39年前、福井市で中学3年の女子生徒が殺害され、殺人の罪で服役した前川彰司さんの再審=やり直しの裁判で、名古屋高裁金沢支部は無罪を言い渡しました。裁判長は有罪の根拠となった知人らの証言について「いずれも信用できない」と結論づけ、検察を厳しく非難しました。
【写真で見る】「心、空っぽというか。感極まっている」再審で無罪になった前川さん
39年前の中3殺害 再審無罪 前川さん「何でこんなに時間が」
事件から39年、悲願の判決が言い渡されました。
前川彰司さん(60)
「心、空っぽというか。感極まっている状態ですね」
1986年3月、福井市で中学3年の女子生徒が包丁で殺害され、事件の1年後に、当時21歳だった前川彰司さんが逮捕されました。
1審では無罪でしたが、2審で有罪判決となり、最高裁で懲役7年が確定。前川さんは服役しました。
有罪の根拠とされたのが、「事件後に血のついた前川さんを見た」などという知人らの証言です。
しかし、実際に証言した知人のひとりは、かつて、私たちの取材に対して...。
「前川さんを見た」と証言した知人
「あの時に、覚醒剤ちょっと扱っていて(警察から)そんなのを見逃してやるとか、そういうことは言われましたけど。おかしいなと思ったんですけど、これは取り引きみたいな感じで思いましたね」
服役後、再審=裁判のやり直しを求めた前川さん。
2024年10月、2度目の再審請求で名古屋高裁金沢支部が、裁判のやり直しを認めました。
そして迎えた、判決の日。
増田啓祐裁判長は「服に血がついた前川さんを見た」とする知人の証言について、「知人が自身の刑事事件の量刑を有利にするため、うその供述を行った可能性がある」としました。
その上で、裁判長は「捜査に行き詰まった捜査機関が、他の関係者に供述を誘導した疑いが払拭できない」とし、「有罪の決め手となった供述はいずれも信用できない」と結論づけました。
さらに検察が、証言の誤りを認識しながら裁判で明らかにしなかったことは「不誠実で、罪深い不正と言わざるを得ず、到底容認できない」と厳しく非難しました。
最後に、裁判長は...
増田啓祐裁判長
「前川さんのかけがえのない長い時間を、服役という形で過ごさせたのは取り返しのつかないこと。大変申し訳ありませんでした。これからの前川さんに、幸多からんことを心から願っています」
前川彰司さん
「何でこんなに時間がかかったのかなという思いはありますけれども、きょうの裁判長の一言は、熱いものがこみ上げてきた。これからの人生で前向きに歩んでいきたい」
検察側が、8月1日までに上告しなければ、前川さんは事件発生から39年を経て、無罪が確定することになります。
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