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“過去最悪”クマ被害に新体制 警察官がライフル銃で駆除へ 「時速60km」クマ撃つ難しさも【Nスタ解説】

国内
2025-11-13 19:45

過去最悪の被害が出ているクマによる人身被害。きょう(13日)から警察官が、ライフル銃を使ってクマの駆除が可能になりました。


【写真で見る】「お前がクマだったら?」猟友会による警察官向け講習会の様子


警察官 ライフル銃でクマ駆除へ

高柳光希キャスター:
これまで警察官がライフル銃などの「特殊銃」を使える任務は、▼重要施設の警備・警護、▼ハイジャックへの対処等、▼凶悪な犯罪の予防・鎮圧、容疑者の逮捕と限定されていました。


ここに新たな任務として追加されたのが、「危険鳥獣による人の生命・身体への危害防止」です。

つまりクマが人に危害を及ぼす際に、ライフル銃などの特殊銃を使用できるということです。


チーム名は「熊駆除対応プロジェクトチーム」です。射撃担当2人、現場責任者、現場指揮官兼観測手の1チーム4人で構成されています。


射撃担当者は、機動隊「銃器対策部隊」所属の警察官だということです。立てこもり・テロなどの銃器を使った犯罪に対処できるということですが、具体的にどのような人たちなのでしょうか。


TBS報道局社会部 寺島尚彦 記者:
銃器対策部隊の警察官は、ライフル銃を使う訓練を受けた経験豊富な警察官です。こうした銃器対策部隊の警察官は、全国で約2100人いるといわれています。その中で、ライフル銃を撃つことができる警察官はわずか一部です。


ライフル銃の性能は明らかにされていませんが、今回のクマ駆除に適した弾が新たに配備されています。


「中長期的な対策も」求められるクマ対策

高柳キャスター:
4人1チームで、被害の大きい秋田県と岩手県に2チームずつ派遣されています。

基本的には2週間のローテーションで対応していくということですが、規則を変更して警察官を派遣するという状況、どう見ていますか。


TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
今週、富山に行く機会があったのですが、みなさんクマの問題を非常に心配していました。

緊急避難的な措置としては、この対応でしょうがないと思います。


ただ、中長期的に考えると、警察や学校、農業関係者などの全体をコーディネートする専門の人を置くことや、人とクマのすみ分けの在り方も含めて考える必要があると思います。


井上貴博キャスター:
この先、自治体がどこまでお金を出せるのか、人材育成ができるのか、人手不足はどうするのか、政府がどこまで介入するのか。

全体像を変えていくべきだと思いますが、そこはどうしていくのでしょうか。


TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
そこは国がやるしかないと思います。自治体にはお金・ノウハウがないので、国がきちんとお金と人を工面して、育成もしていく必要があると思います。


高柳キャスター:
まずは市街地に出てきたクマに対して出動するという判断になりますが、実際にどういったタイミングで出動するのでしょうか。


出動のタイミングは、▼市町村や猟友会による駆除が間に合わない場合などや、▼猟友会員が確保できない場合だということです。


TBS報道局社会部 寺島記者:
基本的にはこのような場面で出動判断をされますが、それに加え、出没したクマの頭数・特徴によっても当然必要とされます。

また、人身被害の発生状況も判断したうえで、支援に回っていくことになります。


「お前はクマになれ」 猟友会による講習会が開催

高柳キャスター:
実際に警察官もクマに対してライフル銃を発砲したことはありません。

どのように対処していくかということで、12日にはクマの特性や駆除の方法を学ぶために岩手・滝沢市で猟友会による講習会が行われました。


警察官
「(クマが)向かってくるときの距離感とか、どのぐらいで?」


猟友会
「ライフルを使うと何百mもいくけども、まず市街地で撃つときは50m以内ぐらいの距離で撃ったほうが確実」
「クマを撃つときにはね、『お前はクマになれ』って言うんですよ。『お前がクマだったらどこに逃げる?』っていうことをいつも言っています」


出水麻衣キャスター:
猟友会の独特な感性を、すぐにキャッチアップして実践するのは難しそうですね。


高柳キャスター:
クマは賢くて、発砲した際に低い茂みがあればそこに隠れるそうです。

クマの習性も頭に入れて、発砲するときには、次にクマがどういう動きをするのかを予測しておくということになるのかもしれません。


秋田県内の猟友会のメンバーは「市街地での発砲は制約が多く、警察の対応はありがたい。一発で仕留められるのか。ケガして逃げられると、さらに凶暴になる可能性もある」と話しています。

やはり猟友会にとっては、「制約」がネックになっているのでしょうか。


TBS報道局社会部 寺島記者:
制約という意味では、建物の中で発砲した場合、建物に弾の跡がついてしまったり、修理をする必要があったり、そういった部分の責任はなかなか負いにくいという声が上がっています。


50mを3秒で走るクマも 難しい駆除

高柳キャスター:
「ケガをして逃げられるとさらに凶暴になる」ということも懸念されていますね。


TBS報道局社会部 寺島記者:
クマは身体能力が非常に高いです。

秋田県の資料によると、クマは時速60kmほどで走り、50mを約3秒で走り抜けてしまうということもあるようです。

さらに凶暴になったあとに、それだけの身体能力を持ったクマが向かってくるのは非常に危険だということです。


出水キャスター:
市街地では50mまで引きつけて撃つとなれば、3秒しか猶予が無い中で急所を狙うということですね。講習会などが非常に重要になりそうです。


TBS報道局社会部 寺島記者:
さらに、警察幹部は「実際に動くクマを撃つことは、決して簡単なことではない」と言っており、非常に難しい駆除になってくると思います。


井上キャスター:
今回のクマの問題で、これだけ日本中に危機感が出ているなかで、これから先、他の生物と対峙したときにどうしていくのかという新たな課題が突きつけられたと感じます。


TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
各地で聞いてみると、やはり今まで出たことがない地域に、クマも含めた生物たちがどんどん出てきています。そうすると、生態系が変わっている可能性があるので、全体を調べ直したり、チェックをし直したりすることが必要です。

これは一種の災害です。災害時は「激甚災害」という適用で国が対応しますので、それぐらいのことを考えていかないと、もたないような状況になっていると思います。


高柳キャスター:
被害の多い秋田と岩手に2チームずつ派遣ということですが、これは適切なチーム数なのでしょうか。


TBS報道局社会部 寺島記者:
あくまで緊急的な措置として、今回はこの2チーム編成で対応しているので、被害状況を見てチームを増やす可能性はあると思います。


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<プロフィール>
寺島尚彦
TBS報道局社会部 警察庁担当
2児の父 家訓は「自分の身は自分で守る」

星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年


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