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障害がある人が、“できる”ではなく、“やりたい”仕事で自信と誇りを持って働く「ソーシャル グッド ロースターズ千代田」

国内
2025-07-08 06:00

千代田区のコーヒー焙煎所「ソーシャル グッド ロースターズ」

障害のある人が、“できる”仕事ではなく、“やりたい”と思う仕事で、自信と誇りを持って働き、成長できる機会を提供しているコーヒー焙煎所「ソーシャル グッド ロースターズ千代田」を取材しました。


【写真で見る】スタッフがイラストを描いているスリーブ


この施設は、千代田区と共同で設立された就労継続支援のための福祉施設で、東京メトロ新御茶ノ水駅の近くにあります。障がいのあるスタッフが、コーヒー豆の仕入れから、機械を使った焙煎、さらにはカフェのように、バリスタとしてコーヒーを淹れて、お客さんへの提供まで行っています。


仕事がないのではなく、“やりたい”仕事が見つからない…

「ソーシャル グッド ロースターズ」を運営している、一般社団法人ビーンズの代表理事を務める坂野拓海さんにこのような活動を始めた経緯について聞きました。


一般社団法人ビーンズ代表理事 坂野拓海さん
「最初は、障害のある子供たちと一緒に遊びに行ったり、外出する支援をしていたんですけども、親御さんとお話する中で、将来働いてみたい場所がないとか、やりたい仕事がないっていう声が結構あって…。確かに求人は1,800個あるんですけど、職種が7つぐらいしかなくて…だからみんなが言っているのは、仕事がないんじゃなくて、やりたい仕事が見つからないということだったんです。なので、『本当にやってみたい仕事って何?一緒に考えよう』っていう話から始まったんですけども、たまたまそういった話をカフェでしていた時に、そこで働くカフェの店員さんがすごく楽しそうに仕事をしていたのを見て、その場にいた当事者の方やご家族の方がこういう仕事やりたいみたいな話になったんですよ」


専門的な仕事をしたい、人と関わる仕事がしたいといった当事者の方の声が多かったのと、話し合いをしていた場所が、カフェだったということが重なって、コーヒーの仕事をすることになったということでした。


ただ、やるからには本気でやろうということで、障がいのある方が「作業をする」場所ではなく、本気でコーヒーの仕事に挑戦することを支えられる場所を作りたいということで、この施設を作ったそうです。


そのため、仕入れる豆の選定から、コーヒーを淹れてお客さんへ提供するまでといった、コーヒーショップとして一連のプロセスが経験できるようになっていたり、焙煎の機械もコーヒーの大会で使われるような本格的な機械を取り入れたりしていて、福祉施設というよりもひとつのカフェのような場所になっていました。


大好きなコーヒーの仕事ができて、働いていて楽しい!!

「ソーシャル グッド ロースターズ千代田」では、精神障害や発達障害、軽度の知的障害の当事者など、さまざまな方が46名在籍していて、毎日20名前後の方が働いています。実際に働いている人に、働いて感じたことなどを聞いてきました。


従業員の声
「実際にお客様と対面で物を売ったり、コミュニケーション取りながら、もの作りをしていくっていうのはちょっとすごい覚悟だなっていうのはありました。トレーナーの方の手を借りたりして、仲間と一緒に作ったものをお客様が飲んで、『美味しい』とか言われるのは、すごく嬉しいですね。やりがいはそこですね」


インタビューに応えてくれたのは短期記憶障害の当事者で、以前は別の作業所で働いていたそうなのですが、大好きなコーヒーの仕事ができるということで、こちらの施設で働くようになったそうです。また、一番好きな仕事は焙煎の仕事だということで、自分で考えて火力設定したものが、バシッとはまるとすごく嬉しくて、仕事をするのが楽しいと話していました。


また、他にもトレーナーと呼ばれるサポート役の方が7名在籍しています。中には、元々バリスタとして働いていた方もいて、自分がしてきたコーヒーの仕事を何か別のことに生かせないか探していた時に、この活動に出会ったそうです。


カフェはオフィス街の人気店に

実際の店内はオシャレなカフェで、明るく、雰囲気も良い印象でした。


また、近くに会社が多くある地域にあるので、ランチ終わりに食後のコーヒーを飲みに来るお客さんが多いそうです。取材に行った日は、ネットで調べて来たという人や、平日は毎日通っているという人が来ていたので、話を聞きました。


ソーシャル グッド ロースターズ お客さんの声
「職場の近くでカフェを調べていたら、ここを見つけて評価が高かったので、行ってみようかなと思って初めて来ました」
「食べログとかGoogleとかで見て、そういうことをやってるのがいいなと思って来たって感じですね」
「コーヒーが美味しいのはもちろんのこと、毎日のコミュニケーションが楽しいので、通わせてもらってます」


お客さんは、普通のカフェとして「ソーシャル グッド ロースターズ千代田」に来ていて、まさに活動を始めたときに坂野さんが目指していたような場所になっていました。


去年3月には、JR上野駅の構内にエキュート上野店を出店し、障害のあるスタッフが焙煎士やバリスタとして活躍できる場を広げています。


エキュート上野店は、1日に200人近くのお客さんが来るといった環境のため、最初は心配の声も多かったそうなんですが、いろんな人の協力や応援があり、今では千代田店で経験を積み、将来的には上野店で働くことがスタッフの目標になっているということでした。


今回の取材を通じて、障害の有無に関わらず、”やりたい”仕事を選べる環境を作っていくことの大事さを感じました。


お近くをお立ち寄りの際は、ぜひ「ソーシャル グッド ロースターズ千代田」や「ソーシャル グッド ロースターズ エキュート上野店」を訪れてみてください。


(TBSラジオ「人権TODAY」担当:恒藤泰輝)


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