
2025年2月の衆議院選挙で「大敗」を喫した中道改革連合。公示前の172から49へ議席を大幅に減らすなど、厳しい結果となった。
【写真で見る】スタジオに生出演した吉田晴美氏 落選議員のリアルとは?
中道改革連合・前衆議院議員の吉田晴美氏に話を聞くと、党の代表代行という要職にありながら合流劇の詳細を直前まで知らされなかった実情や、選挙大敗の原因についての率直な見解を語った。
代表代行でも知らされなかった公明との合流劇
「えー」「びっくり」吉田氏が中道改革連合の誕生を知ったときの率直な反応だった。
2021年に行われた衆院選の東京8区で自民党で幹事長を経験するなどした大物・石原伸晃氏を破って初当選を果たし、若手ながら代表代行まで上り詰めた吉田氏。だが、立憲民主党と公明党が合流して中道改革連合を結成する決定について、党の幹部でありながら、「執行役員会の1時間前」にしか知らされなかったという衝撃の事実を明かした。
立憲民主党の候補者として戦うという前提で選挙戦のチラシ作りを進めていた吉田氏にとって、突然の合流決定は全く予期していなかった出来事だった。突然の合流劇に吉田氏は「率直に衝撃だった」と当時の心境を語った。
中道改革連合誕生の舞台裏が、いかに限られた人物による密室での決定だったかを物語っている。野田代表と公明党の斎藤代表、そして「限られた方」のみで協議が進められたことは、党内でも混乱を招いた。
中道改革連合 大敗の原因は「分かりにくさ」
今回の衆院選における中道改革連合の大敗の原因について、吉田氏は「分かりにくさ」と記した。この一言には、今回の選挙戦で感じた様々な問題が凝縮されている。
選挙戦では、従来の支援者からも厳しい反応があった。吉田氏は当時の心境をこう振り返る。
「『なぜ2つの党が一緒になったのか』。地元の皆さんの声も多かったところなんですが、中道は何をするか分かりにくかった」
支援者でさえ困惑する状況で、一般の有権者にとって中道改革連合がどのような政党なのかを理解することは、さらに困難だった。立憲民主党と公明党という政治的立場を異にする党が急に合流したことの必然性、中道改革連合として「何を目指すのか」という基本的な部分が有権者に伝わらなかったという反省だ。
さらに、「高市総理の自民党に対して『中道はこれだ』という、何が違うのかちょっと分かりにくい」と続け、対立軸の不明確さも指摘した。高市総理が明確なメッセージを発信していたのに対し、中道改革連合側は方向性が曖昧だったという現場感覚を率直に語った。
「ガチンコ勝負で負けた」“らしさ”への回帰
選挙後、野田前代表は自身のブログ「かわら版」で、「自民党にガチンコ勝負で負けたという実感はありません。高市総理への期待感だけの推し活のようなイメージ論に選挙戦全体が支配されてしまった」と綴ったが、この発言について問われた吉田氏は、明確に異論を唱えた。
「完全に今回の選挙で負けました。この結果ですから。そこはしっかり受け止めなければいけないと思います」と断言し、「ガチンコ勝負です、総選挙は。候補者も支援者の方も含め、総力戦で皆さんが全力を尽くした選挙です。結果は厳しかったですが、これはガチンコ勝負だったんじゃないでしょうか」と述べた。他責的な総括ではなく、敗北の現実を受け入れることの重要性を強調した発言だった。
また、選挙戦を振り返る中で、吉田氏は地元有権者から受けた率直な指摘を明かした。
「地元で聞いた声は、『吉田晴美らしさをもっと出せ』という声はすごくあって、それを出しきれなかった」
選挙の途中で地元有権者から「吉田さんが、いつも言ってた教育と経済の話もっとして」という声があったという。新党結成により、安保や憲法、原発といった政策の説明から始めざるを得なかったが、本来自分が重視してきた政策分野での発信が十分できなかったことへの反省を語った。
金銭的負担やスタッフの支援まで・・・落選議員のリアルとは?
選挙後の現状について、吉田氏は落選議員が直面する厳しい現実も語った。議員会館からの引越作業のほかに、「リースをしていたコピー機を返さなきゃいけない、でも買取に何十万とか」といった具体的な金銭的負担や、「秘書の方々、スタッフの方々のこの先のお仕事のヘルプをしたり」という人的な課題まで、政治活動以前の実務処理に追われている状況を詳細に説明した。
また、選挙後の2月28日、落選者約170人が参加した意見聴取会がオンラインで開催された。約170人が参加し、6時間弱に及ぶ会合の様子について、吉田氏は、「手挙げ方式で、Zoomで手を挙げる反応ボタンがあるじゃないですか。あれを押して、当てられていくという感じ」と語り、オンライン形式のヒアリングでは、十分な意見交換は困難だったことを示唆し、少人数による対面での議論の必要性を訴えた。
世論調査が映す党の将来への課題とリベラル再生への道筋
JNN世論調査では、中道改革連合の今後について興味深い結果が示された。全体では「再び立憲民主党と公明党に分かれるべき」が42%で最多だったが、中道支持層に限ると「参議院や地方議員も含めて完全合流すべき」が43%で最多となり、有権者全体との間に認識の乖離があることが浮き彫りになった。
この結果について吉田氏は、「中道の支持をしてくださっている皆さんにしてみれば、『この選挙もみんなでまとまってやってきたんだから頑張ってみなよ』というお気持ちが現れるのは、これは私は当然だと思う」と分析した一方で、全体の意見については「それぞれの持ち味を出したらいいんじゃないっていうご意見が多分全体としては強いのかな」と受け止めた。
一方で、吉田氏が危機感を示しているのは、党としての方針決定の遅さだ。来年の統一地方選、2028年の参議院選挙を控える中、中道改革連合の行方は依然として不透明なままである。
吉田氏は「統一地方選が次の大きな決戦になるところだと思っている。選挙の前は参議院も自治体議員も合流する方針だったが、いまもその方針なのか。地元の区議会議員や都議会議員からも『この先どうなるのか』という声がある。統一地方選に向けてなるべく早く方針を出して動いていかないといけない」と話し、「あまり時間をかけないほうがいい」と迅速な意思決定を求めた。
また、今後のリベラル勢力の在り方について、吉田氏は“従来のイデオロギー論を超えた価値観の共有”を提唱した。
「リベラルというカテゴリーが重要なのか、それともそこで私たちが大事にしている価値観や未来が大事なのか」と問題提起をしたうえで、若い世代は「同性婚賛成や個人の自由を重視するなど、本質的にはリベラル的価値観を持っている」との認識を示した。
さらに、「大事だねって思う価値観をどうやって国民の皆さんに伝え、コミュニケーションしていくか。政治の側として変わらなければいけないのでは」と、リベラル的価値観自体は広く受け入れられるものだとしながらも、その伝え方、コミュニケーション方法に課題があると指摘した。
カギは「分かりにくさ」解消と真摯な対話
中道改革連合の大敗は、単純な政策論争の敗北ではなく、政党としてのアイデンティティの「分かりにくさ」に起因していた。急造の合流劇、そして有権者とのコミュニケーション不足などが重なった結果だった。
来年行われる統一地方選、そして2028年の参議院選挙に向けて、中道改革連合は根本的な立て直しを迫られている。そのカギは、「分かりにくさ」の解消と、有権者との真摯な対話という、政治活動の基本的な部分に集約しているのかもしれない。
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