千葉県内で進むメガソーラー建設。土砂災害などを懸念する声が上がるなかでも工事は進んでいましたが、一転、一時中止となりました。不安は解消されるのでしょうか。
メガソーラー建設で“土砂流出のおそれ” 地元住民からは不安の声
10月10日、千葉県鴨川市。木々が伐採され、広い範囲にむき出しになった山肌。倒された木は、横たわったまま残されています。
近隣住民
「無理に木切って、何かあったら大変」
住民がこう不安を口にする、この現場。
実は、“日本最大級”のメガソーラーの建設が進められています。計画では、約37万本の木を伐採。146ヘクタールの敷地に47万枚のソーラーパネルを設置する予定です。
千葉県は2019年、事業者「AS鴨川ソーラーパワー合同会社」に、この場所での林地開発を許可しました。しかし、伐採された木は無造作に放置されたまま。
県はこれまで、約60回に及ぶ行政指導を行ってきました。
JNNが情報公開請求で入手した、行政指導の文書には…
「伐採木や掘削土砂の開発区域外への流出のおそれがあります」
「土砂流出及び崩壊の防止を図ること」
行政指導後も“災害対策”は行われず
しかし、それから4か月が経った10月の段階では、土砂の流出を防ぐ柵や、伐採された木の仮置き場はまだ設けられていないように見えます。
地元の住民からは…
川の山と川と海を守る会 勝又國江 代表
「防災施設もできてない。台風シーズンで大雨が降ったりしたらどうなっちゃうんだろう。土砂災害もどういうふうに対応するのか」
こうした状況について、専門家は…
東京都市大学環境学部 佐藤剛 教授
「大雨が降った場合、斜面が崩れて、水と土砂が混ざり合って、木も巻き込んで斜面の下方に移動して、これを土石流と言うが、家とか道路とかがあると災害に繋がっていく」
佐藤教授はさらに、伐採された“木の根”にも注目します。
木の根は、地中で土と複雑に絡み合い土砂が動くのを抑えています。しかし、木を伐採すれば、根が数年後に腐ってしまいます。すると、この土を抑えていた力が弱まり、斜面が崩れやすくなるというのです。
東京都市大学環境学部 佐藤剛 教授
「長期的な視点でこの斜面を見ていく必要があると思います」
では、災害対策について事業者はどう考えているのか。JNNが事業者を訪ねたところ...
事業者の弁護士
「現在、取材に答えることはありません」
開発区域外で“誤伐採”が発覚 工事は一時中止に
そして先週、事態が動きました。
事業者が、開発許可を受けていないエリア約1.5ヘクタールを伐採した“誤伐採”が発覚。県は、改めて行政指導を行い、事業者は工事を一時中止しました。
工事の再開について、事業者は、県に「作業手順の再確認及び、復旧計画の指導を受けながら進める」とコメントしています。
千葉県 熊谷俊人 知事
「当然ながら遺憾であります。現状復帰をしっかりとしていく等について我々としても厳しく見ていきたい」
しかし、住民からは“県側の責任”を問う声も。
鴨川の山と川と海を守る会 勝又國江 代表
「こんな状況まで(県は)事業者に工事をさせてしまった。そういうことは県に最大の責任がある」
全国で相次ぐメガソーラーをめぐる問題に4日、赤沢経産大臣は…
赤沢亮正 経済産業大臣
「より一層の規律の強化、太陽光発電事業の地域共生の確保に取り組んでまいりたい」
国は、すべての太陽光発電の事業者に対して、土砂の流出を防止する措置などを求める方針で、年内にも規制強化の対策を取りまとめたい考えです。
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