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大分火災 被害拡大なぜ? 170棟以上延焼 1キロ超離れた島にも飛び火か… 専門家が見た“現場の風”鎮圧・鎮火いつ?【Nスタ解説】

国内
2025-11-19 21:01

大分の大規模火災は、170棟以上に延焼し1人の死亡が確認されました。なぜここまで被害が拡大したのでしょうか。専門家とともに検証します。


【写真で見る】真っ赤な炎を上げ… 対岸から様子を見守る住民の姿も


風にあおられ…「炎・煙が真横に」

井上貴博キャスター:
大分の大規模火災について、現場に入った市長は「鎮圧の見通しは20日にでも」と発表しました。「鎮圧」=制御可能になった状態を指すので、「鎮火」=完全に火が消えるまではまだ時間がかかりそうです。

午後5時20分すぎの映像でも、赤い炎が確認できます。

板井先生は、今回の大規模火災の現場に18日に足を運んだそうですが、延焼・被害の状況をどう感じましたか。


大分大学客員教授 板井幸則さん:
18日午後11時ごろ、現場の状況確認をしに行きましたが、やはり火の勢いが強く、普通であれば、炎はまっすぐ上がり、煙もある程度まっすぐ上がりますが、火も煙も真横に行っている状況で、本当に強い勢いでした。


井上キャスター:
炎・煙が風にあおられて真横に、ということなのでしょうか?


板井幸則さん:
そうですね。本当に風が強かったので、こういった大規模火災の状況になったのではないかと思います。


大規模火災 170棟超に延焼 あじ・さばが有名な港町で

井上キャスター:
大分市・佐賀関は大分市の東の端に位置し、関あじや関さばなどが高級ブランドとして全国的にも有名です。風光明媚な漁港近くの住宅地で火災が発生しました。

19日午後2時現在、170棟以上に延焼、隣接する山にも燃え移っています。

消防庁の発表によると、焼失面積は4万8900平方メートルに及んでいるということで、2016年の糸魚川で発生した大規模火災をすでに超えています。

50代の女性が軽いやけどを負っているほか、男性1人と連絡がつかず、住宅の焼け跡から遺体も見つかっています(身元確認中)。


“平年の10分の1”雨量少なく「強風注意報」も

井上キャスター:
大分県の11月の雨量は、18日までで平年の約10分の1となっています。14日以降は雨が降っておらず、非常に乾燥しているということです。

火災発生当時は「強風注意報」が発表されていました。近隣住民は、「連鎖するように燃えていった」「(風が)強い。風が一番悪かった」としています。


大分大学客員教授の板井幸則さんによると、佐賀関は港町で、住宅が密集していたり木造であったりという状況で、消防車が入れない狭い道もあるということです。

さらに、海から吹く強い風を遮るものがないといったことも、広範囲に延焼した理由の一つだと考えられるといいます。


「The HEADLINE」編集長 石田健さん:
例えば、東京都内でも足立区の区長選では、「木造の密集住宅をどうするか」「火災のリスクに対してどう取り組むか」という点が争点になっていました。

こういった話は東京の他の自治体でも出ています。今回の火災は、この地域だけではなく全国どこでも起こる可能性があります。そして、実際に火災が起こらないと、なかなかそのリスクは可視化されません。

地震などに比べると、災害リスクのイメージは低いかもしれませんが、気候変動によって世界中で山火事・火災のリスクが非常に高まっています。今のうちから、お住まいの自治体でも(大規模火災の)災害リスクがないかは改めて確認したいですね。


出水麻衣キャスター:
焼失した面積を調べてみると、東京ドーム1個分ほどになるということです。消失面積だけでなく、例えば、臭いが移って住めなくなる住宅もあると思います。周囲のどのくらいまで影響が及ぶのでしょうか。


板井幸則さん:
これだけの火災なので、現場周囲でも強い臭いがしました。しばらくは生活をするにしても臭いが取れない状況で、住めないとまではならなくても、臭いが取れない状況で辛抱しなければいけないと思います。


「建物が密集」「風を遮るものがない」地形も影響か

井上キャスター:
「道が狭い」ことや「風」については、どうお考えですか。


板井幸則さん:
この地域が住宅密集地で空き家も多かったという点で、その分火災リスクも高まったのだと思います。空き家が放置されると周囲に草が生えたり、放置物もあるでしょう。火災の飛び火がそれらに燃え移り、延焼拡大が起きるという影響にも繋がったと思います。


井上キャスター:
火災発生現場から約1.4km離れている蔦島(無人島)まで飛び火したということです。1.4kmというと、東京駅から銀座くらいの距離があります。

板井幸則さんは「ここまで遠い距離の飛び火は聞いたことがないが、燃えた木材が島まで飛ぶことで飛び火したのではないか」とみているということですね。


板井幸則さん:
今回の場合、建物が木造なため一気に燃え上がって、一気に下に燃え落ちるというような状況でした。普通は火の粉くらいのものが若干上がるのですが、18日はもっと大きい火の粉のようなものが上がって、それが強風にあおられて隣の島まで行ったのではないかと思います。それによって、延焼が続いているのではないかとみています。


井上キャスター:
1キロ以上飛び火することは、よくあることですか。


板井幸則さん:
そんなに考えられないです。
しかし、18日の場合は強風にあおられて、周囲が海で遮るものがないなど条件が全て揃って、隣の島まで燃えた物が行ったという状況ではないかと思います。

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<プロフィール>
板井幸則さん
大分大学客員教授
元臼杵市 消防本部消防庁

石田健さん
ニュース解説メディア「The HEADLINE」編集長
鋭い視点で政治・経済・社会問題などを解説


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