
政局カリスマ・後藤健次が参院選後をズバリ読みぬきます。石破総理は、(1)総裁選後の「総理指名選挙」で自民党総理誕生の保証がない、(2)「トランプ関税」協議の締め切りが参院選後で、協議大詰めの時に「石破おろし」はできないと分析します。そして、「過半数割れで、メディアにボコボコにされても耐えれば、退陣はない」とズバリ。参政党については「国民の不安にストライクボール」。選挙の最中「運よく能登で…」と語った鶴保氏については「お詫び会見もぞんざいで、恥の上塗り」と怒りをあらわに。人気独走の解説をぜひご覧ください。(聞き手:TBSテレビ政治担当解説委員 石塚博久)
【写真で見る】なぜ?過半数割れでも「辞任はない」ー石破総理は“総理指名”と“トランプ”に守られている
“日本人ファースト”で台頭した参政党 ー世論調査では約8割が「外国人規制を強めるべき」と回答
ーーJNNの世論調査では「外国人規制を強化すべき」と考えている人が8割近くに上ったほか、“日本人ファースト”を掲げた参政党が議席を増やしたこともあり、今回の選挙でもたくさんの政党が外国人規制を盛り込んでるんですけれども、政策をどうご覧になりますか。
政治ジャーナリスト 後藤謙次氏:
これは、とにかく政策面では最初から『海外の投資を招こう』とか、『インバウンドを増やそう』とか、それから日本人の人口がどんどん減っていく中で、外国人に労働力を求めるという国の政策で、むしろ外国人を増やそうという流れがあった。それに対して、あまりにも増えすぎたんで、我々の生活を脅かされてるんじゃないかという、国民全員が抱く不安というか、「今後どうなるんだろう」っていう機運に対して、ストレートボールを投げたのが、参政党だったわけですね。“日本人ファースト”と。これがまた一気にSNSの普及と相まって拡大をしてきた。
そこで各党がこれまずいなということで出てきて、参政党の後追いで政策立ててもね。要は移民を認めずに、無理やりやってきたツケがここに出てきてるわけですから、もっと少子化対策プラスそれに対する移民、外国人とどう向き合うのかっていう。そういう政策で戦えばよかったんですが、非常に各党とも選挙の中で対処療法的なことやってるんで、逆にここで変な絆創膏貼っちゃうとですね、絆創膏が剥がれたときに、より混乱を招くんじゃないかっていう気がします。
ーー実際、大きなビルの工事現場を見るとほとんどの人は外国人ですし、地方では喧嘩したり暴れたりする外国の人がいるという話もある。
後藤謙次氏:
それはどこへ行ってもそういうことはあるしね。特に農業なんかは、外国人労働者に依存するのは非常に大きいですよね。水田はともかく、畑作。例えば高原野菜とかですね、こういう朝早く起きて、重労働をやるというところは相当依存をしててですね。そこが一概に日本人ファーストと言ってれば、日本人そのものの生活も成立しなくなるんで、そこは冷静に考えた方がいいと思いますね。
「鶴保発言」で自民窮地に追い込まれた参院選
ーー自民党の鶴保参院予算委員長が、8日の演説で「運のいいことに能登で地震があった」と発言し、後に陳謝・撤回する事態となりましたが、参院選への影響は?
