タイ国籍の当時12歳の少女が東京都内のマッサージ店で違法に働かされていた事件で、店の経営者の男が警視庁に再逮捕されました。少女が違法に働かされていた背景には何があったのか。タイで取材しました。
タイのSNSには日本の風俗店への求人募集が。現地のブローカーを直撃すると…
現地のブローカー
「あなたが働きやすい店でいいよ、店によって違うから。東京には“隠れマッサージ”専門のお店があります」
深刻な「人身取引」の裏に潜むのは「ブローカー」の存在でした。
東京・文京区のマッサージ店経営、細野正之容疑者(51)。営業禁止区域にもかかわらず、風俗店で30代の女性従業員に客と性的なサービスをさせた疑いできょう、警視庁に再逮捕されました。
この店で、ひと月余りで61人を接客させられていたのが当時12歳のタイ国籍の少女。私たちは実態を探るため少女の出身地、タイへ向かいました。
記者
「バンコク市内から車でおよそ5時間ほど走ってきましたが、この先に少女が住んでいた村があるということです」
クーラーのない木造の小屋。少女はここで祖父母と妹の4人で暮らしていました。
少女の祖母
「(少女の母親は)私たちのためにお金を稼いで食べさせてくれた。怒る理由がありません」
少女の母親は、家族の生計を一人で支えていたといいます。
少女の祖母
「母親は『子どもも育てなくてはいけないし、頑張って稼がなきゃ』と言っていました」
これまでに日本や台湾、ベトナムなどに27回の渡航履歴があったという少女の母親。どのようにして日本に出稼ぎに来ていたのでしょうか?今、タイ国内のSNS上で増えているのが…
「日本14日間で6万バーツ(約30万円)」
高額な報酬をうたい、日本への渡航を促す求人募集です。私たちは、そのブローカーに接触を試みました。すると、直後に…
記者
「返信が返ってきました。なんて書いてあるんですか?」
JNNバンコク支局記者
「手数料で5000バーツかかるって」
さっそく、紹介料として日本円で2万5000円ほどが必要だと返信が。日本に渡れば高額な報酬が得られるという話は本当なのでしょうか?ブローカーに尋ねると…
現地のブローカー
「あなたが働きやすい店でいいよ、店によって違うから。マッサージを全くやらない店もあるし、やる店もあるし。(Q.でも私はビザがないのですが)取らなくていいよ、観光ビザで行けるから」
15日間の観光ビザで日本に入国し働くことは禁止されていますが、ブローカーの女性は「日本で仕事ができる」と説明。さらに、17歳と装って話を聞くと…
現地のブローカー
「(Q.まだ17歳なんです)あなたが準備できれば行けますよ。先に仕事を予約しておくといい。今、日本は年末で仕事がすごく多いからね」
未成年でも働くことができると勧誘してきたのです。今回の事件について専門家は「タイだけの問題ではなく、私たちが積み残してきた問題」だとして、買う側の規制強化を強く訴えます。
大東文化大学 斉藤百合子 特任教授
「そういう人たちを食い物にする日本の買春社会がある。問題は私達の社会の方にあるんじゃないか。買春を禁止するっていう法律の動きは大事だと思います。それと同じぐらい、もしくはそれ以上に大事なのが被害者の保護と支援です」
・「インフルにかかる人・かからない人の違いは?」「医師はどう予防?」インフルエンザの疑問を専門家に聞く【ひるおび】
・「彼女から告白を受けていた」26年前の未解決事件、逮捕された安福久美子容疑者は被害者の“夫の同級生” まさかの人物に夫は…「事件の前年OB会で…」【news23】
・【全文公開】“ラブホテル密会” 小川晶・前橋市長の謝罪会見【後編】「どちらからホテルに誘うことが多かった?」記者と小川晶市長の一問一答(9月24日夜)
