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「不倫みたいな感じで…ドキドキしてました」今年急増 韓流装う「ロマンス詐欺」恋に落ちる巧妙な手口【news23】

国内
2024-12-25 07:00

SNSで恋愛感情を抱かせ、金などをだましとる「ロマンス詐欺」についてです。過去最多のペースで被害が増えていますが、「何を言えば恋に落ちるのかたくさん用意していた」と被害者が語る、巧妙な手口に迫りました。


【写真を見る】実際のやりとり


「不倫みたいな感じで…ドキドキしてました」50代女性

取材に応じてくれたのは、50代の斉藤利恵さん(仮名)。相手とのLINEのやりとりを見せてもらうと…


相手からのLINE
「こんなに早く家に着きますか?君が恋しいよ」
斉藤利恵さん(仮名)
「疲れてると思うけど、しっかり美味しいご飯食べてね」


手料理の写真を送るなど、まるで実際に付き合っている恋人同士のようなやりとり。斉藤さんには夫がいますが…


斉藤さん
「なんか不倫みたいな感じで…ドキドキしてましたね」


このメッセージから約1か月後、斉藤さんは相手から550万円もの大金をだましとられることになります。


やりとりが始まったのは、今年3月。斉藤さんのSNSに突然、「今度日本に行きたいがどの季節がいいですか」などとダイレクトメッセージが送られてきたことがきっかけでした。LINEでは相手から繰り返し「美しくて優しい」などと褒める言葉が。

斉藤さんが「写真を見たい」とお願いすると、送られてきたのは、アゴひげをはやした面長の男性。「ソ・ジフン」と名乗っていたことから、斉藤さんは韓国籍の男性だと思っていたといいます。


斉藤さん
「犬みたいなかわいい感じだったので、やり取り重ねるうちにだんだん惹かれていった」


連絡は1分おき。1日200往復を超えるほど、夢中になっていました。


相手からのLINE
「もし私たちが一緒に会うことができればとても嬉しいです。私はあなたを抱いてキスします」


声が聞きたいとお願いすると…


相手からのLINEの音声
「(英語の挨拶)コンバンハ、ハジメマシテ、ドウゾヨロシク」


斉藤さん
「ありがとう!英語も話せるんですか?」


当時のやりとりについて、斉藤さんは…


斉藤さん 
「恋人のようにだんだんなっていった感じです。気がついたらもう心の支えになってました」


そんな恋愛感情を抱き始めていたある日、斉藤さんは暗号資産取引を薦められます。


相手からのLINE
「今日一日中考えて、智勲(ジフン)の暗号通貨取引の富の知識をあなたに少しずつ伝えるつもりです。富に関する知識は誰にも共有したことがありません」


斉藤さんは不安を感じつつ、紹介されたサイトにアクセス。5万円を投資すると、画面上では6000円あまりの“利益”が出ていました。


斉藤さん 
「(Q.実際にサイト上では増えたわけですもんね)疑いもせず、すごいって…賢い人なんだなと取ってしまいました」


その後、「元金を大きくすればもっと利益が出る」などと言われ、斉藤さんは振り込みを続けます。


相手からのLINE
「ハワイのようなところに二人だけの家を買って、一緒に暮らすことができればいいなと思っています」
「昨夜、あなたと暮らしている夢を見ました」


送金後に相手と日本で会う約束をしていましたが、いつまで経っても会えず。暗号資産の取引所も実在しないことが分かりました。詐欺だと確信したときには合わせて550万円をだまし取られていました。


斉藤さん
「相手は私の話を聞きながら、何を言えば(恋に)落ちるのかっていうのをたくさん用意してて。家族で旅行に行けたらいいなって、長年ちょっとずつ貯めてきたお金だったので、それが一瞬のうちになくなってしまって。家族にも申し訳ない」


狙われる「貯蓄ある世代」被害額は過去最悪ペース

警察庁 露木康浩 長官(2024年9月)
「かつて我々が経験したことがない過去最悪の被害の状況であり、極めて深刻な事態」


警察庁によると、「ロマンス詐欺」の被害額は2023年の同じ時期と比べて2.3倍の約346億円。過去最悪のペースとなっています。被害者の年代では、男女ともに50代が多くなっています。


警察当局は…


警察当局
「貯蓄がある世代で、子育てが一段落したタイミングが狙われている可能性がある」


家族も止められない「ロマンス詐欺」

娘とともに取材に応じてくれたのは大島香苗さん(仮名)。大島さんも50代。ロマンス詐欺の被害に遭いましたが、今も相手を信じる気持ちが消えていません。


Q.メッセージが来たときはワクワクした?
大島香苗さん
「本人(人気アイドル)かなと思ったんで」
大島さんの娘
「精神科に通ってもらっているという状況」


家族が被害に気づいたのは、銀行からの1枚の通知がきっかけでした。


「詐欺被害に遭われている可能性がございます。送金額は合計で1600万円を超えております」


15年前から韓国のある人気アイドルのファンだったという大島さん。その人気アイドル本人を名乗る人物から2023年7月、SNSにダイレクトメッセージが届きました。


<DMでのやりとり(再現)>
韓国の人気アイドル(偽物)
「あなたはいつから私のファンですか?」
大島さん
「2009年からファンです」


人気アイドル本人からだと思った大島さんは、嬉しさのあまり連絡を取り合うように。すると、相手から「私と会うためにはお金が必要」などとメッセージが届き、指定された口座にお金を何回かに分け、合わせて1800万円を振り込んでしまいました。


大島さんの娘
「父親の母が亡くなったときの遺産。一番下の妹が貯めてた学資保険。あと消費者金融から借りたお金と…」


大島さんは家族のお金まで使い込んでいたのです。その上、娘が被害に気づいて警察に相談した後も、大島さんは相手とひそかにやりとりを続けていました。


<LINEのやりとり(再現)>
大島さん
「あなたに会うためにいくらなの?」
韓国の人気アイドル(偽物)
「お店に行って、ギフトカードを買ってください。支払える金額ならいくらでも構いません」


「彼に会えるなら」と、電子マネーを買い続けていた大島さん。

さらに、家族がスマートフォンを没収する度に、大島さんはひそかに新たなスマホを契約していたのです。


大島さんの娘
「(スマホの台数は)6台ですね」
「何度も何度も何度も何度も繰り返されて、いつになっても抜け出してくれない。なんで、いきなりどうしてこんなに変わってしまったのか」


大島さん
「娘とかの気持ちは届いてるんですけど、私がそれに応えられない。申し訳ない…」


家族の生活まで狂わせる「ロマンス詐欺」。警察庁は「詐欺の手口は巧妙になっている」「会ったことがない人からお金の話をされたら注意してほしい」と呼びかけています。


(TBSテレビ 社会部 小倉直樹)


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情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

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