ご自身は、“完全犯罪”はできそうですか?
【重岡】完全犯罪というのはあの完全犯罪ですよね?(笑)。誰にもバレずに法に触れることをすることは無理無理、絶対無理!その前に自分が折れると思う。完全犯罪を成し遂げようなんていう覚悟がまず持てない。自分の求めてるものと違う生活になってしまいそうです。
――妹役の原菜乃華さんの印象を教えてください。
【重岡】最初会った時から、めちゃくちゃ幸来でした。まとっている雰囲気と、あと…声。“妹だな”みたいに思えたし、すごく良い声してるな、と。でも現場だとすごく凛とされている。テンションもあんまり変わらず、淡々とされていました。
――撮影現場で、原さんや田中みな実さんなど印象に残ったやりとりはありましたか。
【重岡】みな実さんはめっちゃ面白かったです。あの人は、ずっとエンターテインメント(笑)。やっぱり話も上手だし、聞くのも上手いし、キャラクターも面白い。すっごくキャッチーな方でした。美容についても教えてもらい『アイクリーム使ってる?』と聞かれたので『使ってません』って言ったら怒られて使うようになりました。
――みな実さんオススメの美容グッズを使い始めたんですか。
【重岡】顔面式一式使ってます。基礎化粧品というのかわかんないですけど、4つ、5つぐらい使い始めました。左から順番で並べて、このビン、大きめのビン、この細長いなんかプッシュのヤツ、白い乳液っぽいヤツ、ジェルみたいなヤツって(笑)。みな実さんは、マジで面白かったです。『友達少ないんでしょ』って言われて『少ないんですよ』っていったら、『紹介してあげようか?アンミカさんに会わせてあげようか?』と言われて笑っちゃいました(笑)。
【場面カット】決意のまなざしでスマートフォンを向ける航(重岡大毅)
【全身ショット】浴衣が似合う…さわやかな重岡大毅
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【撮り下ろし写真】柔らかな笑顔を浮かべる重岡大毅
今作は、フリーライターの初海航(重岡)と意図せず殺人を犯した妹・幸来(原菜乃華)の兄妹の物語。妹を守るため“生成AI”を駆使して事件を隠蔽しようと思いつくが、この選択によってさらなる悪夢が2人を襲う。便利なツールだったはずの生成AIが想定外の事件を引き起こしていく、完全犯罪サスペンスとなっている。
原案・脚本・プロデュースを手がけるのは、重岡と『宇宙を駆けるよだか』(18)でもタッグを組み、『マスカレード・ホテル』シリーズ(19、21)、『#マンホール』(23)など、数々のミステリー・サスペンス映画やドラマで脚本や原案を担当してきた岡田道尚氏。監督は、第2回日本ホラー映画大賞を受賞し、その受賞作を長編化した映画『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』(25)で商業映画監督デビューを果たした近藤亮太氏が務める。
■タイピング習得が公式ブログ毎日更新の“最後のピース”に「自分に向き合って、自分と対話する」
――『5秒で完全犯罪を生成する方法』という、なかなかインパクトの大きいタイトルですが、まずお話をお聞きしたときの印象はいかがでしたか?
