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2026-09-24 13:28
主演に蒼井優を迎え、作家・原田マハが自著『無用の人』(講談社文庫『あなたは、誰かの大切な人』収録)を原作として、自ら監督・脚本を務めた映画『無用の人』(2027年1月29日公開)が、スペインで開催されている『第74回サン・セバスチャン国際映画祭』で現地時間9月21日にワールドプレミアを迎え、原田マハ監督が参加した。
【写真】雲一つない『サン・セバスチャン国際映画祭』でフォトコールに参加した原田マハ監督
多くのベストセラーを世に送り出してきた人気作家・原田マハが、2014年に刊行した短編集『あなたは、誰かの大切な人』に収録された一編『無用の人』を原作に、自ら監督・脚本を務めた映画『無用の人』。主人公・聡美が監視員として勤める美術館に届いた謎の「鍵」をきっかけに、一人静かにこの世を去った父との記憶をたどり、家族でさえ知らなかった父の晩年の姿が次第に明かされてゆく感動の人間ドラマとなる。
記念すべきワールドプレミアの場となった『第74回サン・セバスチャン国際映画祭』はヨーロッパで重要視される、スペイン語圏最大の映画祭。今回、初監督作品がコンペティション部門に正式出品されるという快挙を果たし、現地時間9月21日に行われたフォトコールと記者会見、そしてワールドプレミア上映に原田マハ監督が参加した。雲一つない青空の下、ブラックのスモーキングスーツをまとった原田がフォトコールに登場。衣装は、原田がデザイナーの伊藤ハンスと手掛けているファッションブランド「エコール・ド・キュリオジテ」によるもので、今回の映画祭のために特別に仕立てられた一着。伊藤は本作の衣装デザインも手掛けている。
上映前に行われた記者会見では、原田が15年程前に『楽園のカンヴァス』執筆のため、スペイン全土を取材で回った際にサン・セバスチャンだけ行き逃してしまった過去に触れつつ、「このような形でこの地に帰って来られたことを、とてもうれしく思います」と笑顔であいさつした。作家として20年ものキャリアをもつ原田がなぜ今映画制作に踏み切ったのかを問われると「美術小説を書き続ける中で、自分の頭の中でイメージが動いている感覚が常にありました。そして読者からは、“まるで映像を見ているようだ”という感想がよく届いていたこともあり、私の頭の中で見えている映像を読者と共有したい。それが映画を撮りたいと思った最大の理由です」と長年抱いていた想いを明かした。
本作は英題が“In My Father’s Room”となっているように、主人公・聡美の父の部屋の記憶、そして父が生前に愛していた茶の湯とアートが重要なキーとなっている物語。多くの象徴性が散りばめられた本作を撮るにあたり、スペインの名匠ビクトル・エリセ監督の『ミツバチのささやき』(1973)を参考にしたという原田は、「半世紀前に撮られた作品ですが、この映画の中にある美しさ、象徴性はずっと変わることはありません。40年前に観た作品ですが、全ての象徴性を今もはっきりと思い出すことができます。『ミツバチのささやき』のように、遠くにアートを感じさせる象徴性を、『無用の人』で挑戦してみたいと思いました」と、時代と国境を越えて名作が与えた影響について述懐した。
そして、何が原田に映画を作らせたのか、そのモチベーションについて問われると「経済的に成功することだけでなく、日常をいかに大切に生きるか。自分の好きなことを人生の真ん中に置いて生きることができるかどうか。それを求めている人が今たくさんいるのではないかと思いました。声の大きい人が得をする時代ですが、耳元で大切なことをささやかれる方が皆さんの心は動くと思ったのです」とコメントし、情勢が目まぐるしく変化しささやかなことが見逃されてしまう世の中だからこそ、静かに美を愛する普通の人々にスポットを当てる物語の意義について強く語った。
記者会見を終え、迎えたワールドプレミア上映ではコンペティション部門のメイン会場KURSAAL,1の1800席以上が満席。観客は一人として席を立つことなく、美しい物語世界に没入した。上映後、スタンディングオーベーションの中、スポットライトを浴びた一同が観客にあいさつ。劇場を出ると、階段の上から下まで埋め尽くされた大勢の観客による温かい拍手に包まれながら、会場を後にした。映画祭での初お披露目を終えたばかりの原田監督は「感動の嵐でした!何よりサン・セバスチャンの皆さんが温かく、平和とアートを愛する優しい気持ちを感じ、映画って素晴らしいなと改めて思いました。そして、上映後に多くの人が“この映画を作ってくれてありがとう”と伝えに来てくださったんです!こんなに幸せな映画体験があるのか!と思いました」と興奮冷めやらぬ様子で人生初の体験を振り返った。ある父娘の静かな物語がスペインで大きな感動を呼び、記念すべきワールドプレミアは幕を閉じた。
