国内
2025-09-17 09:10

スイートポテトや冷やし焼き芋など、秋に新商品が続々と登場する“芋系スイーツ”。8月18日に発売された『PARM(パルム)安納芋(1本入り)』も、発売後わずか2週間で予定数量の大半を消化し、想定を上回る好調な売れ行きで人気となっている。今年20周年を迎え、大人が好むアイスクリームとして確固たる立ち位置を築いてきたPARMだが、成熟したアイスクリーム市場の中で、いかに“大人向けアイスクリーム”という立ち位置を開拓してきたのか。PARMのフレーバー戦略について話を聞いた。
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■はむっと食感のPARM、ねっとり食感の芋 大人に好まれる親和性
発売から2週間で予定数量の大半を消化する売れ行きを見せている『PARM 安納芋』。想定を上回る人気だという。
「2022年と2023年にもマルチパックで安納芋フレーバーを発売し、大変ご好評をいただきました。今回はマルチパックではなく、ソースを入れてより安納芋感を高めた1本タイプで展開しているのですが、大手量販チェーンでは新商品として陳列され、特に週末の売上が好調です。有り難いことに、想定を遥かに超える早さで売れています」(森永乳業・冷菓事業部 今村友香さん、以下同)
そもそも秋のスイーツとしては、「芋・栗・かぼちゃ」が定番化している。栗は毎年手堅く売れていて、過去にモンブランブームなども起こしてきた。かぼちゃはハロウィンの時期に定期で売れる流れがある。芋に関しても、スイートポテトなどスイーツでの定番商品はあったが、変化の兆しが見てとれたのは2022年の“焼き芋ブーム”。スーパーやコンビニ各所で手軽に焼き芋が手に入るようになった。同年に発売されたPARM初の安納芋フレーバーもブームを後押しし、芋系アイスが登場する先駆けとなった。
「PARMの特徴的な“はむっとしたなめらかな食感”とお芋の“ねっとりした食感”に親和性があると感じました。安納芋はさつまいもの品種の中でも知名度がある上、糖度の高い甘みと濃厚感が特徴的なため、PARMの主なお客様である大人の方々に好まれるとも考えました」
■「味わいのコントラストにこだわった」 中にソースを入れることで定番商品と差別化
アイスクリーム全体のトレンドとして、近年は“五感で楽しめる”アイスがヒット傾向にある。チョコをパリパリと割って食べ進めたり、練り混ぜながら味わったりなど、「食感」「味わい」「音」「香り」といったものを存分に楽しめる体験型の商品が人気を集めている。
ただ、そういったトレンドは、カップ型アイスであれば柔軟に取り組めるが、PARMのような棒型アイスは自分で食べ方をコントロールしづらいため、対応していくのは難しくもある。だからこそ「季節限定品では定番商品との差別化を図っている」という。
「1本タイプのPARMは、季節限定品や数量限定品ではアイスの中にソースを入れたり、アイス自体をジェラートにするなど、新たな試みを積極的に行っています。例えば、ジェラートでは、中はチョコジェラートで外はベリー系コーティングという組み合わせでスイーツらしさを表現し、お客様に『そう来たか!』と思っていただける、食べてみたいと思えるワクワク感を提供しています」
今回の『PARM安納芋』ではアイスの中にソースを入れる形が見事に功を奏し、中のソースが“芋の蜜感”をしっかりと引き立たせている。
「“みつ芋”のような甘いものがトレンドとなっている中、1本で成立する味のバランスを特に重視しています。アイス、ソース、コーティングチョコが三位一体となったときの味わいのバランスにこだわって開発しました」
■いかに新しいユーザーとの接点を作る? 大人向けアイスクリームならではの課題
PARMは、季節性・トレンド・上質感・“PARMらしさ”を満たす限定商品を年に数回発売している。
特に1本タイプの限定商品は「そのときにしか買えない」プレミアム感を意識している。コンビニで新商品を目当てに購入していく顧客が多いので、過去の限定品をそのまま発売することは極力行わない。一方、マルチパック(箱タイプ)はスーパーで売られていることが多く、ファミリー層を中心とし、幅広い年齢層が食べるため、過去のフレーバーが再登場する可能性もあるという。
購買層のボリュームゾーンは40歳以上。新しいユーザーとの出会いがなければ、ブランドが衰退していくかもしれないという点は課題として常に意識している。
「PARMを代表する商品は、チョコレート。売上の構成比から見ても、これが変わることはありません。基幹商品を大切にするという軸があり、その上で限定商品から新たなタッチポイントを作る。PARMを食べたことのない新しいお客様をどんどん呼び込んでいこうと考えています。季節性が高い夏のジェラートや、こだわりを求める大人の方向けのダブルチョコシリーズ、糖質を気にされる方に向けた糖質オフタイプなど、フレーバーの幅を広げています」
