自民党と日本維新の会が連立政権を樹立することで実質的に合意しました。両党の党首が合意文書に署名する予定で、21日、自民党の高市総裁が女性初の総理大臣に選出されることが確実な情勢となりました。(10月20日「Nスタ」午後6時ごろの放送より)
【写真で見る】過半数まで足りない「2議席」だが…少なくとも3議席が加わる公算に
自民・維新 まもなく連立合意 あす“高市早苗総理”誕生へ
20日午前、緊張した面持ちで記者団の取材に応じた日本維新の会の吉村代表。
日本維新の会 吉村洋文 代表
「合わせて12の項目について、今般、合意がほぼまとまりました。本日、連立政権樹立の合意をいたします」
20日午後6時に自民党の高市総裁と会談し、合意文書に調印したいとの考えを明らかにしました。
日本維新の会 吉村洋文 代表
「今日の朝、私から高市総裁に電話をして『連立合意をいたします。共に日本を前に進めていきましょう』という話をしました」
協議関係者によりますと、「連立政権合意書」では、▼焦点だった消費税については2年間に限り、飲食料品を対象としないことも視野に「検討を行う」と明記、▼「企業・団体献金」の廃止は両党による協議体を設置し、第三者委員会でも検討の上「高市総裁の任期中に結論を得る」としています。▼また、「議員定数の削減」については「1割を目標に衆議院議員定数を削減するため臨時国会で議員立法案を提出し成立を目指す」と踏み込みました。
実質合意を受けて、維新は午後の両院議員総会で、21日の総理指名選挙での対応も決定。
日本維新の会 藤田文武 共同代表
「明日の首班指名(総理指名)選挙におきましては、1回目から自民党総裁である高市早苗さんのお名前を書かせていただくということで決裁をいたしました」
野党による候補者調整が不調に終わったことから、自民党の高市総裁が女性初の総理大臣に選出されることが確実な情勢となりました。
その高市氏、21日に向けて衆参両院の議長への挨拶や少数会派への根回しに余念がありません。
午後、鈴木幹事長とともに出向いたのは日本保守党、21日の総理指名選挙での協力を求めました。
会談後、百田代表は…
日本保守党 百田尚樹 代表
「日本を豊かに強くするためならどんなことでも協力すると。決選投票は私の名前を書く機会はないでしょう。誰書くか、さあ決選(投票)に誰が残るか分かりませんからね、教えてください」
そして今後、連立のキーパーソンになるとみられるのが、自民党に太いパイプを持つ遠藤国会対策委員長です。
日本維新の会 遠藤敬 国対委員長
「間違っていると思うんだけど、閣僚も我々は一度も言ったことないんだよね、『ポストください』と」
維新は今回、閣僚を出さない「閣外協力」のかたちで政権運営に参加しますが、遠藤氏が総理大臣補佐官を兼務し、連携を図ることが検討されています。
この「閣外協力」に自民党内からは不安視する声も…
自民党重鎮
「いつでも連立から退けるようにするのが『閣外協力』だよ」
一方の維新側は、こう反論します。
日本維新の会 藤田文武 共同代表
「『閣外協力』という形で1つ1段落として、そして、いつでも逃げられるようにということをご指摘いただく方もいらっしゃいますが、私にはそういう気持ちは寸分たりともありません。同じことだと思っています」
総理指名選挙を控え、交渉を急いだ自民と維新。今後の課題は山積みで、引き続き両党党首の覚悟が問われることになります。
「有志・改革の会」の3人が高市総裁に投票へ
井上貴博キャスター:
まもなく自民と維新が党首会談を行い、連立政権合意書に署名する予定です。国会から最新情報を堀記者に伝えてもらいます。
堀宏太朗 記者:
多くの報道陣が待ち受ける中、自民党の幹部議員らが会談部屋に続々と入っています。まもなく署名が始まります。
こうしたなか、無所属議員でつくる会派「有志・改革の会」7人のうち、少なくとも3人が1回目の投票で高市総裁に投票する意向であることがわかりました。
この会派は先週、麻生副総裁から総理指名選挙での協力を要請されていましたが、会派としての方針はまとまらず、会派に所属する守島正衆院議員ら3人が1回目の投票から高市総裁に入れることを明らかにしました。
衆議院で自民と維新のあわせた議席では過半数まで「2議席」足らないことから、この「少なくとも3議席」が加わることで、1回目の投票で高市総裁が勝利する公算が大きくなっています。
結論は本当に出るのか? 連立合意に“先送り”の懸念
井上貴博キャスター:
自民党と日本維新の会は何で合意していくかという話になりましたが、「目指す」や「2年後」など、「先送りする」となると、なくなるのかなという気もします。
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
連立合意の中で私達の関心が高いのは、例えば「食料品の消費税」や「企業・団体献金の廃止」についてです。
維新は「食料品の消費税 2年間0%」を自民党側に求めたわけですが、今回の合意では「法制化につき検討を行う」という表現になりそうです。
そして、「企業・団体献金の廃止」についても、「高市総裁の任期中(2027年9月まで)に結論を出す」という形なので、いずれも「大至急にすぐにやる」という形ではなく、時間にまだ余裕がある中での合意ということなので、当然、「本当にやるのか」という疑問の声は出てくるでしょうね。
出水麻衣キャスター:
本当に「結論」は出るのでしょうか。
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
「結論」ということなので、場合によっては、「廃止の結論」ということでなくてもいいわけですよね。「やはり廃止はできない」という結論、あるいは途中や間のものなのか。
いずれにしても、強く求めていった「消費税」などは特にこういった形になりそうなので、「本当にそれで合意してよかったのか」という質問が、これから維新側の吉村代表や藤田共同代表にされるでしょうね。
井上キャスター:
両党の口ぶりを見ていると、まずは「議員定数の削減」をやって、それができてから「物価高対策」をやると。
国民としては早く「物価高対策」をしていただきたいわけですが、最初の「議員定数の削減」でつまずくと、「物価高対策」にいけないということもあり得ますか?
TBS報道局 岩田夏弥 政治部長:
吉村代表は、「とにかく、一番最初は『議員定数の削減』」だと。「そこを突破しない限り、他の改革なんかできない」という言い方をしていたわけですが、ただ、「議員定数の削減」もそう簡単にはいかない話です。
そこを一旦止めて「物価高対策」をやるのかどうなのか、そのあたりもこれからの重要なポイントですね。
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<プロフィール>
岩田夏弥
TBS報道局 政治部長
元官邸キャップ
小渕総理以来、主に政治取材を担当
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