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「薬はあっても容器が足りない」中東情勢の影響で薬局の軟膏容器などプラスチック製品が品薄に…【報道特集】

国内
2026-05-09 20:50

先の見えない中東情勢の影響は、私たちの身近な生活にまで及び始めている。調剤薬局からは「薬はあっても容器が足りない」と嘆く声も。塗り薬を入れる軟膏容器など、プラスチック製品が手に入りづらくなっているというのだ。一体、何が起きているのか。薬局やメーカーを取材すると、薬を扱うが故に代替のきかない背景が見えてきた。


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政府 ナフサ製品の供給「年を越えて継続できる見込み」一方で広がる生活への影響

中東情勢の影響を受け、供給不足の懸念が出ているナフサ。原油から精製され、プラスチックなど幅広い製品に使われている。


政府は4月30日、ナフサ由来の製品を供給できる期間について新たな見通しを示した。


高市総理
「ナフサ由来の化学製品の供給は、これまで『半年以上』とお伝えしてきたところですが、さらに延びて年を越えて継続できる見込みとなりました」


中東からのナフサ輸入が激減した一方で、中東以外からの輸入が4月は2倍。5月は3倍になる見込みだと明らかにした。6月以降も3倍の水準を維持できれば、中間製品の在庫も活用しながら製品全体の供給は「年を越えて継続可能」だという。


ナフサはアメリカやアルジェリア、ペルーなどから輸入するとしている。しかし、ナフサ由来の製品への影響は広がり続けている。


「ミツカン」は5月1日、納豆パックの原料高騰による値上げや、一部商品の販売休止を発表した。


生協の宅配サービスなどを展開する「コープデリ連合会」は5月4日、原料や燃料の不足により「商品の供給に影響が出ている」と明らかにした。


物流専門メディアLOGISTICS TODAYの赤澤裕介編集長は、ナフサ製品を扱う企業にとどまらず、消費者にまで影響が及び始めていると指摘する。


LOGISTICS TODAY 赤澤裕介 編集長
「(影響は)住宅設備とか樹脂、あと塗料・シンナーもある。それが食品トレーに移ってきてスーパーマーケットとか生協とか、消費者が直に感じるところに広がってきている。これは5月に入ってからじゃないか」


影響は、身近な薬局にも…


「薬あっても容器不足」軟膏の容器 簡単に代用はできず 余波は薬局にも直撃

三重県津市にある調剤薬局。皮膚科があるクリニックに隣接しているため、軟膏などの塗り薬を多く取り扱っている。


――容器は1日にどれくらい使う?


ペンギン薬局 佐藤亮 代表
「平均50~100個くらいは毎日使いますね」


容器は、ナフサ由来の樹脂が原料のプラスチック製。4月下旬から確保が難しくなっている。


ペンギン薬局 佐藤亮 代表
「4月3週目ぐらいから、通達が来るようになった。5月に入ってからはまだ入荷が全くない状態」


普段、注文に使う業界大手の専用サイトでは在庫切れとなっている。


ペンギン薬局 佐藤亮 代表
「まずクリックができない。開けない状態」


FAXでの予約は受け付けているが、原材料の入荷状況が不透明なことから数量は制限され、納期も未定だという。


普段は、棚2段分の在庫を確保しているが、今は残り1〜2週間分ほどにまで減っている状態だ。他の容器では簡単に代用できない。


ペンギン薬局 佐藤亮 代表
「気密性が保たれず、軟膏の中の水分が出て適切に使えないとか、単純に密封されていないから外部からの汚染を受けてしまうとか、問題が出てくる可能性があるので、似ている容器で安直に代替できない」


今は、少しでも容器が入ってくるのを待つしかない状況だ。


ペンギン薬局 佐藤亮 代表
「発注して入ってくるのを首を長くして待っています。今すぐゼロになるわけではないので、決して不安を煽りたいわけではない。この状況が今後続くかもしれないと、不安になる部分は出てきます」


不足しているのは、軟膏容器だけではない。


東京・江東区の薬局を訪ねると…


有明ファミリー薬局 薬剤師 小林和正さん
「これは水剤容器と呼ばれるもの、シロップ剤を入れる容器」


子ども向けのシロップ剤を入れるプラスチック容器。これもナフサ由来の樹脂が原料だ。


他にも、遮光性のある容器やチャック付きの袋など、複数の医療用プラスチック製品が在庫切れとなっている。


有明ファミリー薬局 薬剤師  小林和正さん
「発注してもいつ来るかわからない。現場としても、在庫の管理や患者さんに安定して出せるのかというような、今後の不安は常につきまといながら、仕事をせざるを得ない状況」