新たなユーザーを呼び込むために続々と発売される期間限定商品。中でも大きな転機となったフレーバーは2023年発売の「ショコラミント」。いわゆる「チョコミント」は若者層が好みそうなイメージが強いが、PARMのメイン購買層は40代以上であるので、大人が納得する味にしなければならない。「好き嫌いが分かれるフレーバーでもあるため、より試行錯誤を重ねた」と今村さん。
「PARMのミントは上品さを意識して、パンチが強くなりすぎず、ミント初心者でもおいしく食べられるように作り上げました。一般的なチョコミントは、チョコチップがアイスの中に混ざっているものが多いですが、外側のチョコレートや中のソースなどで、PARMらしいチョコミントを表現しています。ミントも種類によって香りが違うので、ペパーミントを使ってアイスクリームの上質さとマッチするように工夫をして発売しました」
■「“指名買い”されるブランドに、ステップアップするタイミングだと感じています」
PARMに馴染みのない層と既存ユーザー、両方が満足できる塩梅を常に模索している。今年7月には、発売20周年を記念して「大パルム展」を開催。バニラアイスバーに自分でチョコを~チョコを付けてトッピングを乗せるオリジナルPARM作り体験もでき、連日長蛇の列ができるほどSNSで話題を集めた。
「PARMの認知度は高まってきましたが、『PARMを買いたい』と思って売り場に来てもらえる“指名買い”されるブランドにステップアップするタイミングだと感じています。そこで20周年という節目に、ブランドの体験型展覧会として「パルム展」を企画しました。『偏愛』をテーマに、PARMの特徴であるチョコとアイスの組み合わせを自分で作れるチョコ付け体験などを企画し、PARMの良さを伝えつつブランドも表現できた。SNSでも盛り上がりを作れ、結果として狙っていたPARMラバーの「偏愛」を描くことで、PARMを第一想起にしていない方にとっても「PARMを食べてみたい」という感情を引き起こすことができました」
定番商品のチョコレートの基本的な価値は大事にしながらも、一方で時代やトレンドに合わせてブラッシュアップをしていくことも必要不可欠。この価値観が基盤にあって商品開発を進めることで、実際に期間限定商品をフックにして、定番のバニラに戻るという循環が起こっていることが購買データからもわかっているという。
「『大人が満足できる上質なアイス』というコンセプトは維持しながら、よりこだわりを求める人向けの商品や新しい顧客層へのアプローチなども考えています。また、アジアを中心に、一部の国では抹茶フレーバーや定番商品を展開しているので、今後は海外展開にもより力を入れていきたいと考えています」
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■はむっと食感のPARM、ねっとり食感の芋 大人に好まれる親和性
発売から2週間で予定数量の大半を消化する売れ行きを見せている『PARM 安納芋』。想定を上回る人気だという。
「2022年と2023年にもマルチパックで安納芋フレーバーを発売し、大変ご好評をいただきました。今回はマルチパックではなく、ソースを入れてより安納芋感を高めた1本タイプで展開しているのですが、大手量販チェーンでは新商品として陳列され、特に週末の売上が好調です。有り難いことに、想定を遥かに超える早さで売れています」(森永乳業・冷菓事業部 今村友香さん、以下同)
そもそも秋のスイーツとしては、「芋・栗・かぼちゃ」が定番化している。栗は毎年手堅く売れていて、過去にモンブランブームなども起こしてきた。かぼちゃはハロウィンの時期に定期で売れる流れがある。芋に関しても、スイートポテトなどスイーツでの定番商品はあったが、変化の兆しが見てとれたのは2022年の“焼き芋ブーム”。スーパーやコンビニ各所で手軽に焼き芋が手に入るようになった。同年に発売されたPARM初の安納芋フレーバーもブームを後押しし、芋系アイスが登場する先駆けとなった。
「PARMの特徴的な“はむっとしたなめらかな食感”とお芋の“ねっとりした食感”に親和性があると感じました。安納芋はさつまいもの品種の中でも知名度がある上、糖度の高い甘みと濃厚感が特徴的なため、PARMの主なお客様である大人の方々に好まれるとも考えました」
■「味わいのコントラストにこだわった」 中にソースを入れることで定番商品と差別化
アイスクリーム全体のトレンドとして、近年は“五感で楽しめる”アイスがヒット傾向にある。チョコをパリパリと割って食べ進めたり、練り混ぜながら味わったりなど、「食感」「味わい」「音」「香り」といったものを存分に楽しめる体験型の商品が人気を集めている。