【重岡】“どういうことやろう?”と思ったんですけど、この映画の話を聞いたのと同じくらいに自分も生成AIを使い始めたこともあって、身近になってきたAI×完全犯罪というテーマは面白そうだと思いました。生成AIのことについては周りの友人からも聞いてたし、「これちょっと面白いかも」って、すごく興味津々になりました。
――普段、どのようにAIを使われていますか。
【重岡】仕事でもプライベートでも使っています。プライベートだったら、例えばトレーニング内容を見てコーチっぽいことをしてもらったり、ご飯屋さんを探してもらったり、ロケに行く場所の情報を聞いてみたり。割とエンタメっぽいような良い距離感で僕は使っています。
――それが“完全犯罪”という言葉と結びつくというのは…。
【重岡】でもぶっ飛んでいるわけではない。AIって怖いとも同時に思っていたんです。なんの知識もなくても、歌ならメロディーや歌詞も作ってくれるし、永遠にこちらの要求に応え続けてくれる。最近でいえば、生成AIで作った映画もあったり、本物と間違うような精巧なものができるので、遠い話ではないと思いました。それを見事にエンタメ映画として昇華されていると感じました。普段、AIに触れている人も見てほしいです。
――今の時点でのAIとの付き合い方の最適解は、もう自分の中では見つけられていますか。
【重岡】なんとなく良い距離感でやられています。エンターテインメントのツールのひとつって感じかな。最悪、誰かに見られてもいいことでしか使いません。試しに歌詞を書いてもらったりしたけど話にならなかった(笑)。僕のプロンプトの打ち方が悪かったのかもしれないですけど、でもそうやってやっている自分はやっぱり気持ち悪いじゃないですか。これじゃないなぁって。
――役作りを今度は生成AIに手伝ってもらうことは考えますか。
【重岡】そこは怖いんですよ。そもそも、まず世に出てないなにかを打ち込むのはちょっと怖い。あと、答えだけ先に提示されちゃうと、そこまでの道草が楽しみなのに醍醐味を全部奪われちゃうような気がします。AIに納得させられるのがちょっと怖いっていう感じです。
――むしろ今回の役作りはアナログ。役作りの上でノートに書き込んでいったそうですね。
【重岡】もともとクリエイティブなことをするときは、手書きでやることが多いのですが、今回は特にそれが力を発揮できた。でも今回は、フリーライターの役なのでこれを機にタイピングに興味持ち始めました。今ウェブでブログを毎日更新していて、毎日毎日書いているんですけど、ライターのみなさんはすごいですよね。文章書くのってめっちゃ大変じゃないですか。
――スマホではなく、あくまで(パソコンの)タイピング?
【重岡】はい。スマホだと別の余計なことをしちゃいそうで(笑)。でも、役作りでは手書きのノートを使用しました。
――手書きで役作りする作業は、今までもしてきたのでしょうか。
【重岡】ありましたね。でも、今回の航役こそ、ノートを使うことが自分の中で最適解でした。完全犯罪サスペンスだからこそ、航の心情を書いて整理したかったんです。自分なら、警察に言うんちゃうかな。でも、警察に言ったら妹が世間に好奇の目でさらされたら?これで加担して捕まったらどうなるのか。自首したらどうなるのか。航が揺れながらもストーリーが進む事にいろんなことが起きていく。航がなぜこんなことをできるのか、泥沼にはまっていくような感じで、ガーって書いていきました。1冊分は書いて、でも自己満ですね(笑)。なにかわからないけど、納得したかったんです。これだけやったから大丈夫だろうと、試合前にアスリートが自分を追い込む作業と同じかもしれない。それによって、スッキリできた。つらいはつらいんですけど、いっぱい時間を使ったから、あとはやるだけや、あとはもう、神のみぞ知るっていう状況まで、頑張ったな、と思いたかった。
――自信をつける作業でもあった。
【重岡】そうですね。結構大事な作業なんです。迷いを消す、というか。
――どのように書いていたのでしょうか。
【重岡】思ったことを書き殴るだけです。誰にも見られないからもう自由。“航ー!”とか“完全犯罪!完全犯罪!”とか“警察!警察!”とかもう好き放題。書いて、自分のなかでなにか心に引っかかるのものがあるんです。そこを磨くみたいな感じです。自分のなんかモヤモヤ、言葉にならないモヤモヤを言葉にする。0から1にするみたいな。イメージですけど、
――書くことによって航の思考が見えてくる感覚があった。
【重岡】要は、航をやっているより自分のことをやってるような感じ。割と自分探しのようなとこもありますよ。自分と航を重ね合わせて、自分を知るためにやっていました。
――その作業とブログの毎日投稿を始めた時期は関係があるんですか?
