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超人たちが34年ぶりに東京へ!今年9月に開幕する「東京2025世界陸上」を前に、これまで歴史に名を刻んだ伝説のアスリートたちを紹介します。今回は「世界記録は私の名刺代わり」と言い、女子棒高跳で屋外15回、屋内13回の世界記録をマークしたエレーナ・イシンバエワ(ロシア)に注目します。世界陸上初優勝のヘルシンキ大会が“イシンバエワ劇場”の幕開けでした。
【写真を見る】「世界記録は私の名刺代わり」棒高跳で28度の世界新“ワールドレコードアーティスト”エレーナ・イシンバエワ【2005年世界陸上】
世界新記録がかかった5m01
2005年の世界陸上、女子棒高跳の決勝。バーの高さは世界新記録となる5m01まであがり、残るはイシンバエワただ一人でした。1回目は失敗し、2回目の跳躍準備に入ったイシンバエワ。ヘルシンキオリンピックスタジアムの大観衆4万人が彼女に注目していました。手拍子が鳴り響く中、ポールの握る位置を何度も確認します。そしてスタンドの最前列にいるトロフィモフ・コーチの指示を見た後、何度もつぶやきました。「私は跳べるわ」。
集中を高める独自のスタイルで出番を待つイシンバエワ
決勝では、最初の高さは4m00でその後4m20、4m35とバーが上げられました。イシンバエワが跳び始めたのは次の4m50から。待っている1~1時間半の間、ピット脇に自分のポジションを確保し、じっと出番が来るのを待ちました。イシンバエワはこれまでも競技前、帽子を目深にかぶったり、ウィンドブレーカーのフードをかぶったり、大きなタオルをかぶるなど、自身の視界を狭くして集中するスタイルを好みました。
金メダルが確定…世界新記録への挑戦
4m50を1回で成功したイシンバエワは4m60、4m70とすべてノーミスでクリアしていき、次の4m75をパスしました。ライバルのM・ピクレ(ポーランド)がその高さを失敗して4m60に終わった時点で、イシンバエワの金メダルが確定したのです。ここからは世界新記録への挑戦となりました。
18回目の世界記録更新!完璧な跳躍で喜び爆発
大会の3週間前、女子選手初の5mの大台に成功していたイシンバエワはバーを5m01に上げました。手拍子が鳴り響く場内、すべての観客の視線がイシンバエワに注がれました。1回目は失敗に終わり、2度目の挑戦でした。持ち上げたポールの先端を見つめ走り出したイシンバエワ。きれいなフォームで跳び越え、見事成功し、自身の世界記録も更新したのです。2位と41cmの差をつけての金メダル獲得。マットの上で両手を挙げ、声を上げながら何度も跳びはね、最後にはバク宙で喜びを表現しました。
“ワールドレコードアーティスト”イシンバエワ
試合後、世界記録が表示された電光掲示板の前で記念撮影をするイシンバエワ。「世界陸上の初優勝を世界記録で飾れてうれしい」と語りました。その後2007年、2013年と3回の世界陸上優勝を果たしたイシンバエワですが、2位との差はオリンピックも含め、41cmのヘルシンキ大会が最大でした。
陸上豆知識 Q.最初に手拍子を始めた選手は誰?
跳躍競技の選手たちは自分のリズムに乗って競技を行うため、観客に拍手を求めることがあります。この手拍子を初めてやったのはアメリカの三段跳の選手だったウィリー・バンクスと言われています。元世界記録保持者のウィリーが跳躍前に拍手をし、それに観客が反応して手拍子を始めたことがきっかけで、選手や観客に広まったとされ、選手と一体感が楽しめるのも跳躍競技の特徴です。ちなみにウィリーは1989年から中京大学の特別講師も勤めたこともあり、親日家としても知られる選手です。
東京2025世界陸上 棒高跳「この選手に注目!」
【外国人選手】
<女子>
◆ニナ・ケネディ(27、オーストラリア)4m91
2023ブダペスト大会・金、パリ五輪・金
<男子>
◆アーマンド・デュプランティス(23、スウェーデン)6m27
2022オレゴン大会/2023ブダペスト大会・金、東京五輪/パリ五輪・金
※名前の後ろは自己ベスト
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