クマの出没、そして人への危害が続く毎日に、対応にあたる自治体が疲弊しています。死者も出ている秋田県には5日、クマ対策の「後方支援」のために自衛隊が派遣され、活動が始まりました。
【写真を見る】地元の猟師らとともに罠の運搬作業にあたる自衛隊員
クマ被害相次ぐ秋田県で自衛隊が“後方支援”開始
市街地に響き渡る銃声。5日朝、富山市で実施された緊急銃猟です。発砲した3発すべてが命中し、廃屋にいたクマ1頭が駆除されました。
もはや起きない日はない、というほど全国で相次ぐクマ被害。
2025年度、クマに襲われて死亡した人の数は13人で、すでに過去最多だった2年前の2倍以上に。中でも、この2週間で死者数が最も増えているのが秋田県です。
10月24日、東成瀬村ではクマに襲われた70代の夫婦を助けに来た30代男性が死亡。死因は、顔面の損傷による低酸素脳症でした。
また3日、湯沢市では山林でクマに襲われた70代女性の遺体が見つかりました。
地元住民の安全が脅かされる中、秋田県は5日、自衛隊とクマ対策の支援活動に関する協定を締結。期間は11月末までで、設置する箱わなや駆除したクマの運搬など、後方支援の内容が盛り込まれました。
秋田県 鈴木健太 知事
「現実として、県内の市町村・県警・猟友会の支援では、とてもじゃないけど対処できない。一方で、毎日のように県民の生命または財産が脅かされているという現実に鑑み、防衛省に協力を要請することになりました」
陸上自衛隊第9師団 松永康則 師団長
「我々として少しでもお役に立てるように、本日からいろいろなニーズを踏まえながら活動していきたい」
早速、自衛隊が派遣された秋田県北東部に位置する鹿角市。
クマの目撃情報が相次いでいる地域で、中には、実際に被害に遭った人もいます。
鹿角市民
「最近怖くて外へ出られないよ。私もクマにやられたの。(Q.どこで出会った?)田んぼの見回りしててクマに襲われて、ここの骨がバラバラになっちゃった。暗いうちは外に出ないようにしてます」
防衛省によりますと、派遣された隊員は地元の猟師らとともに罠の運搬作業にあたったということです。
クマ対策としては異例の自衛隊派遣。市民の受け止めは様々です。
鹿角市民
「安心感ですよね。この辺りしょっちゅうクマ来てるようだから安心」
「本当は捕まえてくれんのかなと思ったら、そうじゃないんだな」
相次ぐクマ出没で、自治体はいま疲弊しています。
喜入友浩キャスター
「クマ対策で自治体はどのくらい追われている?」
鹿角市 笹本真司 市長
「毎日のように10~20件の目撃情報があり、10月に関していえば100頭弱捕獲している。これから市だけではなく自衛隊も加わり、『皆でクマの問題を克服するんだ』という気持ちになれたという意味で、心の面でも非常に意義が大きかったと思う」
小学校では“爆竹”で対策 クマで学校行事も軒並み中止に…
11月、校庭でクマの目撃情報があったこちらの小学校。クマよけのため、児童が外に出る際は爆竹を鳴らすなど対策をして警戒を強めています。
喜入友浩キャスター
「ちょうどインタビュー中ですが、子どもたちが列をなして鈴を鳴らしながら下校しています」
安全確保のため、下校時は保護者の迎えが原則となっています。
学校の周辺でも目撃情報が相次ぎ、マラソンの記録会やリンゴの収穫体験など、予定されていた学校行事は軒並み中止にせざるを得ないのが現状です。
校長は、クマ対策の“出口がみえない”と話します。
大湯小学校 金田一晃宏 校長
「今年だけの話であればいいんですが、これが今後もずっと続くとなるのが一番怖いんですよね。いずれ5年後10年後に、この状況が『あの時は』と思える状況ならいいんですけど、それが今のところ見えないのが一番不安」
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