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記念すべきワールドプレミアの場となった『第74回サン・セバスチャン国際映画祭』はヨーロッパで重要視される、スペイン語圏最大の映画祭。今回、初監督作品がコンペティション部門に正式出品されるという快挙を果たし、現地時間9月21日に行われたフォトコールと記者会見、そしてワールドプレミア上映に原田マハ監督が参加した。雲一つない青空の下、ブラックのスモーキングスーツをまとった原田がフォトコールに登場。衣装は、原田がデザイナーの伊藤ハンスと手掛けているファッションブランド「エコール・ド・キュリオジテ」によるもので、今回の映画祭のために特別に仕立てられた一着。伊藤は本作の衣装デザインも手掛けている。
上映前に行われた記者会見では、原田が15年程前に『楽園のカンヴァス』執筆のため、スペイン全土を取材で回った際にサン・セバスチャンだけ行き逃してしまった過去に触れつつ、「このような形でこの地に帰って来られたことを、とてもうれしく思います」と笑顔であいさつした。作家として20年ものキャリアをもつ原田がなぜ今映画制作に踏み切ったのかを問われると「美術小説を書き続ける中で、自分の頭の中でイメージが動いている感覚が常にありました。そして読者からは、“まるで映像を見ているようだ”という感想がよく届いていたこともあり、私の頭の中で見えている映像を読者と共有したい。それが映画を撮りたいと思った最大の理由です」と長年抱いていた想いを明かした。
本作は英題が“In My Father’s Room”となっているように、主人公・聡美の父の部屋の記憶、そして父が生前に愛していた茶の湯とアートが重要なキーとなっている物語。多くの象徴性が散りばめられた本作を撮るにあたり、スペインの名匠ビクトル・エリセ監督の『ミツバチのささやき』(1973)を参考にしたという原田は、「半世紀前に撮られた作品ですが、この映画の中にある美しさ、象徴性はずっと変わることはありません。40年前に観た作品ですが、全ての象徴性を今もはっきりと思い出すことができます。『ミツバチのささやき』のように、遠くにアートを感じさせる象徴性を、『無用の人』で挑戦してみたいと思いました」と、時代と国境を越えて名作が与えた影響について述懐した。
そして、何が原田に映画を作らせたのか、そのモチベーションについて問われると「経済的に成功することだけでなく、日常をいかに大切に生きるか。自分の好きなことを人生の真ん中に置いて生きることができるかどうか。それを求めている人が今たくさんいるのではないかと思いました。声の大きい人が得をする時代ですが、耳元で大切なことをささやかれる方が皆さんの心は動くと思ったのです」とコメントし、情勢が目まぐるしく変化しささやかなことが見逃されてしまう世の中だからこそ、静かに美を愛する普通の人々にスポットを当てる物語の意義について強く語った。
記者会見を終え、迎えたワールドプレミア上映ではコンペティション部門のメイン会場KURSAAL,1の1800席以上が満席。観客は一人として席を立つことなく、美しい物語世界に没入した。上映後、スタンディングオーベーションの中、スポットライトを浴びた一同が観客にあいさつ。劇場を出ると、階段の上から下まで埋め尽くされた大勢の観客による温かい拍手に包まれながら、会場を後にした。映画祭での初お披露目を終えたばかりの原田監督は「感動の嵐でした!何よりサン・セバスチャンの皆さんが温かく、平和とアートを愛する優しい気持ちを感じ、映画って素晴らしいなと改めて思いました。そして、上映後に多くの人が“この映画を作ってくれてありがとう”と伝えに来てくださったんです!こんなに幸せな映画体験があるのか!と思いました」と興奮冷めやらぬ様子で人生初の体験を振り返った。ある父娘の静かな物語がスペインで大きな感動を呼び、記念すべきワールドプレミアは幕を閉じた。
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