後藤謙次氏:
これをうっかりで済まされないですよね。「泣きっ面に蜂」「弱り目に祟り目」。自民党が非常に苦戦をしてる最中に、タイムリーエラーという言葉がふさわしいかどうかわかりませんが、かなり致命的な出現と言っていいと思いますね。それプラス、この鶴保さんの発言に対して自民党は有効な対応をしてこなかった。森山幹事長、厳重注意と言ってますけども、過去にこの類の発言をした場合、閣僚も即更迭。それに値する。立憲民主党の野田さんが昨日、失言のレベルじゃないと言ったまさにその通りだと思うんですね。対応をどうするか、そこも選挙戦に大きな影響を与えると思います。
ーー震災で家族を亡くした方もおられるわけで、どうしてこういう発言が出るのかと思いますね。
後藤謙次氏:
私は参議院の特殊性っていうのがあるんだと思うんです。選挙に当選すれば、6年間ないと。6年間ないとですね、どうしても有権者との間の距離感がどんどんどんどん離れてしまう。また、自分は特別なところにいるんだという思い上がりというのが、お詫びの会見の中でもね。申し訳ないけど鶴保さんが、ぞんざいな対応で、とても反省をしてるという状況じゃない。これもさらに恥の上塗りといいますか、よりマイナスを増やしたという事が言えると思いますね。
トランプ大統領の「25%関税」通告—石破政権存続の隠れた“味方”となるか
ーー日米関税は話が進んでいるかと思いきや、書簡での通告。“わずか25%”と配慮している雰囲気を演出してはいますがどうなんでしょうか。
後藤謙次氏:
私は今回のトランプ大統領のこの表明について、石破さんに結構優しいなと感じました。昔、金丸信さんっていう自民党の実力者が、「政治というものは叩いているけれども、さすっていることもあるんだ」と。つまり遠くで見ると叩かれてるように見えても、近くに行くと叩いてるんじゃなくて、痛い場所をさすってるという表現もあるんですが、今回トランプ大統領の一連の動きを見ますとね。24%を25%にしましたよね。ほとんど水平っていうか、ちょっと上がったぐらいで、しかもその付随効果として、折衝期間を8月1日まで延長すると。しかもその8月1日の延長というのはですね、7月20日に日本で参議院選挙があって、そのあと10日間でおそらく集中的にやりましょうということで、石破さんにかなり明確な目標を与えたと。つまりここをクリアすれば、石破政権に一つのある面でエネルギーを注入できると。しかも、7月19日、大阪・関西万博のアメリカのナショナルデーにベッセント財務長官が来る。これは石破さんが今年2月にホワイトハウスで会談したときに、「ぜひトランプ大統領に7月19日に来てもらいたい」と言った。ある面で代理として、日米の米側の責任者を出すということは、やっぱりトランプ大統領に、そこにかなりのメッセージが込められてるんじゃないか。
参院選 “瓶の蓋”としての石破総理の命運
ーー今の情勢調査だとこの50を巡る攻防になってるんですね。参議院で過半数いかなかった場合、ズバリ石破総理は退陣する可能性はあるんですか。
後藤謙次氏:
当然退陣の可能性はありますし、とりわけ大きく負けた場合はね、なかなか抗弁が通用しないんですが、さっき石塚さんおっしゃったようにスレスレギリギリの場合には、いろんな判断があってですね。確かに建党史上初めて衆参両院で少数与党ということも考えられるんですが、逆に石破さんに代わるような人が果たして出てくるのか。とりわけ自民党の総裁選を開いて新しい人が当選したとしてもですね、「自民党総裁=日本国総理大臣」だという保証はどこにもないわけですね。衆議院で過半数割れしているから。もう一度石破さんが、退けば、衆議院でもう1回首班指名選挙をやらなきゃいけない。ですから石破さんは安全保障論議のときに言われましたけど“瓶の蓋”と。その蓋を取るとですね、中から何が出てくるかわからないと。とにかく石破さんが“瓶の蓋”として頑張れば、首班指名選挙をやらずにある程度クリアできるんじゃないかと。
その時の最大の核心というのは、石破さんにメディアでボコボコにされてもそれに耐えうるだけの「自分はこういう使命があるんだ」ということを国民に言えるかどうか。私はそれが選挙直後の日米協議だと思うんですね。この協議をやってる最中に“石破おろし”っていうのは、なかなか声が出にくいんだと思うんですね。政府が一生懸命、アメリカ側と、この日本の命運をかけたような交渉をしてるときに中でバタバタやるなと。政治の言葉に「政争は水際まで」っていうことがあるんですね。つまり国境を越えて権力闘争をやっちゃ駄目だよと
今そういう局面なんで、ここで石破さんが一歩踏み込んだ対等の日米交渉を演じるという状況が生まれたら、直ちに石破おろしというのは私は起きないんじゃないかなというふうに思います。
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