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SNS中傷で住所晒しも…自死した男性に何が?取材に応じた当事者「報道のつもりでやってますので」【報道特集】

国内
2025-04-19 20:42

ネット上の誹謗中傷が激しさを増す中、住所などの個人情報が晒され、実生活にまで被害が及ぶケースが相次いでいます。立花孝志氏に住所を晒された男性が今月、亡くなりました。自殺でした。いったい彼に何があったのでしょうか。


【写真で見る】書き込みには岩井さんの名前を忍び込ませて…投稿された自宅住所付近の写真


住所を晒された男性が自死 その最大の理由は「立花孝志です」

立花孝志氏から、住所を晒された被害者がいる。


「みんなでつくる党」のボランティアスタッフだった岩井清隆さんは2025年2月27日、プライバシー権の侵害などとして、立花氏を裁判で訴えた。


岩井清隆さん
「一番被害を受けたのは妻です。私はもう覚悟を決めて、矢面に立って、顔も晒して名前も公開していますから。妻には説明をしたのですけれども、やはり非常に恐怖を感じるのです。おそらく立花さんは、そういうことまで想定しているとしか考えられない」


だが、岩井さんは4月9日、遺書を残して自ら命を絶った。


石森雄一郎弁護士
「岩井さんが追い詰められたんだなと思う反面、やっぱりこういう手段をとって欲しくなかった。一緒に戦っていきたかったという気持ちが強い」

遺書には…

岩井清隆さんの遺書より
「私が死を選んだ、選ばざるを得なかった最大の理由は立花孝志です」


亡くなった岩井清隆さんは、なぜ立花氏に自宅の住所を晒されてしまったのか。


「住所が判明した」立花氏の投稿に多くの反応 

2024年7月に行われた東京都知事選挙では、NHKから国民を守る党が候補者と無関係なポスターを貼る「掲示板ジャック」が問題となった。

岩井さんは、こうした行為をやめさせようとして署名活動を展開。賛同は3万筆を超えた。

2025年1月、立花氏が街頭で選挙活動を手伝っていた岩井さんに出くわすと…。


立花孝志氏
「岩井さん、あなた、僕の誹謗中傷してるじゃん。誹謗中傷してるから聞いているんですよ」

岩井清隆さん
「すみません、警察の方…」

立花孝志氏
「だから警察に一緒に行こう」


この翌日、立花氏が自身のXに、岩井さんの「住所が判明した」と投稿した(※現在は削除)。そこには番地を除いた町名までの住所に続いて「このあとは秘密」と書かれていた。

この投稿の約10時間後、立花氏は岩井さんの名前は書かなかったものの、番地まで住所が完全に分かる投稿をした。


岩井さんの代理人を務めていた石森雄一郎弁護士は…


山本恵里伽キャスター
「住所を2回にわたって投稿された。この手法はどういったことなんでしょうか」

石森雄一郎弁護士
「一つ一つを見れば、住所と名前をフルで晒したものにはならない。実際はこの二つのポスト(投稿)というのは、近接した時間になされてまして、見た人はこの二つには関連性があるということは一目瞭然。立花氏としては一応、何か訴訟とかされたときにはリスクを考えて分けたのではないかと思いますけども、読み手は二つ合わせて岩井さんの自宅住所だと読んでいます」


実際に立花氏が示した住所に多くの人が反応した。


「住所ゲットだぜ」自宅周辺の写真やライブ配信も

そのうちの一人、男性Aは立花氏の投稿の翌日、自身のXに岩井さんの自宅付近の写真を掲載した。書き込みには岩井さんの名前を忍び込ませていた。

その後、岩井さんの自宅付近を歩き回る様子もライブ配信した(※現在は削除)。


男性A
「ただのお散歩、他意はございません。誰だろうね?この近くに住んでいるのね、謎だ。街宣車でぐるぐる回ろうかな」


もう一人、別の男性Bは立花氏との会話を投稿。


男性B
「立花さんが岩井清隆の住所を晒したじゃないですか。そのことで、きょう、なんか訴える的なことを言っていた」

立花孝志氏
「ああ、全然訴えてくれたらいいと思うよ。俺、岩井清隆の住所は晒してないから。俺は住所を書いただけ」

男性B
「別に誰のとは言っていない」

立花孝志氏
「備考として出したのと、あなたの住所分かっているから、もうちょっとだまれというのはあった。別にそこに行って何かしろという意思はなく、簡単に言うと、彼(岩井さん)訴えているのよね、俺の支持者を。そこから岩井が原告で訴えているから岩井の住所が分かった」

