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「帰る場所がなくなった…」大分・佐賀関 大規模火災で1人死亡 延焼続く… 風で被害拡大か 1.4キロ離れた無人島まで“飛び火”【news23】

国内
2025-11-20 12:50

大分市で発生した大規模火災。火災住宅など170棟以上が燃え、1人の死亡が確認されました。いまも消火活動が続いていて、避難所には100人以上が身を寄せています。住民からは「帰るところがなくなった」と不安の声が聞かれました。


【写真を見る】大規模火災で一変した町の様子


「自宅も実家も全部燃えてしまった。帰るところが完全になくなった」

喜入友浩キャスター
「火災の発生から24時間以上が経過しましたが、今も消火活動が続いている模様です。消防隊員、そして消防車の姿があります。飛び火した島も、オレンジ色の炎が見えますね」


再び、夜がやってきました。


喜入友浩キャスター
「いま避難している方が休まれている場所に簡易ベッドが運ばれていきます。高齢者も非常に多いということですが、まずはこうしたベッドが用意されています」


避難している人
「毛糸の毛布とタオル(が配られた)。緊張もあったけど、皆さんと一緒にいるとちょっと安心」
「なんか不安で、火を目の前にして見ている。恐怖心がやっぱりあると思う、自分的には。だから、なんとなく寝られないですね」


男性は、消防団の知人から「自宅が燃えていた」と聞いたそうです。


避難している人
「離れたところだったので、延焼は免れるかなと思いながらも免れなかった。すごいね。近くに私の実家があるんだけど、実家も全部燃えてしまった。帰るところが完全になくなったから、どうしようかなと」


火災発生から24時間経過も鎮火せず…住宅など170棟以上に被害

18日夕方、大分市佐賀関で発生した大規模火災。立ち尽くす住民の目の前で、火は辺り一帯の建物を飲み込んでいきました。


火は夜が明けたあとも…


記者
「まだ火は消えていません。今も至るところから白い煙が上がっています」


見えてきたのは、一変した町の様子…


近くに住む人
「炎でずっと連鎖のように燃えていった」
「(火が)止まらん、止まらん。手をつけようがない」


焼失面積は約4万8900平方メートルに及び、火は周囲の山林や1.4キロ離れた無人島にも燃え移りました。


焼け跡からは1人の遺体が発見され、警察は、連絡が取れていない稲垣清さん(76)との関連を調べています。また、50代の女性がのどに軽いやけどをしました。


喜入友浩キャスター
「まだまだ白い煙が立ち上っていますが、いま山に向かってヘリコプターから水が落とされました」


大分県から派遣要請を受けた自衛隊や50台を超える消防車両、県内外の防災ヘリが投入された19日の消火活動。しかし、24時間経過しても鎮火しませんでした。


住宅など170棟以上が焼けた今回の火災。


夕方、避難所の公民館では地元企業などのボランティアが炊き出しを行っていました。


冷たい風が吹く佐賀関。暖かいうどんも振る舞われました。


――なにか不安なことはありますか?

避難している人
「やっぱり家のことがな、一番気になるけど。帰りたいわ、風呂入りたい。パジャマのまんまや。(当時)テレビ見てくつろいでいたからね」


――夜は冷えますね。

避難している人
「寒いな」


被害拡大を招いた“二つの要因”

今回の火災は、2016年に新潟県糸魚川市で起きた大規模火災を超えています。被害は、なぜこれほどまでに拡大したのでしょうか。


住民は「火の広がり方が早かった」と話します。


住民
「向かいの家10m近所が燃えていて、それがどんどん近づいていたのと、周辺の横の隣とかが火事になりかけていたので、だめだろうなと」


火災が起きた一帯は、木造の民家が密集する地域でした。家々はあっという間に炎に飲み込まれ、火は次々と燃え広がっていきます。


住民
「だいたい築40~50年の古い家で、木造の造りが多い。しかも通る道が車が一台やっと通れる幅の道路で、家と家の間が狭い」


これは火災が起きる前の佐賀関の様子。路地が狭く、入り組んでいることが分かります。そのため家の近くまで消防車が入れないなど、消火活動が難航したとみられます。


大分大学 客員教授 板井幸則 氏
「もし明るい時間だったら、空からの空中散布というような形でできて、迅速な消火に繋がっていくと思うが、夜間っていうのは当然出動できません。そういったものも影響した」


さらに、海に面したこの地域特有の「風」が大きく影響した可能性があります。


当時、大分市内には強風注意報が出されていました。


水産業 経営者
「北西の風がその日、一日朝から大しけで、北西ですごい風だったので」


住民の言う「北西の風」の正体は、この時期、北から吹く風は関門海峡から国東半島を沿うように進み、豊後水道へと抜けていきます。


そして、火災が起きた地域はこの半島のくびれ部分。東西を山と山に挟まれていることから、強い風が吹き抜ける地形となっているのです。


この強い風にあおられ、火の粉が遠くまで運ばれたとみられます。


現在、火が出ている場所は減っているものの、鎮火のめどはまだ立っていません。


鎮火は“イタチごっこ” 高齢者が多い被災地で続く不安

藤森祥平キャスター:
消火活動は進んでいますか?


喜入友浩キャスター:
なかなか進んでいないように感じます。


先ほど、奥に見える家屋から白い煙が立ち上り、消防隊員が放水する様子がありました。こういったことが夜になっても複数か所で起こっています。白い煙が立ち上っては、それを消してという作業を繰り返しています。


今、街一帯は立ち入り禁止となっているのですが、消防隊員が夜になってもライトを持ちながら街中を確認する作業が続いています。


現地に入った地元の消防団員に話を聞きますと、「完全に火が消えているのを確認するのが非常に難しい状況」だといいます。


というのも、多くの建物が火災で倒れてしまっていて、その倒れたがれきの裏でくすぶっているケースが多いということで、消しては燃えるを繰り返すイタチごっこのような状況になっているということです。現在もそういった状況が続いているとみられます。


トラウデン直美さん:
苦しい状況の中だとは思うのですが、避難されている住民の方の様子はどうでしたか?


喜入キャスター:
健康面、そして不安の声が多く聞かれました。


このあたりは高齢者が多く住んでいて、自治会長によると、町の平均年齢は70歳を超えているそうです。


私が取材した方は車いすで生活をしていたり、心臓に病を抱えているという方もいました。その方は18日の夜、必要な薬を家に取りに帰ることができずに一夜を明かしたといいます。


一転、19日は避難所に多くの医療関係者の姿があり、先ほどの方は薬が届いて今は飲めているということです。


健康面の不安は少し取り除かれたものの、今家はどうなっているのか、いつになったら確認できるのか、そういった不安はまだ続いているといいます。


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<プロフィール>

トラウデン直美さん
Forbes JAPAN「世界を変える30歳未満」受賞
趣味は乗馬・園芸・旅行


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