
今年48回目を迎える隅田川花火大会。都心のビル群に囲まれた中で開催される珍しい花火大会として知られています。街中のため、歩きながら観覧するスタイルの花火ですが、どんな気象条件が揃うとより美しく花火が見えるのでしょうか?(アーカイブマネジメント部 萩原喬子)
【写真を見る】隅田川花火大会 気象予報士が教える花火を最高に楽しむ気象条件【気象予報士・森朗のお天気タイムマシン】
隅田川花火大会、昔は「両国の川開き」
現在の「隅田川花火大会」という名称は昭和53年(1978年)からと比較的新しいものです。それ以前は「両国の川開き」と呼ばれていました。その起源は、江戸時代の享保17年(1732年)にまで遡ります。この年、大飢饉が発生し、多くの餓死者が出た上に、疫病も大流行しました。その翌年、1733年(享保18年)に8代将軍・徳川吉宗が犠牲者の慰霊と悪疫退散を願って「水神祭」を開催。その際の余興として花火を打ち上げたのが「両国の川開き」の始まりと言われています。
TBSアーカイブスに残る一番古い「隅田川花火」
TBSのアーカイブスに残る最も古い映像は1948年(昭和23年)の「両国の川開き」でした。戦争のため一時中断されていましたが、この年、11年ぶりに復活。両岸を埋め尽くした60万人の観衆が、夏の夜の江戸情緒を満喫しました。しかし交通事情の悪化や建物の密集、隅田川の汚染などを理由に1961年(昭和36年)の開催を最後に「両国の川開き」は幕を閉じました。
その後、1978年(昭和53年)に「隅田川花火大会」として復活し、現在のスタイルになりました。現在は、第1会場と第2会場、合わせて2万発以上の花火が打ち上げられ、同時に花火コンクールも開催されています。
花火鑑賞の鍵は「風」。気象予報士が語るベストコンディション
打ち上げ花火を鑑賞する上でもっとも重要なのが、見る位置と気象条件です。気象のプロから見た花火が一番美しく見えるポイントを見てみましょう。
気象予報士 森 朗氏:
打ち上げ花火にとって一番のポイントは「風」です。強風だと花火が風に流されてしまい、せっかくのきれいな形が見られません。一方、無風だと煙が滞留してしまい、次の花火が煙に隠れて見えにくくなってしまいます。一番きれいに見られるのは風速2~5m程度の適度な風が吹いている時。これくらいの風があれば煙が適切に流れて、花火がクリアに見られます。
さらに「雲が少ない晴天」、「湿度が低い」(湿度が高いと花火の煙が滞留しやすい)、「風上側」などの条件も揃うと見えやすくなります。
気象予報士 森 朗氏:
花火は夏の時期に多く、この時期は海風が吹くことが多いです。この時期は海風が川を上っていくことが多いので、河川敷なら下流側から見るのがオススメです。
花火大会時期の注意点 ゲリラ雷雨と熱中症対策
気象予報士 森朗氏:
隅田川花火大会の時期は年によっては梅雨が明けていなかったり、梅雨明けしていても急な雷雨など天気の急変に注意が必要です。
実際に、2013年は突然の大雨と雷に見舞われ、花火大会は開始わずか30分で中止となってしまいました。
気象予報士 森 朗氏:
夕方とはいえ、まだ気温も高くて、湿度は夕方の方が上がります。その状況で人混みにいると熱中症のリスクが高まります。
毎年大勢の人で賑わう隅田川花火大会。今年(2025年)は7月26日に開催予定で、例年通り歩きながらの鑑賞に加えて、主催者から万全な熱中症対策も呼びかけられています。当日は気象情報や主催者からのアナウンスに注意し、花火を楽しんで下さい。
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