32分の7。全国最多の候補者数となった東京選挙区では、7議席をめぐって32人が激戦を繰り広げています。取材を進めると、参院選を特徴付けるいくつかのキーワードが見えてきました。
都内のプールに姿を見せたのは、自民党の新人・鈴木大地氏(58)。鈴木氏といえば、ソウルオリンピックでは代名詞の「バサロ泳法」で金メダルを獲得。その泳ぎは今も健在です。
初代・スポーツ庁長官という実績をアピールする鈴木候補。陣営のスタッフシャツには「836」の文字が入り、さらに、ビート板を模した応援グッズまで。スポーツの力で健康寿命を延ばすと訴えます。
自民党・新 鈴木大地 候補
「私はスポーツで人生が変わりました。今度は政治で社会を変えたい。運動やスポーツの力で病気にさせない日本、いつまでも健康で輝ける社会を目指したい」
32人が立候補し、群雄割拠の東京選挙区。特徴付けるキーワードが「実績」と「タレント性」です。
「写真一緒に撮ってもらっていいですか?」
道行く人の写真撮影やサインの求めに応じているのは、国民民主党の新人・牛田茉友氏(40)。今年4月にNHKを退職したばかりの元アナウンサーです。
国民民主党・新 牛田茉友 候補
「子どもたちが元気に生きられる社会にしたいね」
政治討論番組の司会を務めるなど、アナウンサーとして実績を積み重ねてきた牛田氏。子どもの発達障害を取材した経験などから、課題の解決には政治の力が必要だと感じ、立候補を決意したといいます。
国民民主党・新 牛田茉友 候補
「NHKで16年間、様々なニュースを読んできました。児童虐待のニュースや子どものいじめの問題。何度伝えて、何度問題提起しても、全然ニュースが変わっていかない」
一方、高い知名度を誇るのは他にも。人気ユーチューバーのHIKAKINさんにも影響を与えたのが、立憲民主党の奥村政佳氏(47)です。
立憲民主党・現 奥村政佳 候補
「保育士でもあり、気象予報士でもあり、ミュージシャンでもありますので。『RAG FAIR』というグループで紅白歌合戦に出ました」
得意のボイスパーカッションでアカペラブームをけん引してきた奥村氏。保育士や気象予報士などの資格を持つなど、多彩な一面を見せ、去年、繰り上げ当選で参院議員になりました。
立憲民主党・現 奥村政佳 候補
「日本の子どもたちの笑顔を支えている保育士さん。保育士さんだけじゃないんです。介護や運送や様々な業界、今まで日本、政府がほったらかしにしてきたから人手不足になり、深刻化し、そういう中で奥村政佳は現場の声をあげていきます」
一方、たすきに猫の足跡の模様を入れ、動物愛護政策などを訴えるのは、同じ立憲民主党の塩村文夏氏(47)です。
元タレントで、都議を務めた後、2019年の参院選に出馬し、初当選。AV出演の被害防止・救済法案の成立に尽力したほか、不妊治療の保険適用にも取り組んできました。
立憲民主党・現 塩村文夏 候補
「不妊治療、当時悩んでいる皆さん、自分の声は小さいかもしれない。小さな声がたくさんあって、それはしっかりと大きな力になって、私たちに届けてくれればきっと政策は変えることができる」
6党の党首が第一声の場に選ぶなど、重点選挙区ともなっている東京選挙区。各党が訴えたのは、参院選の最大の焦点「物価高対策」です。
国民民主党・新 奥村祥大 候補
「私が政治の道を志したその原点は既存政治への怒りです」
選挙戦初日。玉木代表も応援に駆けつけたのが、東京選挙区で最年少の国民民主党・奥村祥大氏(31)です。「現役世代から豊かになろう」と減税を訴えます。
国民民主党・新 奥村祥大 候補
「(所得税)178万円まで控除の金額を引き上げて、皆さんの手取りを増やしていきたい。現役世代から豊かになろう」
年収「103万円の壁」の「178万円」への引き上げを訴え、178か所で街頭演説をする予定だと話す奥村祥大氏。
一方、「消費税は廃止」とトレードカラーのピンクの車体に掲げるのは、元衆院議員で、れいわ新選組の山本譲司氏(62)です。有権者に対し、これまでれいわ新選組が消費税の見直しをリードしてきたと訴えます。
れいわ新選組・新 山本譲司 候補
