
ガソリンの暫定税率廃止で、早くもガソリンの値段が一部で下がっています。一方で国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)で謳われた、気候変動への具体的対策にはどんな影響があるのでしょうか。
与野党の合意で実現した「ガソリン暫定税率廃止」半世紀を経てようやく…
「たった今、価格が変わりました。ガソリンの価格が5円安くなりました」
13日、店頭価格が値下げされたガソリンスタンド「シンエネ八幡山SS」では...
客
「(5円でも)大きい。40~50L入るので、だいぶ違う」
与野党の合意で実現したガソリン暫定税率廃止。移行措置として、政府は段階的に補助金を増やし、年末には暫定税率を廃止します。
では、今回廃止される「暫定税率」とは何なのでしょうか。
1973年のオイルショックで財政が悪化した日本。当時、「日本列島改造」を掲げた田中角栄内閣は、翌年、道路整備の財源に充てるため「暫定税率」を導入し、ガソリン税に上乗せします。ところが「暫定」とは名ばかり。2009年には道路整備だけでなく、自由に使える一般財源へと切り替えます。それが半世紀を経て、ようやく廃止されることに。
“脱炭素”に逆行も…再エネシフトは進まず 世界全体でも鈍い動き
車に頼らざるを得ない生活を送る人々にとって朗報となった一方、値下げで、ガソリン消費が拡大すれば“脱炭素”に逆行すると専門家はいいます。
自然エネルギー財団 石田雅也研究局長
「これでガソリンが安くなると、電車やバスに乗るよりも、車を使おうという方々が増えると思うので、ガソリンの消費に伴ってCO2を排出してしまう。気候変動を促進してしまう、そういうリスクが懸念される」
現在、日本では発電についても化石燃料が占める割合は、ほぼ7割。
政府は再生可能エネルギー拡大に取り組んでいますが、期待された洋上風力については、8月に三菱商事などが撤退を発表。
太陽光についても、メガソーラー建設への批判が高まるなど、再エネへのシフトは進んでいません。
また、脱炭素の動きは、世界全体で見ても鈍く、温室効果ガス排出量は去年、過去最多に。さらに...
トランプ米大統領(9月、国連総会)
「(気候変動問題は)世界で行われた過去最大の詐欺だと思う。地球温暖化も地球寒冷化ももうない」
排出量世界2位のアメリカの大統領が地球温暖化を否定し、温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの離脱を表明しているのです。
「指導者が行動を起こす希望を失いつつある」COP30開幕も…削減目標には遠く及ばず
そうした中、気候変動対策を話し合う国連の「COP30」が10日、ブラジル・アマゾン地域で開幕しました。
会場では、アマゾンの先住民らが乱入し、石油開発や違法な伐採を非難する場面が見られました。
会議で焦点となったのは温室効果ガス削減。ところが国連によれば各国が提出した削減目標では、世界の平均気温上昇を産業革命前と比べ1.5°Cに抑えるには、遠く及びません。
こうした状況に国連のグテーレス事務総長は、各国のリーダーに不満をぶつけます。
国連 グテーレス事務総長(6日)
「多くの指導者が(化石燃料などの)既得権益に縛られたままだ。多くの人々が、指導者が行動を起こすという希望を失いつつある」
国任せでは…アップル、ソニーグループが独自の取り組み どこまで広がるか
政府の姿勢に対し、諦めの声すら聞かれる中、独自の取り組みを行う民間企業が出てきています。
その一つが世界的なIT企業・アップル。2030年までに、温室効果ガスの排出を実質ゼロにするとし、取引先にも部品製造などに、100%再生可能エネルギー使用を強く求めています。
その背景として、専門家は、そもそも再エネは決して不安定なエネルギーではないと強調します。
自然エネルギー財団 石田雅也研究局長
「化石燃料に依存した事業を続けていると、コストの変動リスクを長期的に負う。場合によっては、(資材などの)調達が難しくなるということになる。そのあたりをちゃんと認識して、価格も量も安定的に見込める再エネを使っていく」
実際、ロシアによるウクライナ侵攻のような事態が起きれば、石油などの化石燃料は価格が高騰し、調達も困難になります。
日本でも、ソニーグループが8月、自社だけでなく、主要取引先に対し、製品を作る際の電力を、2030年度までに100%再エネにするよう働きかけました。その理由として「ソニーの事業は健全な地球環境があってはじめて成り立つ」などとしていますが、こうした変化の意義を石田さんは...
自然エネルギー財団 石田雅也研究局長
「企業がこういうエネルギーが欲しいんだと供給事業者に伝えれば、それに応じざるをえない。そういったメッセージを発信していくことは、結果として、国もそれに合わせた促進策を展開していく必要に迫られる。国の政策を待つのではなく、自らが積極的に活動して国の政策を変えていくというぐらいの気概持つことが重要」
国任せではない、脱炭素にむけた企業による真摯な取り組みはどこまで広がるのでしょうか。
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