【重岡】実はあります。この映画で出合ったタイピングによってピースがそろった感じなんです。言葉と文字って面白いな、それを、自分なりにもっと使えればいいな、と思いました。もっと自分のこと知りたい、そのためには、自分に向き合って、自分と対話するのが1番いいかもしれない。だったら、せっかくブログというものがあるんだし、タイピングにも出合ったんだし、やってみっか!って。手書きも面白いけど、手書きとタイピングでは、また自分の心の動き方が違うから、面白いなと思います。
――この作品が後押しになったのですね。
【重岡】最後のピースでした。タイピングは面白いですよ。ちょっと早くなりました。
――ちなみに、そのノートはどこかで公開する予定はありますか。
【重岡】絶対しないですね(笑)。
――航は妹を守るために、完全犯罪をしますがその点に共感できるところはありますか。
【重岡】最初に共感できた部分はそこだったかな。誰しも何か大切なものがあって、それを失いたくないというのは同じだと思うので、そういうところを手掛かり、入口にしてやっていきましたね。
――普段から他の役でも、自分との共通点を見つけながら役作りをしていくのでしょうか。
【重岡】基本、そうです。例えば、自分だったら、僕は完全犯罪もしないし証拠隠滅もしないけど、役としてはそれをやらないといけないわけじゃないですか。自分で“俺はならやらないな”と思いながら演じることはできない。だから自分なりに役をいろんな角度から見て自分のものになるまで、理解していく。口で言うのは簡単ですが、地獄のエネルギーが要ります。年々、どんどん、回りくどくなってきてる感じがしますね。昔はもっと直感的で、もっと野性的な感じだったんですけど、いつからそれが怖くなりました。
――変化の理由はどういったものですか。
【重岡】年齢を重ねて、キャリアも重ねて状況も立場も変わってきて。直感的、野性的な戦い方ひとつだけじゃ物足りないのと、それだけだとちょっと不安だなと思って。だって、突然、泣き崩れて、号泣して、しゃべれなくなって…これやらなあかんの?と怖くなるんです。昔は若いし、“行ってまえ!”って感じだったけど、脚本家さんがいて、スタッフさんがその日集まって、これだけいろんなスポンサーさんがいて、こういう媒体の人が取材してくれてて…視野が広がっていくにつれて、やれることを増やしていかないと思うようになったんでしょうかね。
――逆にキャリアを積めばテクニックでこなせる人もいると思いますが、重岡さんはそうじゃない。
【重岡】でも、カッコつけた言い方をすると最終的に野生に戻るというか、“もうどうなってもいいと思い”と思えるところまで持っていく。全部、つながってるって理解してるから、あんまり怖くない。いや、怖いときもあるけど…(笑)。だから、自分には思いきりの良さはあるかもしれないですね。
――今作は『宇宙を駆けるよだか』の脚本家である岡田さんと8年ぶりのタッグとなりましたが、その当時は直感的で、野性的に芝居していたと思いますか。
【重岡】もちろん役作りみたいものも、その時なりにしてたと思うんですが、もっと“わかる気がする!よし現場に行こう!”みたいな気はします。あの時はあの時なりに必死にやっていたので、今はできないやり方で演じていた気がします。だからこそ映像って面白い。あの時にしか撮れない映像がある。いくら経験を積んだからと言っても『よだか』の時とは同じようにはいかないし、『溺れるナイフ』の時の大友役をもう1回演じられるかと言われたら絶対に、できない。そういう空気感を丸ごと閉じ込めてるのが映画。あの時の俺はあの時なり、未熟さもあったけど、未熟なりの尖り方もできていたのかな、と思います。
――自分の芝居との向き合い方が変わるきっかけになった作品はありますか?