「私たち、ずっと消費税の問題は6年前から、れいわ新選組ができた時からやってる。他の党は選挙前になって突然言い出しているわけです。選挙のための、票を取るための消費税議論と言われてもね」
社民党の西美友加氏(53)も消費税の見直しを訴えます。
社民党・新 西美友加 候補
「物価高騰の今こそ、消費税を見直せば確実に物の価格が引き下がります。社民党、お約束します」
「消費税の減税や廃止」を訴える野党に対し、与党は「責任政党」を前面に選挙戦に臨んでいます。
今回の参院選での引退を決めた山口元代表の後継に指名されたのが、公明党の新人・川村雄大氏(41)です。大学病院で外科医として勤務してきた川村氏は、「政治にメスを」と医療改革を訴えます。
公明党・新 川村雄大 候補
「医療は皆様の命を守るために、絶対守り抜かなければならない。一方で、現役世代の方の社会保険料も下げてあげたい。命と暮らしを守る、現役世代の希望を形にする、未来の子どもたちに持続可能な社会を残す」
一方、「健康長寿社会」の実現を訴えるのは、自民党・厚労族の重鎮、武見敬三元厚生労働大臣(73)です。
自民党・現 武見敬三 候補
「高齢者の皆さんにもしっかり所得を確保して頂く。若い人たちの負担を増やさない。好循環の活力ある健康長寿社会を社会的にデザインして、実行できる政党は自由民主党しかございません」
6年前の参院選では、当落ラインギリギリの6位での当選となった武見氏。
当選のためには自民党の支持層である「保守票」を獲得できるかが鍵とみていますが、今回の参院選では、この「保守票」の取り合いが激化しています。
台風の目となっているのが、「日本人ファースト」を掲げる参政党のさや氏(43)です。
参政党・新 さや候補
「日本人ファーストと言って嫌がるのは誰なんでしょうか。私には理解できないのですが、日本は日本人の国です。皆さんと一緒に耕し続けていきたい、次の世代を生んでいきたい」
歌手でもあるさや氏の姿は公示の2日前、都内のライブスタジオにありました。ステージの中盤、観客とともに歌ったのは「君が代」です。
「保守票」の行方が当落を左右する状況となる中、日本保守党の小坂英二氏(52)は「日本人の幸せの基盤を守る」と訴えます。
日本保守党・新 小坂英二 候補
「この3年間で東京都では外国人が4割も増えた。日本全体でも100万人増えた。日本人の居場所がなくなる、日本人が追い出される。日本人のための国にもう一度戻さなきゃいけない」
今回の選挙戦、各陣営が趣向を凝らすのが、SNSを活用した情報発信です。
日本維新の会の音喜多駿氏(41)はドラマ仕立ての動画で社会保障政策を訴えます。
日本維新の会のXより
「えぇ?!これ全部湿布ですか?!」
「病院で貰ったやつよ」
「これ全部、俺らが働いて納めた社会保険料なんだけどー!!社会保険料、高すぎるでしょ」
音喜多氏は現役世代の負担を減らすため、社会保険料の引き下げを訴えます。
日本維新の会・元 音喜多駿 候補
「給与明細をよく見て下さい。ほとんどの所得層の方にとって、税金より重いのが年金保険料、健康保険料の社会保険料なんですよ。医療費を4兆円削減することで、年間6万円の健康保険料を引き下げたい」
一方、共産党もネット戦略に力を入れています。候補者の吉良佳子氏(42)も動画配信などで政策の周知をはかります。「大企業・富裕層の優遇を見直す」と訴えています。
共産党・現 吉良佳子 候補
「税金の不公正な取り方、歪んだ税金の取り方を改めさせて、庶民への負担になる消費税は減税する。この仕事を進めていこう」
参議院選挙・東京選挙区にはこのほかにも、
吉永藍氏(無所属・新)
土居賢真氏(無所属・新)
藤川広明氏(諸派・新)
峰島侑也氏(諸派・新)
酒井智浩氏(諸派・新)
福村康広氏(諸派・新)
桑島康文氏(諸派・新)
渋谷莉孔氏(諸派・新)
吉田綾氏(諸派・新)
吉沢恵理氏(無所属・新)
市川たけしま氏(諸派・新)
平野雨龍氏(無所属・新)
山尾志桜里氏(無所属・新)
千葉均氏(諸派・新)
増田昇氏(無所属・新)
辻健太郎氏(諸派・新)
早川幹夫氏(諸派・新)
石丸幸人氏(諸派・新)
高橋健司氏(無所属・新)
が立候補しています。
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