男性B
「僕も岩井を訴えたいので住所を教えて」
「岩井の住所ゲットだぜ」


男性Bは、これまでも自身のYouTubeに岩井さんにふれた40本以上の動画を上げてきた。


男性B(※現在は非公開の動画より抜粋)
「はい、今日の岩井。岩井清隆さんのことを取り上げると(再生回数が)伸びる」「うちの動画、岩井だらけや。しまいには岩井に訴えられるんちゃうかな」


岩井清隆さん
「現実的に犬笛と言わざるを得ないような事態が大きく発生している。私の自宅の写真が晒されたり、近くに訪問したことを脅しのような文句をつけて公開するといったようなことが起きています。あえてこういう言い方しますけど、立花孝志現象というのは、立花孝志さんという1人の個人を核とした一連のムーブメントであるということを、現実的な事象をもって、ぜひとも知っていただきたい。結果的に少しでもそうした動きに対して、くさびを打ちたいという狙い」


しかし、裁判費用のカンパをSNSで募った岩井さんはさらに追い詰められていく。


“嫌がらせ”の少額寄付 振り込み人名義「サイバンデオカネホシイ」岩井さんは「すごく傷ついていた」

寄付者に対し「会計報告を行う」と発信すると、それを逆手にとった寄付が相次いだのだ。


岩井さんが投稿した通帳の画像には、1円や5円など、極めて少額での寄付が記されていた。

振り込み人名義には差別用語や、「サイバンデオカネホシイ」といった中傷する言葉も。


YouTubeの投稿(※現在は削除)
「1円ほど寄付させていただきました」

Xの投稿
「今流行りのことを真似してみました。ご縁(5円)がありますように」


石森雄一郎弁護士
「私も見て嫌がらせだなと思いました。そういった行為に関して(岩井さんは)すごく傷ついていた」


このころ岩井さんは、こう投稿していた。


岩井さんの投稿
「精神的な『殺し屋』に囲まれ、監視され、標的にされていることは痛感する」


一番最初に少額での寄付をした男性が電話取材に応じた。この男性をきっかけに、1円や5円での寄付が相次ぐようになった。


最初に少額寄付をした男性
「会計報告が見たいなと思ったんですよ。正直少額すぎたのはあるんですけど、100円寄付したんです。金額に指定なかったので」


その後、振り込みに差別用語などが使われたことについては。


最初に少額寄付をした男性
「あまりよろしくない行為ですね。僕は実名で振り込んでますし、嫌がらせのメッセージを伝えるためのツールとして(寄付を)使うような方法論を示したりは一度もしていない」


遺書で名指しされた配信者に直接取材「予期もしていなかった亡くなり方をされて正直ショックでした」

ネット上で岩井さんへの攻撃を繰り返していた2人が「報道特集」の取材に応じた。

自宅周辺の映像を配信していた男性Aは、岩井さんが亡くなったことに対し…


男性A
「申し訳ありませんが持病もあり、気持ち的にも誰かとも喋りたくありません。逃げるつもりはありません」
「後悔しています」


さらに、自身のチャンネルで、繰り返し岩井さんの動画を掲載してきた男性Bがカメラ取材に応じた。

岩井さんの訃報を聞いて以来、自分の行動を顧みる日々が続いているという。


 男性B
「単純に岩井さんが亡くなられたことはショック。突然、予期もしていなかった亡くなり方をされて正直ショックでした」


――精神的に負荷をかけていたのでは?振り返ってみて、彼の住所についての言及はどう思う?

男性B
「今思えばそうだったのかなと思いますけど、配信の中でやったのは不用意だったのかなと思っております」


立花氏を批判した岩井さんに対しての不満が、現場で顔を合わせるうちにどんどん膨らんでいったという。


男性B
「声かけりゃよかったんですよ。後悔ですね。声かけて、わだかまりをお互い修正して、和解というか仲直りですね。そしたら良い結果になってたかもしれないじゃないですか、ひょっとしたら」
「岩井は敵だということじゃないですか。綺麗ごと言うつもりはないですけど、本当にそう思ったんです」


兵庫県知事選中、立花氏は虚偽や誹謗中傷を含む演説をし、男性はその内容を配信し続けた。その理由については。


男性B
「立花さんを追っかけるのが楽しいから」
「やっぱり演説がうまいじゃないですか。やっぱり面白い」


――その中で、事実に基づかない発言やデマ・誹謗中傷が繰り返されていますが

男性B
「それを言ったら僕はこういうのもあれですけど、報道のつもりでやってますので」


男性は、岩井さんに関する動画を非公開にし、今後削除する予定だという。

兵庫県の竹内英明元県議が自殺し、家族が傷ついていることを伝えると、最後に男性は…


男性B
「竹内さんが亡くなったことに、めっちゃ感情移入している方とかいるじゃないですか。何でこの人は、別に家族でもないのに感情移入してるんだろうと思ってたんですけど、今回分かりましたね、理由が。やめます」


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