在庫はあと1か月分あるというが…


有明ファミリー薬局 薬剤師 小林和正さん
「今後このような状況が続くと、薬は受けることができても、渡すことができなくなる心配もある」


厚生労働省に尋ねると、「調剤薬局向けプラ容器に対する相談が寄せられ、容器メーカーへのヒアリングを進めている」としたうえで…


厚生労働省
「現時点までに確認できた範囲では、通常の出荷量の維持は行っていると聞いています」


原料足りずに止まるプラ容器の製造ラインも

実際に、薬局で使うプラスチック製品を作るメーカーを訪ねてみた。


倉持プラスチック 倉持聡志さん
「こちらが軟膏容器の100gと80g用の蓋を製造しているところ」


1958年に創業した「倉持プラスチック」。“プラスチック一筋”でこれまで医療用の軟膏容器などを製造してきた。しかし…


――これが動いていないのはなぜ?


倉持プラスチック 倉持聡志さん
「原料が入ってきていなくて止めざるを得ない。1週間以上止まっている」


軟膏容器の原料となるナフサ由来の樹脂「ポリプロピレン」には複数の種類があり、蓋と本体では別の樹脂を使っている。


いま動いているのは蓋の製造ラインだけ。本体の原料となる「ポリプロピレン」の入荷が止まり、4つある製造ラインのうち2つが稼働できていない。


倉持プラスチック 倉持聡志さん
「初めてのこと。まさかこんなことになるとは思わなかった。 納期も遅れてしまうような感じで、謝ることも大きな仕事になってしまっている。原料が遅れる、製造が遅れる、納期も遅れるのでごめんなさい。『いつになるのか』と聞かれても『わからない』と回答するしかない」


使っている原料は、全て国産だ。外国産の原料があったとしても、簡単に置き換えることはできないという。


倉持プラスチック 倉持聡志さん
「耐薬品性も非常に高いものを使っている。今までの経験値で他のグレード(の原料)に変えると、必ずクレームが起きる。『(他の)原料がある』ということで、間に合わせて使うことは絶対にしない。全く同じ製品でも客の所に行ったあとに、内容物に侵されてクラック(ひび割れ)が出たりする」


倉持プラスチックでは、4月から注文を受けた量の一部が納品できなくなり始めた。


いま、需要が多い100gや10g用の軟膏容器の在庫は底をつき、原料が無いため、新たに作ることもできない状況に直面している。


原料を保管している倉庫を案内してもらうと…


倉持プラスチック 倉持聡志さん
「通常だと数倍積んでいないと生産が追い付かないが、ここまで減って、次の入荷も来ない状況」


入荷の目途が立たないまま、原料の価格は4月以降、5割も値上げされたという。


倉持プラスチック 倉持聡志さん
「今年いっぱい(供給量が)あるとか色々な情報が入ってくるが、原料の卸問屋が言うには『来月は分からない』。足りているという感じはしない」


――実際に止まってしまっている…


倉持プラスチック 倉持聡志さん
「そうなんですよ。困っている」


原料「ポリプロピレン」が不足?プラ容器メーカーの声

政府は、ポリプロピレンなどナフサ由来の樹脂について、「国内の在庫を活用すれば全体の供給量は満たすことができる」としている。


高市総理(4月30日)
「中間段階の化学製品の在庫は、統計も踏まえると1.8か月分あります。足元では供給の偏りや流通の目詰まりが続いています」


経産省の2025年3月のデータを見ると、ポリプロピレンの生産量は前の月と比べて-15.2%、出荷量は-2.5%だった。


軟膏容器などを製造するほかのメーカーを調べたところ、「原料は前年並みに調達できている」とするプラ製品メーカー(A社)もあった一方で…


プラ製品メーカーB社
「原材料メーカーから入荷遅延や納入数量の制限について連絡を受け始めております」


プラ製品メーカーC社
「プラスチック原料においても供給制限による影響が出ております」


原料の調達に影響がでているとするメーカーも複数あった。


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