
TBSのSDGs応援アンバサダーを務める競泳の池江璃花子選手。白血病を克服した自らの経験を胸に小児がんと闘う親子の元を訪問しました。
彼女が今、伝えたい思いに迫ります。
大病を乗り越えた池江璃花子選手 親友が取材
9月のアジア大会日本代表に内定している、競泳の池江璃花子選手に、「Nスタ」スタッフで、リオオリンピック元競泳日本代表、そして前回のアジア大会では銅メダルを獲得した、今井月アシスタントディレクターが取材をしました。
リラックスムードの中、話題はいつしかアスリートとしての本音へ。
競泳・池江璃花子さん(25)
「社会人になって、体の疲労の抜けなさとかはやばいよね」
8年前の2018年、高校3年生で出場したアジア大会では、約70年間の歴史の中で、日本人で初めて6冠を達成。当時を振り返ると…
池江さん
「なんかすごい“絶対的自信”があったよね。当時は。(Q.今は?)ない。試合が全然怖くて無理」
かつての絶対的な自信を奪い去ったもの。それは池江選手を襲った突然の病でした。
アジアの頂点に立ち、選手としての絶頂を迎えていた池江選手の東京オリンピックメダル獲得は確実。誰もがそう信じていた矢先のことでした。
オーストラリア合宿中に突如として体調を崩し、緊急帰国。下された診断は「急性リンパ性白血病」。
池江選手 公式Xより(2019年2月12日)
「未だに信じられず、混乱している状況です」
「でも負けたくない」
過酷な治療により、体重は18キロ減少。それでも諦めることなく、約10か月間の闘病生活を乗り越え、もう一度プールへ戻ってきました。
「Nスタ」今井月 アシスタントディレクター
「乗り越えれた理由って何だと思う?」
池江さん
「乗り越えられるものだと思ってた。とにかく笑うようにしてた」
大病を乗り越えた池江選手。今回、「自分ができることをしたい」と向かったのは、こども病院。そこで語ったこととは。
白血病と闘う中学生 池江選手がかけた言葉
アジア大会に内定している、競泳の池江璃花子選手。
池江さん
「この世の中、自分では想像もできないところで一生懸命生きてる人たちがいるって、いつも(病気になってから)そういうことを考えてしまうんだけど」
白血病を克服した彼女が、今回“自分ができることをしたい”と訪れたのは、小児専門病院である、千葉県こども病院。
現在、池江選手と同じ急性リンパ性白血病と向き合う、中学1年生のりかさん。
4歳から7年間、競技バトンに打ち込むなど、とても活発な子だったといいます。病気がわかったのは2025年12月、小学校を卒業する前のことでした。
それからは、同じ病を乗り越え活躍している池江選手の存在を“希望”にしていたというりかさん。
池江さん
「いま何食べたいとかある?」
りかさん
「唐揚げ食べたいな」
池江さん
「私が入院中一番行きたかったレストランはね、サイゼリヤだった」
りかさん
「一緒一緒!」
池江さん
「一緒?美味しいよね」
同じ病気を経験しているからこそわかり合える2人。
池江さん
「一番入院していて大変なことは?」
りかさん
「小6に入院だったから、卒業式も入学式も出れなくて、それが悲しかった」
池江さん
「私も(高3の)2月に病気が分かったから、卒業式も入学式も出れなくて、だからすごく気持ちがわかる」
仲間と迎えるはずだった大切な日。その辛さが誰よりもわかる池江選手だからこそ伝えられる言葉も…
池江さん
「辛いと思うけど、サイゼリヤに行くとか、ディズニーに行くとか、美味しいもの食べに行く。行きたいところに行くっていうのを、私はノートに書いてた。自分を強く持って、『絶対負けないぞ』っていう気持ちで毎日戦ってたから、笑うことってすごく良いことだから、たくさんお喋りして、もちろん、しんどいときはたくさん休んで。1日でも退院日が縮まったらいいもんね」
自らの経験から紡ぎ出された、力強い励ましの言葉。
りかさんの日常を奪った病がわかったとき、母の良枝さんは…
母・良枝さん
「行き帰りの車の中で1人で泣いたりとかしていて、一番は『なんでうちの子が』っていうのがすごくあって」
それでもりかさんは…
母・良枝さん
「1回も弱音を聞いたことがなくて。でも多分、私のいないところで、夜1人になったときにきっと泣いてたんだろうなって思う形跡が、次の日の朝行くと、目が腫れていたりとかしているので」
池江さん
「私は、とにかく喋らなくてもどんなに自分が体調悪くて辛くても(家族が)そばにいてくれることがすごく嬉しくて」
一番苦しいときに、ただ寄り添ってくれる家族の存在は、支えとなっています。
池江さん
「なんて書いてほしい?」
りかさん
「何書いてても嬉しい」
池江さん
「『闘ってサイゼリヤに行こう』は?」
りかさん
「率直に言うとめっちゃ嬉しくて会えて。治療ももっともっと頑張れる」
池江さん
「りかちゃんと一緒にサイゼリヤに行くことを目標に水泳を頑張ります」
5月8日、3度目のアジア大会に向け、練習中の池江選手。この日も、朝と夕方で合わせて8キロ泳ぐ過酷なトレーニング。
池江選手からの誘いもあり、3年ぶりに今井月アシスタントディレクターも練習に参加しました。
練習の後は一緒にクールダウン。そのまま、アジア大会への思いを聞きました。
池江さん
「目標は銅メダル以上。あわよくばメダル2個。せっかく日本でやるので、盛り上がるんじゃないかな」
今回は32年ぶりの日本開催。再び、アジアの頂点へ。池江選手の挑戦はまだまだ続きます。
スポーツ選手が社会の中で出来ること
高柳光希キャスター:
今回、池江璃花子選手の取材を担当した「Nスタ」スタッフで、リオオリンピック元競泳日本代表、そして前回のアジア大会では銅メダルを獲得した、今井月さんです。
今井さんは小学生の頃から池江選手と親交があるということですが、今回取材してみて、何か感じたことはありましたか?
