生活保護の支給額の引き下げは違法だとして、全国の受給者が国を訴えた裁判で、あす最高裁が判決を言い渡します。原告の一人が取材に応じ、「国は間違いを認めて欲しい」と思いを語りました。
愛知県刈谷市に住む千代盛学さん(71)。生活保護の引き下げは違法だとして、国に賠償を求めた集団訴訟の原告の一人です。
千代盛さんはおよそ15年前に糖尿病を患い、視力をほとんど失いました。長年、和食の料理人や電気関係の仕事をしていましたが、視力を失った結果、仕事も失いました。
千代盛学さん
「消費税、食品だけでも0%にしてくれんかな。お願いだ」
一人暮らしの生活を支えているのは、月13万円ほどの生活保護です。
千代盛学さん
「(就職のため)会社ももうだいぶ行ったし、みんな断られました。誰も好き好んで生活保護なんかいきたくないです」
朝食は、薬を飲むためにパンを1つ。節約のために昼食はとらず、夜は冷凍した手料理を少しずつ食べています。
千代盛学さん
「(Q.夏もあまりクーラーつけないですか)ほとんどつけません。(Q.体調悪くなったり)なったらなったでしょうがないです。こういう生活しかできないものでね」
シャワーも週に1度だけ。家電を買い替える余裕はなく、人付き合いもなくなりました。
千代盛学さん
「日々の生活、食っていけるというか、それでも削らなあかん状態なもので。生かさず殺さず。もうその状態です」
生活保護をめぐって、国は2013年から3年にわたり、デフレによる物価下落などを踏まえて支給額を最大10%引き下げました。千代盛さんも月2650円ほど減額されました。
千代盛学さん
「2650円あったら、それはだいぶ違います。たとえ10円でも100円でも、貴重なお金やと思っているので」
千代盛さんら受給者は、引き下げは違法だとして、国に取り消しを求めて全国で集団訴訟を起こしました。
このうち12件で高裁判決が出ていますが、7件で「違法」、5件で「違法ではない」と判断が分かれています。
千代盛さんらが勝訴した名古屋高裁の判決では、国の引き下げの手法について「独自の指数を基にした消費実態とかけ離れたものだ」と指摘されました。
違法か合法か、最高裁が統一判断を示すとみられる今回の裁判。先月の弁論で国側はこう主張しました。
国側
「引き下げの判断は厚生労働大臣の裁量権の範囲内だ」
千代盛学さん
「間違いは間違いで認めて欲しいです。引き下げた部分でも戻してもらえたら、ありがたいなと思っています」
最高裁の判決はあす。千代盛さんたちの声は司法に届くのでしょうか。
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