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800m落合晃「タイムは飾り」“最下位”から生まれた日本記録  理想は世界記録保持者の先行逃げ切り

スポーツ
2025-03-02 12:00

去年7月に福岡で行われたインターハイで1分44秒80という男子800mの日本新記録を樹立した落合晃(18 滋賀学園3年)。これまでの記録を1秒近く更新する快挙は、落合らしいレース展開で成し遂げたものだった。


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落合のスタイルは序盤から積極的なレースを仕掛ける「先行逃げ切り」。このスタイルが確立されたのは、最下位と苦汁をなめた、あるレースがきっかけだったという。


「高校1年のインターハイで消極的なレースをしてすごく悔しい思いをして、そこから次の栃木国体で『自分のレースをやってみる』という挑戦ができて。1周目を先頭で52秒ぐらいで入って、最後は潰れて最下位だったんですけど、そこで自分のスタイルが見つかって、それが今の“フロントで逃げ切る”という走り方が自分に合っているなと。そのスタイルでラストまで持たせようと。こっちの方が後ろの事を考えずに、自分の思うがままに走れるので、最近は自信を持って走れています」


その言葉通り、日本記録を出した去年7月のインターハイでは、1周目を51秒台で入り、後半もスピードを落とすことなく1分44秒80、高校生離れした記録を打ち立てた。最後の直線でも減速しないスパートにはある練習の効果があった。


そのひとつが体幹の強化が目的の下駄を使ったトレーニングだ。
下駄を履くと、体幹を使わなければうまく走ることができない。走りの中でへそから上をうまく使える感覚を体に覚え込ませるように、下駄トレを行っているという。


滋賀学園で下駄トレを指導するトレーナーの宮崎要輔さんは落合の強さについて次のように語る。


「体幹が強い選手は他にもいますけど、多くの選手が体幹を固めている。体幹を固めて強いのではなくて、体幹をうねらす。これが落合選手の強さの秘訣だなと思っています。足で地面を蹴っちゃうと疲れちゃう。へそから上が使えていると、アキレス腱が最大化される。アキレス腱の能力がしっかり使えている選手は、体幹が使えます。逆にふくらはぎとかで蹴ってしまうとアキレス腱が使えないので、体幹も使えなくなる。落合君は腱を使う能力が非常に高いんですよ。それによって体幹がしっかり動いている。足じゃなく胸を前に運べる能力が競技において大事なんですけど、下駄トレで蹴らずに押すことができると、胸を前に運べる。それが非常に身についているなと思います」


7年前から下駄トレをメニューに取り入れ、落合を指導する滋賀学園の大河亨監督もその効果を感じている。


「(トレーナーの)宮崎さんには大変失礼ですけど、半信半疑だったんですよ(笑)。でも下駄をやって接地が安定したおかげで、体幹もブレもなくなったし、上半身と下半身の連動でうまく上半身を動かすというエレベーターみたいな動きとかは実践できているのかなと思います。一番わかりやすいのは、1年生の時の近畿インターハイの映像と、最近の映像を見比べてもらったら一目瞭然です。近畿インターハイの1年の時は、体が上に上がっちゃっているので、体も真っすぐになっちゃっているんですね。最近はやっぱり腰がぐっと前に乗ってきているので、もう全然違います」


「タイムは飾り」理想は世界記録保持者のスタイル

落合に憧れる選手は誰か?と聞くと「800mの世界記録を持っているルディシャですね」と答えが返ってきた。ケニアのマサイ族出身で、オリンピック™と世界陸上で合計4つの金メダルを獲得したデイビッド・レクタ・ルディシャ。190センチの長身を生かした長いストライドが持ち味の選手で、2012年のロンドンオリンピックでは落合が理想とする先行逃げ切りで、自身が持つ800mの世界記録を更新、1分40秒91のタイムを叩き出した。


「フロントで行って、ラスト勝ち切っての世界記録なので、そういう走りは凄く憧れますし、自分の走りにも繋がっているのかなと思います」


高校に入り自己ベストを12秒以上も更新した落合だが、日本記録保持者となっても驕りはない。見据える先は常に世界。本気でそこを目指しているからこそ気付いた事があった。


「『タイムは飾り』だなと思っていて、世界の選手はトラックが整った環境がなかったりとか、不整地の場所で走っていたりする。大舞台に出た時に、強さを発揮するのが世界の選手だなって思って、日本記録は自信にはなっているんですけど、世界では強さが必要だと自分の中では思っていて、その強さを身につけて世界と勝負したい気持ちがあります」


4月からは大学生となる落合が掲げる今年最大の目標は、9月の東京2025世界陸上。開幕まで200日を切った夢舞台へ向け新天地で新たな生活がスタートする。


■落合晃(18)
2006年8月17日生まれ、滋賀県・高島市出身。今津中~滋賀学園高。水泳、スキー、フットサル、トライアスロンなど様々な種目を経験し、中学から本格的に陸上競技を開始。6月の日本選手権男子800m決勝で優勝。7月31日のインターハイでは1分44秒80で日本新記録をマークすると8月のペルー・リマで行われたU20世界陸上では銅メダルを獲得した。卒業後は陸上の名門・駒澤大学への進学が決まっている


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