
いよいよ始まった夏休み。
旅行で家を空けたり、子どもだけで過ごす機会が増えるなど、犯罪にあう危険性も高くなります。
犯罪者が目をつける「家」とは?子どもを守るために大事なことは?
今知っておきたい防犯対策を、最新防犯理論に詳しい立正大学の小宮信夫教授に聞きます。
【写真で見る】「ストリートビュー」が犯行の下見に? ターゲットにされないための対策とは
立正大学 小宮信夫教授:
夏休みは何といっても犯罪者にとって都合のいい状況がどんどん増えていきますからね。要警戒だと思います。
Q.犯罪者に「狙われやすい家」はどっち?
A:高い塀や植木に囲まれた家
B:低い塀や植木に囲まれた家
江藤愛アナウンサー:
Bだと思います。よじ登るのが簡単だからサッと行けちゃうのかなって。
正解は・・・
A:高い塀や植木に囲まれた家
塀などが高いということは、一度敷地内に入ってしまえば外から「見えにくい」家でもあります。
また、視線が遮られる高さは物音も漏れにくいので犯罪者が好みます。
対策として、塀の高さは150cm以下におさめる、視界が良いフェンスを選ぶなどが良いそうです。
立正大学 小宮信夫教授:
敷地に入るのは一瞬のことなんですよね。
そこから戸締りされている家に入るのに、かなりの時間が必要になってきます。
その間の作業を誰かに見られるかもしれない。これが犯罪者にとっては一番の恐怖なんです。
狙われやすい家の特徴は他にもあります。
▼隣の家との距離が遠い
⇒人の目が届きにくく、物音も気づかれにくいので入りやすい
▼家の近くに駐車場がある
⇒犯罪者が逃走手段を確保しやすいため、危険度が上がる
小宮教授:
「入りやすく」「見えにくい」。この2つのキーワードが防犯にとって一番大事です。
この2つのキーワードをミックスして考えていくと、どこが見られるのかが自然にわかってくると思います。
実は危険!?家の「明るさ」
Q.犯罪者に「狙われやすい照明」はどっち?
A:玄関や勝手口が一晩中明るい家
B:夜、部屋に明かりが点いている家
正解は・・・
A:玄関や勝手口が一晩中明るい家
実は犯罪者は明るさを好みます。夜間の明るさは時間を昼間に戻し、犯罪者の行動制限をなくしてしまうのです。
一方「部屋の明かり」は人の気配を感じさせるので、犯罪者は嫌います。
玄関の明かりはずっと点けるのではなく、人感センサーなどを使って明・暗の切り替えをする方が防犯には効果的です。
立正大学 小宮信夫教授:
明るい方が歩きやすくないですか?つまり「入りやすい」ってことなんですね。
暗いとつまずいたりするので「入りにくい」ということになります。
センサーライトはパッと点くと周りの人が「なんだろう?」と感じ違和感を生むんですね。違和感が生まれると、周りの人の目を引き付けるので、こちらの方が有効なんです。
「在宅中も安心とは限らない」
≪住宅で発生した侵入窃盗の手口別割合(2023年)≫
空き巣・・・64.1%
忍込み(寝ているすきに侵入)・・・24.8%
居空き(家人が在宅中に侵入)・・・5.4%
その他・・・5.7%
住宅に侵入する犯罪ののうち、約3割が住民の在宅中に行われています。
暑い日は窓を開けっ放しで寝てしまう人も多く、侵入される危険性があります。在宅中でも安心とは限りません。
コメンテーター 杉浦太陽:
空き巣だけじゃないんですね。鉢合わせたときに身の危険を感じる方が怖いです。
恵俊彰:
在宅中に万が一鉢合わせた場合はどうすればいいんですか?
小宮教授:
知らんぷりというか、スルーするのが一番いいですね。
「金返せ」とか「何やってんだ」とか捕まえようとするのは避けた方がいいですね。
空き巣や泥棒もビクビクしていますから、鉢合わせするとパニック状態になるんです。
危害を加えるつもりはなくても、最終的には傷害や場合によっては殺人まで犯してしまうことになるので、「財産がとられるぐらいだったら良しとしよう」と切り替えて、「どうぞ持っていってください」というスタンスをとるしかないですね。
「ストリートビュー」が犯行の下見に?
地図のストリートビューで犯行の下見をされてしまう場合もあるそうです。
例えば▼鍵が一つしかなく侵入しやすい▼周りが塀に囲まれているなど、家周辺の画像は情報の宝庫です。
小宮教授によると、犯行前にバーチャル下見を行ってターゲットを決める犯罪グループが増えてきています。
ターゲットにされないための対策として、ストリートビューの画面右下の部分にある『問題の報告』からぼかしを依頼することができます。必ずしも受理されるわけではありませんが、受理された場合数日から数週間で反映されます。
コメンテーター 朝日奈央:
SNSも気をつけなきゃなと思って。リアルタイムで「今、夏休みの旅行に行ってます」ってあげちゃうと、「今家空いてるんだ」と思われるから、いろいろな角度で考え直さないといけないなと思いました。
続いては、子どもを犯罪から守るために知っておきたい知識です。
Q.より犯罪が起きやすいベンチは?
A:遊具の方を向いているベンチ
B:遊具とは逆側を向いているベンチ
正解は・・・
A:遊具の方を向いているベンチ
小宮教授:
大前提として、子どもの誘拐事件の8割は騙されて連れて行かれています。
つまり騙すためには、自然な環境で話しかけて会話をする必要がある。
Aだったら自然に声をかけて騙すことができるんですね。Bだと後ろ向きに話すので子どもや周りの人が不審に思うということです。
Q.より犯罪に巻き込まれやすい公衆トイレは?
A:女性用トイレが手前にある公衆トイレ
B:女性用トイレが奥にある公衆トイレ
弁護士 八代英輝:
Bの方が奥にあるから死角が多いかなと・・・
正解は・・・
A:女性用トイレが手前にある公衆トイレ
小宮教授:
一番多いケースは、男の犯罪者が女の子を襲う場合です。
男の犯罪者が女の子の後ろからついていったとして、男なので男性用トイレを通り過ぎることはできないんです。
もし通り過ぎて尾行を続けていると「何この人」ということになるので、そういう場所は犯罪者は選ばないということです。
熊崎風斗アナウンサー:
必ずしも性別などはこのパターンではないので、場所をきちんとチェックすることが必要となります。
“草食動物になれ” 犯罪を防ぐために
防犯に大切なのは「1人1人の防犯レベルを引き上げる」ことです。
まずは不安を持つこと、そして数分に1回周囲に注意を払うこと。
“草食動物”のように、異変の早期発見・早期対応を心掛けましょう。
小宮教授:
一番大事なのは「悲観的に準備して、楽観的に行動すること」です。
草食動物は草を食べるときもいつもキョロキョロしながら警戒しています。
子どもも大人も周りを警戒して、自分の周りだけは犯罪者が入りにくい場所を作りましょう。
コメンテーター 杉浦太陽:
外出したらもうサバンナと思わなきゃいけないということですね。
(ひるおび 2025年7月16日放送より)
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<プロフィール>
小宮信夫氏
立正大学教授 犯罪の専門家
英・ケンブリッジ大学大学院 犯罪学研究科修了
著書に『犯罪者が目をつける「家」』
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