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塚本晋也監督、自作への出演は「出たくて出ている」 学生に語った“好きなことばかり”の映画づくり

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2026-11-03 16:00
塚本晋也監督、自作への出演は「出たくて出ている」 学生に語った“好きなことばかり”の映画づくり
第39回東京国際映画祭、アジア学生映画コンファレンス 「塚本晋也マスタークラス」に登壇した塚本晋也(映画監督) (C)ORICON NewS inc.
 映画監督の塚本晋也が2日、「第39回東京国際映画祭」のアジア学生映画コンファレンス「塚本晋也マスタークラス」に登壇した。劇場映画デビュー作『鉄男』から最新作『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』までの歩みを振り返るとともに、映画を学ぶ学生らの質問に回答。監督に加え、出演、撮影、編集も自ら手がける映画づくりについて、「出たくて出ている」「撮影がしたい」と、その原動力を語った。

【動画】映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』予告編

 自作でいくつもの役割を担ってきた塚本監督に、映像を学ぶ学生から、切実な質問が寄せられた。予算の都合で自分の作品に出演すると、演技や画面など気にかけることが増え、細かな確認がおろそかになってしまう。監督自身は、出演する際に何を意識しているのか。

 塚本監督は「簡単なようで難しい質問」と受け止めつつ、「本当に昔からそればっかりやっているんで、それは得意なんですよね」と回答。「ほかに何にもできないですけど、このことだけは僕はできちゃうっていうか、得意っていうか、好きっていうか」と続け、自ら出演する理由を明かした。

 「自分はお金がないからっていう理由で出ているんじゃなくて、出たくて出ている。自分が一番いいと思っている役を自分でやって。この役は自分じゃないと思ったものには、一切出ない」

 素晴らしい俳優が数多くいる中で、自分が演じるべき役かどうかを見極めるという。出演と演出を両立させるための、具体的な方法も伝授した。まずは自身でカメラをのぞき、照明などを作りながら、代わりの人に画面に入ってもらう。その人に、自分がどう演じようとしているのかを伝え、芝居を組み立てておくという。

 「そうすると、ほぼ自分もできているので、自分が入ったら結構一発で終わっちゃうぐらいになる。絵の確認も最初にしてあるから、あとは自分の芝居が気になるかどうか」

 さらに、自ら編集する立場から「自分の気に食わないところは切っちゃえばいい。いいところだけ使えば大丈夫かと思います」とも。質問した学生は「めちゃくちゃ参考にします」と感謝を伝えた。

■撮影は絵を描くことと同じ 「好きなことばかりが固まっている」

 続いて、撮影監督から監督へ活動を広げようとしている参加者が、監督と撮影を兼ねる理由を質問。予算を節約するためなのか、それとも撮りたいイメージが明確だからなのか。塚本監督は、先ほどの出演についての回答と同じだとし、「撮影がしたいんですよね」と答えた。

 美術を学び、絵を描くことが好きだったという塚本監督。映画を作るようになって絵を描かなくなっても、色の配置や構図を考える時には「絵を描いている時と同じ脳みそを使って」いると説明した。

 「自分にとっては、映画の絵を作るっていうのは、絵を描く作業とすごく似ているので、むしろ欠かせない」

 撮影と編集を自ら担うことには、時間を節約できる利点もある。別の撮影者に画面の修正を伝えて撮り直す過程を、自分でカメラを持てば、その場で行える。後の編集でどの部分を使うかも頭の中で考えながら撮影しているという。

 その上で、「お話を作るのも好きですし、芝居がとにかく大好き」で、そこに絵作りも加わるのが映画だと語り、「好きなことばかりが固まっている」と、創作の喜びを言葉にした。

 作品について言葉を交わす大切さも、海外映画祭での経験から学んだという。当初はテーマを口で説明することに抵抗もあったが、スタッフに促されて話すうちに、自分自身で新たに気づくことも出てきた。「やっぱり言葉を使うっていうのは大事なんだな」と感じ、観客とのやりとりが次の映画の糧にもなっていったと振り返った。

■若い作り手へ「とにかく作ってみたら」

 これから映画を作る若者に向けては、デジタル技術によって制作環境が大きく変わったことに言及した。

 自身がフィルムで映画を作っていた頃は、フィルム代と現像代が大きな負担だったという。『鉄男』で使った鉄は拾ってきたものだったと振り返り、当時は映画の中身以外にお金がかかっていたと説明。一方、今はデジタルカメラと編集機材があれば、映画を作ることができると語った。

 かつては自主制作の8ミリと、劇場で上映する35ミリには隔たりがあったが、今はデジタルという共通の土台がある。塚本監督は、その変化を絵画の「キャンバス」に例えた。ゴッホのような巨匠も小学生もキャンバスに絵を描くことができるように、映画も誰もが同じ土俵で作品を作れるようになったと説明。「あとは内容が良ければいい」と、作品そのもので勝負できる環境が整っていることを強調した。

 機材に費用はかかるとはいえ、「今は非常に恵まれている。土台、土壌があるのだから、とにかく作ってみたら」と背中を押した塚本監督。「お金がないからできなかったという言い訳が利かない分、大変かもしれない」とも付け加えつつ、「やろうと思えばできる時代。何も躊躇することなく、ただ作ってしまえばいいんじゃないかなと思います」と若い作り手たちにエールを送っていた。

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