7月21日は「海の日」ですが、早くも水難事故が数多く発生しています。もし、海や川で流されそうになった場合、どう対処すればいいのでしょうか。
【写真で見る】「助けっ…!」大声で手をふった瞬間、水中に沈みゆく記者(体験レポ)
水難事故には「ういてまて」…あなたはこの言葉を実践できますか?
高柳光希キャスター:
18日、関東を中心に梅雨明けとなりました。本格的な暑さが広がり、夏が始まります。
そんななか、21日の海の日を前に、水難事故が多く発生しています。
2024年の水難事故の発生件数は1535件で、過去10年で最多となっています。(警察庁資料より)。
なぜ水難事故は増加しているのでしょうか。
水難学会の斎藤秀俊理事によると、理由の一つは「猛暑」です。連日の暑さのなかで、水のレジャーに触れる機会が増えていることが挙げられます。
そして、ゲリラ雷雨などの「天気の急変」も一つの要因となっています。
さらに挙げられるのは「水に触れる機会の減少」です。近年、学校でプールの授業が減っていることも大きな要因です。
TBS報道局社会部 秋本壯樹 記者:
水難学会の斎藤理事によると、「猛暑の影響でプールの授業の中止が相次ぎ、事前の安全対策を受けないまま、水の中に入ってしまうことが原因に挙げられる」といいます。
高柳キャスター:
実際に溺れてしまったときやパニックになったとき、どんなことを意識すればいいのでしょうか。
秋本記者:
斎藤理事は、海や川などで流されてしまったら「ういてまて」と呼びかけています。
焦らずに、正しく浮いた状態で救助を待つことが大事なようです。救助が来るまで、自ら呼吸を確保することが生還への一番の近道になるとのことでした。
「ういてまて」とは実際にどういうことなのか、私自身の体験をもってお伝えしたいと思います。
「ういてまて」ポイントは“力を入れてはいけない”
秋本記者:
「ういてまて」のポイントは、▼仰向けで、▼動かず顔を水面から出し、▼あご上げ気味に、▼肺に多くの空気を入れることです。
この体勢によって、海や川で流れや波が強い場所においても、体を安定して浮遊させることができるということです。
私も最初は難しくてすぐに沈んでしまったのですが、足を大きく広げてリラックスすることで上手く浮けるようになりました。
事前の経験の有無だけで、とっさの状況の動きは変わってくると思うので、1回でも練習していただくことが大切だと思います。
日比麻音子キャスター:
そこが重要だと思います。やはりいざというときにパニックになっていると、冷静な思考が非常に難しいと思うので、まずは「ういてまて」という5文字を覚えていただきたいです。
実際に水面に浮くコツとして、体のどの部分の力を意識することが重要ですか。
秋本記者:
逆に“力を入れてはいけない”という部分を意識することだと思います。とにかく溺れてしまったら冷静になって、力を抜いて浮くことです。
日比キャスター:
「ういてまて」のコツを掴んだきっかけなど、何かありましたか。
秋本記者:
やはり練習していく、試していくうちに、自分なりの浮くコツを体得できたのが大きいと思います。
南波雅俊キャスター:
水のレジャーでいうと、個人的には釣りに行くのですが、特に湖などは風が強く、激しい波が立っている場合もあります。そういう状況下で、気をつけるべきポイントなどはありますか。
秋本記者:
水に落ちてしまったとき、波があっても力を抜いて浮くことで、顔に水がかかってしまう場合でも冷静に対処できるのではないかと思います。
日比キャスター:
波があっても浮くことができると覚えておくことも大事かもしれません。
水難事故には冷静沈着を…助ける側としての意識も
高柳キャスター:
皆さんに覚えてほしいのは「ういてまて」の5文字です。
呼吸を確保するときの姿勢として、3つのポイントがあります。
(1)仰向けになる
(2)アゴを少し上げる
(3)できるだけ体の力を抜く
体が水面に入っているとき、外に出ていられるのは(体の)約2%ほどといわれていますので、その2%を口元にすることが一番大事になってきます。
どうしても助けを求めたくなってしまいますが、動くと体力を消耗しますし、叫んでも肺の空気が減って沈みやすいという、負の連鎖に陥ってしまいます。
秋本記者:
普通に浮いている状態で「助けて」と声を出し、手を振ってしまうと、本当に一瞬で沈んでしまいます。
日比キャスター:
体のバランスが崩れてしまうということでしょうか。
秋本記者:
そういうことです。空気が抜け、沈んでしまいます。
高柳キャスター:
緊張状態でいかに冷静になって、叫ばず、動かずにいられるかが大事になってくるということです。
溺れている人やパニックになっている人を見かけた場合、我々はどう対処すればいいのでしょうか。
【流されている人を見かけたら】
▼飛び込んで助けに行かない
▼すぐに消防へ連絡(119番)
▼「ういてまて」大声で叫ぶ
▼ペットボトルなど浮くものを投げる
(水難学会 斎藤理事によると)
秋本記者:
声をかけられると安心感があります。
常に「見ている」ということを流されている方にもわかってもらい、ちゃんと浮いてもらうという意識が大事だと思います。
日比キャスター:
「助けたい」と思って水に入り、共に事故に巻き込まれるというケースも過去にありました。
まず落ち着いて「ういてまて」ですね。
南波キャスター:
ウエストポーチのような、かさばらないライフジャケットもありますので、岸際で遊ぶときも、そういったものを活用してみてもいいかもしれません。
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<プロフィール>
秋本壯樹
TBS報道局社会部 警視庁・東京消防庁担当
「海の日」は子どもとプールに行く予定
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