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政治に届くか 被災地・能登の声 ボランティアが感じた「選挙の蚊帳の外」とは? 医療費免除を打ち切られた被災者も…参院選石川県選挙区の候補者は何を訴えた?【news23】

国内
2025-07-19 15:20

参議院選挙を前に、投票に役立つ情報をお伝えする「選挙の日、そのまえに」。地震や記録的な豪雨に見舞われた被災地・能登を含む石川県選挙区に注目します。被災した有権者たちは、いま政治に何を求めているのでしょうか。


【写真で見る】能登でも期日前投票増加 被災した有権者が求めること


現地で取材 被災者から政治家は「関心がない」という声も

上村彩子キャスター
「地震と豪雨の被害が大きく出た珠洲市の大谷地区に来ています。こちらには半年前までは家があったのですが、今は更地になっています。一方で、こちらの家に目を向けますと、土砂がまだ残ったまま、倒壊したまま放置されているような状態です」


石川県珠洲市の大谷地区。能登半島地震から1年半、記録的豪雨から10か月。いまも爪痕が色濃く残っています。

この大谷地区で地区会長を務めている丸山さん。


大谷地区区会長 丸山忠次会長
「この辺もずっと家が並んでいたし、更地になっているところにとにかく建物があった。それが解体処分をされて、本当に殺風景な町並みになった」


地震や豪雨で被災した住宅などの「公費解体」は石川県内では約7割が完了。一方で、珠洲市では人口が約1割減りました。

町の風景が変わる中、丸山さんは、地域の仲間と復旧・復興に力を尽くしてきましたが…


大谷地区区会長 丸山忠次会長
「大変だったけど1年半が経って、ようやく皆さん、落ち着いてこれからのことを考えられる時が来たねと。どういう形で町づくりをやろうか考えているが、やっぱり力がない。自分たちには力がない。お金もない。人もいない」


こんな時だからこそ、政治の力が必要となるはずですが…


自民党 鶴保庸介参院議員(8日)
「運の良いことに能登で地震があったでしょう」


この発言で、自民党の鶴保議員は参議院予算委員長を辞任しました。


上村キャスター
「政治家達には何を期待したいですか?」


大谷地区区会長 丸山忠次会長
「『運が良く』とか、そんな話をしているが、やっぱり関心がない。何かに関わっていない限りは、被災した場所の苦労は実感ないと思うし、他人事」


医療費免除も打ち切られ慎ましい生活 移住者からは「選挙の蚊帳の外」という声も

大規模な土砂崩れが発生した現場では、泥をかき出す作業が行われていました。


上村キャスター
「だいぶきれいになりましたね」


外浦の未来をつくる会 坂口彩夏さん(26)
「住民の方が自分の家の床下を初めて見て、嬉しかったと言っていた」


坂口彩夏さんは、地震をきっかけに千葉から珠洲市へ移住。現在、ボランティア活動を行っています。


Q.ボランティアの数は足りていますか?

外浦の未来をつくる会 坂口彩夏さん(26)

「いや、だいぶ人が…最初は注目いただいて集まっていたが、最近は少なくなってきて、なかなか作業が思うように進まない」


こうした現状を、参院選の候補者に見てほしい。

しかし、公示から2週間余りが過ぎた今も...


外浦の未来をつくる会 坂口彩夏さん(26)
「前回の選挙のときは、選挙カーが通っていた。今回私が見ていないだけかもしれないが、選挙の蚊帳の外みたいな感じがある。(能登に)来てほしい、見てほしいし、感じてほしいし、どういう状況なのか自分の目で見て考えてほしい」


今も石川県では2万人近くが仮設住宅で生活しています。珠洲市の仮設住宅で暮らす大兼政さん夫婦。


妻・律子さん(78)
「これはね、オクラとかつお節とたまご。オクラも家でなったオクラ」


食卓に並ぶのは、自分の畑で育てた野菜が中心で、コメは支援物資として提供されたものです。2人は年金だけを頼りに、慎ましい生活を送っています。


大兼政忠男さん(77)
「薬とね、お医者さんに生かされとる」


忠男さんは、心臓などに持病があり、10種類以上の薬を服用しています。

しかし、被災者を対象に国が医療費の窓口負担を免除する措置が、6月末で打ち切りとなりました。


大兼政忠男さん(77)
「生きるのやめろっていうことかなと思った。もっと続けて欲しいなと思うけど、いつまでも甘えていられないでしょうね。誰かが負担してるわけだから、そこまでわがままは言えませんけど」


忠男さんは、半壊した自宅に毎日通い、見通しが立たない自宅の再建を夢見ています。


大兼政忠男さん(77)
「やっぱり誠実な、ちゃんと被災者に寄り添うような人じゃないとダメだろうね」


能登の復興 候補者の訴えは?

こうした有権者に対し、石川県選挙区の候補者たちは何を訴えているのでしょうか。

自民党の現職・宮本周司候補は、能登の復旧・復興のために国との調整に努めてきたと強調します。


自民党 現職・宮本周司候補
「我々は、確かに多くのことを実現することはできた、予算も含めて。でも、今もなおできていないことの方が我々には強く残っている」


国民民主党の新人・浜辺健太候補は、過疎化が進む能登で教育改革などを訴えます。


国民民主党 新人・浜辺健太候補
「子どもたちの教育環境を整えることが子育て世代、いま働いている現役世代の方が、ここ能登に残ってもらうことに繋がる」


JNNの中盤情勢調査では、先行する自民党現職の宮本候補を国民民主党・新人の浜辺候補が追う展開です。

これに続くのが、今回の参院選で“台風の目”になっている参政党の新人・牧野緑候補。


参政党 新人・牧野緑候補
「一次産業の学びができるような教育の機関を建てて、そこで学ぶ人たちとともに復興もしていく流れができたらいいのかなと」


共産党の新人・村田茂候補は与党の政治姿勢を厳しく批判。


共産党 新人・村田茂候補
「能登でも復興の作業に汗を流す外国人の方がたくさんいる。私たちの生活が苦しいのは、この間の自民・公明の政治にある。これを外国人のせいにするなどとんでもない」


諸派で政治団体、NHK党の新人・小沢正人候補も出馬していますが、この2人の候補は、現在、厳しい戦いを強いられています。


石川県でも期日前投票数増 「子どもの声がないと死んだ町になってしまう」被災地から切実な声

篠原梨菜キャスター:
石川県でも参議院選挙の関心は高まっているようです。


石川県選挙管理委員会によると、2022年の期日前投票者数は9万3086人でしたが、今年は12万985人(13日時点)と約1.3倍になっています。

取材の中で、被災者の皆さんの政治に対する思いというのはどう感じられましたか。


上村キャスター:
国が支援に入ると復興へのスピード感も規模も違うという経験があるので、やはり現状を変えるには、政治に頼るしかない。期待したいという強い思いを感じました。

一方で、“運が良く”という耳を疑うような発言もあり「結局は他人事で、そして過疎地に住むなと言われているようだ」と諦めの言葉も口にされていました。

取材して印象に残ったのは、丸山さんの「子どもの声がないと死んだ町になってしまう」という言葉です。

大谷地区の学校の子どもの数は激減して、さらには解体が進んだことで更地も増えて、本当にひっそりと静かな雰囲気でした。大谷の人たちだけで復興するには限界があります。

国がもっと長期的に支えるような制度設計、住まいや仕事、教育などを支援しないと、人が戻ってくることができないのではないかと思いました。

実際に足を運んで話を聞いて、継続して寄り添う姿勢を被災地は望んでいます。


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情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

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