消費税の減税についてです。高市総理は実現に向けて強い意欲を示していますが、足下の自民党内では慎重な意見が根強くあるようです。実現できるのでしょうか?
【写真を見る】記者が解説 議員のホンネ「消費減税 やりたくない」という声も
「消費税の減税は愚策」党内から漏れる本音
高柳光希キャスター:
今年(2026年)2月の衆議院選挙で、自民党は公約で「食料品を2年間 消費税ゼロ」、その実現に向け「検討を加速」すると訴えていました。
この公約は、高市総理も「私自身の悲願」だと話していました。ただ、ここに来て自民党の議員からも様々な声が出ているという現状があります。
TBS報道局政治部 自民党担当 島本雄太 記者:
今、与野党で「食料品の消費税2年間ゼロ」については、やる、やらないも含めて議論している段階です。
ただ、今回公約に掲げた自民党の中からでも、本音では消費税減税に消極的な意見が上がっていて、“やりたくない”という声さえ聞こえているような現状です。
3月、自民党内で党の方針にも大きな影響を与える大事な会議が開かれ、そこで税の制度について話し合う会合が行われました。しかし、そこで上がってきた意見のほとんどが消費税減税に対してネガティブなものでした。
高柳キャスター:
実際に党内からはどのような声が聞こえているのでしょうか。
例えば、自民党の議員A氏は「減税をしても価格が下がらないという結果になりかねない。目的は何なのか」と話しています。
食料品にかかる消費税を下げても、食料品の価格が下がらないというのは、どういうことなのでしょうか。
TBS報道局政治部 島本記者:
税率を変えると、システムの改修などに費用がかかるため、その分が商品の本体価格に上乗せされてしまうのでは、という声がスーパーや百貨店などの小売業界から上がっています。
減税のため、結果的に商品が高くなってしまい、消費者側のメリットがなくなってしまうのでは、ということです。
高柳キャスター:
別の議員・B氏は「消費税の減税は、高い収入の人ほど恩恵が大きい愚策」と話しています。
TBS報道局政治部 島本記者:
消費税が下がると、高い買い物をする人ほど減る税金の額も大きくなります。そのため、収入が大きい人の方が得をしやすく、物価高に困ってる中・低所得者への助けにあまりならない、少しちぐはぐな対策だという考え方です。
なぜいま党内に温度差?急な選挙も影響か…
TBS報道局政治部 島本記者:
3月に行われた税の会合の中で出た前向きな意見は、「公約で言ってしまったのだからやらざるを得ない。やらないのであれば国民に理解してもらえる理由を考えなければならない」という程度でした。
高柳キャスター:
2つの反対意見が上がりましたが、どちらも選挙の前にわかったのではないかという気もします。なぜ今更このようなことが議論になっているのでしょうか。
TBS報道局政治部 島本記者:
今回は、高市総理が記者会見で消費減税を「悲願」とまで強調したことや、選挙が急に行われたこともあり、公約も急ごしらえで作られたものでした。そのため、議員から幅広く意見を聞くことが難しかったという現状もあります。
つまり、もともと選挙のときから減税を実現したいのは高市総理と総理周辺議員のみでした。自民党の税の会合でも消極的な意見が多かったことから、やりたくない自民党の議員は一定数いることがわかってきています。その構図が今になって表面化してきているということです。
イラン情勢が逆風に? 物価高加速と財源難の壁
高柳キャスター:
そして2か月前と比べ、国際情勢も大きく変わってきています。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
イラン情勢が2つの点で消費減税において逆風となっていると思います。
1つ目は、物価高によりインフレ基調になってきている状況で消費減税をすれば、さらにインフレが加速するという点です。このようなときに消費減税をしている場合かということもあります。
次に、景気が少し失速して税収が減ってくると、5兆円とも言われている消費減税の財源をどのように捻出するのかが問題となります。これらの課題をどのように克服していくのか、高市総理は説明が必要になってくると思います。
井上貴博キャスター:
組織において様々な意見が出ることは、むしろ健全だと思います。ただ選挙公約というのはやはり重いものです。
先の選挙での特別番組で、爆笑問題の太田さんが高市総理に覚悟を問うたときに、高市総理は「最初からできないと決めつけないでください」と話していました。まさにここから高市総理の本気度と覚悟が問われると思います。
高市総理のこだわりと現実 問われる政策判断
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
この問題は単に景気対策、所得を増やすための対策だけではなく、今はマーケットの信認とも絡んできます。
財源がないのに勝手に減税をすれば、イギリスの例ではないですが、日本もマーケットに相当拒絶される可能性が出てきます。イラン情勢も含めて、その辺はある程度、臨機応変に対応する必要があります。
ただ、予算の年度内成立に高市総理がこだわったことなどを見ると、高市総理は自分が言ったことに対してのこだわり、メンツが非常に強いようです。
しかしやはり総理大臣なので、自分のメンツもあるけども、国民生活や日本の財政、マーケットの信認など全体像の中で考えていくことが必要になってきていると思います。
出水麻衣キャスター:
選挙で大勝し、おそらく候補者の皆さんは「高市総理に付いて行きます」というようなことを言っていたと思います。それにもかかわらず、今このように一枚岩になれていないことが表面化してくるのはなぜなのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
自民党は、そういうところは非常に柔軟というか、「選挙で勝てばこっちのものだ」「勝った後は多少公約を破ってもいいのだ」という、やや自分たちよがりのところがあります。とはいえ公約なので、真剣に考える必要があります。
一方で、やはり経済情勢や社会情勢が変わっているということも勘案して、きちんと国民に見えるように議論してもらうことは大事だと思います。
高市政権の試金石 「消費減税」の実現可能性は?
高柳キャスター:
システム改修などを考えると、高市総理が実現したいタイムリミットが刻一刻と迫っているわけですが、実現可能性というのはどうなのでしょうか。
TBS報道局政治部 島本記者:
今の段階では高市総理の人気は高いので、やるか、やらないか断言できない状況です。ただどちらにしろ確実なのは、この「消費税の減税が実現できるかどうか」が、高市政権の今後を占う重要なポイントであるということです。
実現できなければ納得しない国民はかなり多いと思われ、高市総理の人気にも影響が出てきます。
減税が実現して成功すれば、高市総理の人気の追い風にもなりますが、減税したものの物価高対策にならなかった場合には、党内で高市総理を支えようという人も減っていきます。
どちらにせよ消費税の減税がどうなるかが、高市政権の今後を占う試金石、重要なポイントになってくるのは間違いありません。
井上キャスター:
2年間の消費減税を実現するために、10兆円の代替財源を見つけるのは厳しいという話がありましたが、財務省に取材すると、諦め半分で「それは良しとしよう」という人が実際にいるといいます。「基金から取り込める」という人もいれば、「無理だ」という人もいますが、どうなのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
景気の上振れを考えれば、スポットの2年分の財源はあります。ただ、本当に2年でやめられるのか。その後も(消費減税が)続くとなると無理だと思います。
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<プロフィール>
島本雄太
TBS報道局政治部 自民党担当
政調会長を中心に取材
休日は料理作りとお酒で気分転換
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
政治記者歴30年 福島県出身
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