TBS報道局「Nスタ」今井月 アシスタントディレクター:
オフや練習のシーンは、かなりリラックスして、ありのままの姿を取材することができました。病院訪問は、辛い闘病生活を思い出してしまうのではないかと複雑な感情も持っていたと思いますが、前向きに取り組んでくれました。
病院訪問で池江選手は、急性リンパ性白血病に向き合っている、りかさん(12)から折り紙で作った手づくりの花束とメダルをプレゼントしてもらいました。
その裏には「これからも応援しています。頑張ってね」と書いてあり、りかさんもアジア大会の池江選手の姿をすごく楽しみにしていて、「推し活を頑張る」とおっしゃっていました。
井上貴博キャスター:
最近は、スポーツ選手が様々な施設に訪問することが増えているようです。どんどん社会を巻き込んでいく流れになっているのはすごく心強いなと思います。
スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
スポーツってそもそも社会の中にあるからこそ、スポーツ選手ができることってたくさんある。自分の発する言葉の意味をわかってくれる相手と繋がるのはすごく大事なことで、池江選手にとっても、りかさんにとっても、お互い「サイゼリヤ」の言葉の意味、「唐揚げ」という言葉の意味の厚みが、お互いがわかるという、その意味では多分今回、今井さんが帯同されたこともおそらく池江選手にとって、意味がわかってくれる相手と共有できる空間っていうことは見ていて思いました。
競泳界で広がる「水着を回収」リサイクル
高柳キャスター:
池江選手が活躍する競泳界でも、サステナブルな取り組みが広がっています。
その一つが、日本水泳連盟が3年前から参加をしている、水着などを回収してリユース・リサイクルにつなげる、「Wear to Fashion」という取り組みです。
競泳大会の会場に回収する箱が設置されていて、選手が使い終わったユニフォームやジャージなどをここに入れることで、リサイクル・リユースにつなげることができるということです。
実際に競泳用の水着がスタジオにあります。これは試合で使うものなんですか?
TBS報道局「Nスタ」今井アシスタントディレクター:
水泳選手は、練習用とレース用で水着を分けて使っていて、こちらはレース用の水着になります。0.01秒を争う世界なので、体のラインにピタッと密着する素材で作られていて、かなり薄い生地になっています。
井上キャスター:
練習用とレース用の違いは何ですか?
TBS報道局「Nスタ」今井アシスタントディレクター:
水を弾くか弾かないかが一番の違いだと思っていて、あとはレース用の水着はピタッとしてきついので、着るのにも時間がかかる印象です。5分ぐらいかかります。仲間にお尻のところを上げてもらったりします。
出水麻衣キャスター:
一方で、収縮性もしっかりしていますので、一度伸びちゃうと確かにちょっと不安になってしまう気持ちはわかります。
TBS報道局「Nスタ」今井アシスタントディレクター:
私も4回ぐらいで着用をやめて、また新しいものに変えていました。例えば、決勝レースはあまり使用していない水着を使って、予選は10回ぐらい、何回か着たものを使ったりしていました。決勝レースで1回使ったものは、次の大会の予選で使うなど、使い回していました。
女子の水着だと5万円近くするものもたくさんあるので、やはり高価で、私達もすぐに使用をやめてしまうことにすごく抵抗がありますが、日本水泳連盟がやっている水着の回収ボックスなどがあると、私たちも積極的に参加できますし、池江選手もこういった活動を呼びかけて積極的に活動に挑戦しています。
高柳キャスター:
メーカーによると、1年くらいは使えるということですが、0.01秒を争う世界なので、よりシビアにタイムを競っていくという中では、少ない回数で水着を変えることもあるということです。
池江選手も、8年ぶりのアジアNo.1を目指す2026年のアジア大会ですが、TBSでは、あなたの古着が開会式の衣装に生まれ変わる、「アジア大会古着アップサイクルプロジェクト」を実施中です。
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<プロフィール>
今井 月
TBS報道局「Nスタ」担当
元競泳リオ五輪日本代表・アジア大会銅メダル
田中ウルヴェ 京さん
スポーツ心理学者(博士)
五輪メダリスト 心理コンサルティング
こころの学びコミュニティ「iMiA(イミア)」主宰
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