「NHKから国民を守る党」の党首・立花孝志容疑者が元兵庫県議の名誉を毀損した疑いで、9日、逮捕されました。調べに対し「発言した事実については争うつもりはありません」などと供述しているという立花容疑者。警察が逮捕に踏み切った背景には何があるのでしょうか。
【写真を見る】立花容疑者の逮捕について、兵庫県の斎藤知事は…
元県議の妻「1つの区切りに」
記者
「立花容疑者を乗せた車が兵庫県警本部から出てきました」
10日朝、検察庁へ身柄を送られた、立花孝志容疑者(58)。車の後部座席で、笑みを浮かべる様子も。
立花容疑者は、今年1月に亡くなった元兵庫県議・竹内英明さんの名誉を傷つけた疑いがもたれています。
兵庫県・斎藤知事の“パワハラ疑惑”を調べる「百条委員会」のメンバーとして、知事を厳しく追及していた竹内さん。
竹内英明 兵庫県議(当時・去年8月)
「どういった意図で(知事は)これを投げたんですか」
しかし、去年の知事選。立候補した立花容疑者は、竹内さんについて、“知事を貶める主犯格”などとする動画を引用して、発信するようになりました。
SNSでは誹謗中傷が広がり、竹内さんは、去年11月に議員を辞職。
そして、その2か月後、自宅で亡くなっているのが見つかりました。当時の状況について、竹内さんの妻はこう証言します。
竹内元県議の妻(今年7月)
「明らかに何かの犯罪を犯したとか、それで取り調べを受けているという言説に、心理的に追い詰められていったというか。もちろん事実ではないことなんですけど」
今回、立花容疑者には、竹内さんの名誉を「生前」と「死後」に、傷つけた疑いがもたれています。
まず「生前」のケースでは、去年12月に行った大阪の街頭演説で、竹内さんについて「警察の取り調べを受けているのは多分間違いない」などと発言。
そして、竹内さんの「死後」にも、SNSなどで発信を続けました。
立花容疑者のYouTubeより(今年1月 ※現在は削除)
「竹内元兵庫県議はどうも、あす逮捕される予定だったそうです」
こうした発言について、兵庫県警は“事実無根”とする異例のコメントを発表。しかし、その後も発信は続きました。
立花容疑者のYouTubeより(今年3月)
「生前も竹内、中傷していましたよ。だってあいつ、悪いことしてるじゃん」
そして、今年6月、竹内さんの妻が、名誉毀損の疑いで立花容疑者を刑事告訴しました。
竹内元県議の妻
「立花氏の発信で『黒幕』とされた夫は、人々の憎悪の対象に、悪意をむける標的とされました」
これに対し、当時の立花容疑者は…
立花容疑者(今年8月)
「私自身は名誉毀損をしたことは認めますが、違法性が阻却されて不起訴、あるいは仮に起訴されたとしても無罪になると確信をしております」
こう自信をのぞかせた発言から3か月…
一転、立花容疑者が逮捕されたことを受け、竹内さんの妻は…
竹内元県議の妻(9日の会見)
「きょう、ひとつ大きな報告を仏前にできたことは、区切りになったのかなと思います。これをきっかけにいろんなことが明らかになって、これ以上の犠牲は生まれてほしくないという風に思います」
NHK党「想定外とは言えない」
立花容疑者は10日、学歴詐称疑惑で不信任を受けた田久保市長の失職に伴う伊東市長選挙への出馬会見を行う予定でしたが…
アナウンス
「立花さんの出馬会見が午後3時から予定されていたのですが、立花さんにはお越しいただけなかったので、本日の会見は中止とさせていただきます」
党首が逮捕される事態となった「NHK党」は10日、緊急で会見を開きました。
NHKから国民を守る党 斉藤健一郎 参院議員
「逮捕ということはもちろん驚きは隠せないんですけれども、事実だけを並べて見ていくと、特に想定外のことが起きたとまでは言えないので。淡々と今回の件に対しての対応を行ったというところでございます」
一方、兵庫県の斎藤知事は…
兵庫県 斎藤元彦知事
「捜査中の件でございますので、コメントは控えたい」
こう話し、言及を避けました。
竹内さんが亡くなって10か月。急展開を迎えた立花容疑者の逮捕について、元東京地検特捜部の若狭弁護士は…
元東京地検特捜部 若狭勝 弁護士
「死者に対する名誉毀損という事実で逮捕するのは、かなり異例中の異例だというふうに思います。警察・検察は『度が過ぎている』、しかも証拠はしっかりしているから、これは「有罪にして罪を償わせるべきだ」という堅い考えがあったんだろうと思います」
立花容疑者“異例の逮捕”はなぜ?
“異例の逮捕”につながる一因となったのでしょうか。立花容疑者は先月、SNSでこんな報告をしています。
立花容疑者のYouTubeより(先月29日)
「アラブのUAE・ドバイに来ておりまして、この車、この辺を撮ってみてもらえれば(天井指さす)」
捜査関係者によりますと、これまでの捜査状況から、今後逃亡したり証拠隠滅したりする恐れもあるとみて逮捕に踏み切ったということです。
さらに、若狭弁護士は立花容疑者が、別の事件で有罪判決を受け、執行猶予期間中であることも“逮捕の判断”に影響を与えたのではないかと指摘します。
若狭弁護士
「執行猶予期間中に、またさらに違う犯罪をすると、この“違う犯罪”については、原則実刑というのが法律の立て付けなんです。執行猶予中の犯罪なので、逃亡のおそれが比較的高まるだろうという事で、『逃亡のおそれ』を今回の逮捕理由の一つとして言っているのだと思う」
立花容疑者は取り調べに対し、「発言した事実について争うつもりはありません」などと供述しているということです。
若狭弁護士は今後の争点について…
若狭弁護士
「(立花)容疑者が発言をした時に、本当に『竹内氏は取り調べ受けている』『逮捕予定がある』と思っていたのかどうか、思っていたことについてそれなりの根拠があるのかどうか、そこがポイントになって展開されていくと思います」
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