【重岡】毎回、一つひとつです。毎回、同じようにはいかないから。この作品でもめちゃくちゃきっかけをいただきました。この作品を経験したことで、今回はノートに手書きでやってみたけど、次の作品でもこういう書き方をやってみたらいいんじゃないかなとか、いろんなことを思いついちゃう。いろいろなことをやってみたいし、やってみなければ、答え合わせもできない。そういう意味ではなにかしらのきっかけは毎回、いただいていますね。
――どんどん窮地に追いやられていく航の表情など段階的にお芝居を変化させる必要もあったかと思いますが、意識していたことはありますか?
【重岡】とりあえず思ったことやってみるということの連続。これは監督に言われたのですが、日常がぶっ壊れたところから物語がスタートするけど、ずっと同じテンションで演じていても観ている方も大変になってくる。でも、やっぱり人間は環境に適応していくものだから、普段の“今日何食べる?”、“これがいい”みたいな兄妹の日常会話を普通にしてもいい、と。確かに言われてみれば“そうだな、なるほどな”と面白かったです。ノートに書いたことを全部思い浮かべて演じようとすれば、ガチガチになってしまい、柔軟性もなくなっちゃう。なのでその言葉でちょっと身軽になれました。
――演じるなかで、壁にぶつかったことはありましたか?
【重岡】クライマックスですっごく寒い廃工場に行ったのですが、あったかいお茶がおいしくて、身にしみました。基本、撮影は楽しかったです。
――緊迫した状況の続く役柄ですが、カメラがないところは違ったのですね。
【重岡】そうですね。役に引っ張られる感覚はなかったです。実際にそんな人って本当にいるのかな?って思うんですけど、役に引っ張られた今、めちゃくちゃタイピングしてました(笑)。ただ、シンプルにスケジュール的な追い込まれてヤバい!みたいな状況にはなるけど、役の感情に引っ張られて、日常の自分がおかしくなるみたいなことってない気がします。
――重岡さんはこれまでもサスペンス作品に出演する機会が多くありましたが、そういう作品のオファーが多いことをどう捉えていますか。
【重岡】たまに言われるんすよね。なんか闇があるって(笑)。なんやねん、と思います。人にどう見られてるかって、俺にはわからないけど、でも一つのことに夢中になりすぎてるところはあるかもしれない。ただ、1点を見つめてるときあって『大丈夫?』って声かけられる時はありますね(笑)。
――重岡さんは几帳面というか、納得するまでなんでもやるタイプだと思うんですけど、ご自身は、“完全犯罪”はできそうですか?
【重岡】完全犯罪というのはあの完全犯罪ですよね?(笑)。誰にもバレずに法に触れることをすることは無理無理、絶対無理!その前に自分が折れると思う。完全犯罪を成し遂げようなんていう覚悟がまず持てない。自分の求めてるものと違う生活になってしまいそうです。
――妹役の原菜乃華さんの印象を教えてください。
【重岡】最初会った時から、めちゃくちゃ幸来でした。まとっている雰囲気と、あと…声。“妹だな”みたいに思えたし、すごく良い声してるな、と。でも現場だとすごく凛とされている。テンションもあんまり変わらず、淡々とされていました。
――撮影現場で、原さんや田中みな実さんなど印象に残ったやりとりはありましたか。
【重岡】みな実さんはめっちゃ面白かったです。あの人は、ずっとエンターテインメント(笑)。やっぱり話も上手だし、聞くのも上手いし、キャラクターも面白い。すっごくキャッチーな方でした。美容についても教えてもらい『アイクリーム使ってる?』と聞かれたので『使ってません』って言ったら怒られて使うようになりました。
――みな実さんオススメの美容グッズを使い始めたんですか。
【重岡】顔面式一式使ってます。基礎化粧品というのかわかんないですけど、4つ、5つぐらい使い始めました。左から順番で並べて、このビン、大きめのビン、この細長いなんかプッシュのヤツ、白い乳液っぽいヤツ、ジェルみたいなヤツって(笑)。みな実さんは、マジで面白かったです。『友達少ないんでしょ』って言われて『少ないんですよ』っていったら、『紹介してあげようか?アンミカさんに会わせてあげようか?』と言われて笑っちゃいました(笑)。
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