ただ、そういったトレンドは、カップ型アイスであれば柔軟に取り組めるが、PARMのような棒型アイスは自分で食べ方をコントロールしづらいため、対応していくのは難しくもある。だからこそ「季節限定品では定番商品との差別化を図っている」という。
「1本タイプのPARMは、季節限定品や数量限定品ではアイスの中にソースを入れたり、アイス自体をジェラートにするなど、新たな試みを積極的に行っています。例えば、ジェラートでは、中はチョコジェラートで外はベリー系コーティングという組み合わせでスイーツらしさを表現し、お客様に『そう来たか!』と思っていただける、食べてみたいと思えるワクワク感を提供しています」
今回の『PARM安納芋』ではアイスの中にソースを入れる形が見事に功を奏し、中のソースが“芋の蜜感”をしっかりと引き立たせている。
「“みつ芋”のような甘いものがトレンドとなっている中、1本で成立する味のバランスを特に重視しています。アイス、ソース、コーティングチョコが三位一体となったときの味わいのバランスにこだわって開発しました」
■いかに新しいユーザーとの接点を作る? 大人向けアイスクリームならではの課題
PARMは、季節性・トレンド・上質感・“PARMらしさ”を満たす限定商品を年に数回発売している。
特に1本タイプの限定商品は「そのときにしか買えない」プレミアム感を意識している。コンビニで新商品を目当てに購入していく顧客が多いので、過去の限定品をそのまま発売することは極力行わない。一方、マルチパック(箱タイプ)はスーパーで売られていることが多く、ファミリー層を中心とし、幅広い年齢層が食べるため、過去のフレーバーが再登場する可能性もあるという。
購買層のボリュームゾーンは40歳以上。新しいユーザーとの出会いがなければ、ブランドが衰退していくかもしれないという点は課題として常に意識している。
「PARMを代表する商品は、チョコレート。売上の構成比から見ても、これが変わることはありません。基幹商品を大切にするという軸があり、その上で限定商品から新たなタッチポイントを作る。PARMを食べたことのない新しいお客様をどんどん呼び込んでいこうと考えています。季節性が高い夏のジェラートや、こだわりを求める大人の方向けのダブルチョコシリーズ、糖質を気にされる方に向けた糖質オフタイプなど、フレーバーの幅を広げています」
新たなユーザーを呼び込むために続々と発売される期間限定商品。中でも大きな転機となったフレーバーは2023年発売の「ショコラミント」。いわゆる「チョコミント」は若者層が好みそうなイメージが強いが、PARMのメイン購買層は40代以上であるので、大人が納得する味にしなければならない。「好き嫌いが分かれるフレーバーでもあるため、より試行錯誤を重ねた」と今村さん。
「PARMのミントは上品さを意識して、パンチが強くなりすぎず、ミント初心者でもおいしく食べられるように作り上げました。一般的なチョコミントは、チョコチップがアイスの中に混ざっているものが多いですが、外側のチョコレートや中のソースなどで、PARMらしいチョコミントを表現しています。ミントも種類によって香りが違うので、ペパーミントを使ってアイスクリームの上質さとマッチするように工夫をして発売しました」
■「“指名買い”されるブランドに、ステップアップするタイミングだと感じています」
PARMに馴染みのない層と既存ユーザー、両方が満足できる塩梅を常に模索している。今年7月には、発売20周年を記念して「大パルム展」を開催。バニラアイスバーに自分でチョコを~チョコを付けてトッピングを乗せるオリジナルPARM作り体験もでき、連日長蛇の列ができるほどSNSで話題を集めた。
「PARMの認知度は高まってきましたが、『PARMを買いたい』と思って売り場に来てもらえる“指名買い”されるブランドにステップアップするタイミングだと感じています。そこで20周年という節目に、ブランドの体験型展覧会として「パルム展」を企画しました。『偏愛』をテーマに、PARMの特徴であるチョコとアイスの組み合わせを自分で作れるチョコ付け体験などを企画し、PARMの良さを伝えつつブランドも表現できた。SNSでも盛り上がりを作れ、結果として狙っていたPARMラバーの「偏愛」を描くことで、PARMを第一想起にしていない方にとっても「PARMを食べてみたい」という感情を引き起こすことができました」
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「『大人が満足できる上質なアイス』というコンセプトは維持しながら、よりこだわりを求める人向けの商品や新しい顧客層へのアプローチなども考えています。また、アジアを中心に、一部の国では抹茶フレーバーや定番商品を展開しているので、今後は海外展開にもより力を入れていきたいと考えています」
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