
今、お茶の価格が高騰しています。ペットボトルのお茶の価格は、3年半で1.4倍に。
背景にあるのは世界的な“抹茶ブーム”です。
どうして「抹茶」ブームで「煎茶」の値段が高くなってしまうのでしょうか?
日本茶ナビゲーターの酒井智子氏と考えます。
【写真を見る】どうして?“抹茶ブーム”で「お茶」の価格高騰 #matchaが世界で注目 お茶農家は“複雑な心境”【ひるおび】
どうして?世界的な“抹茶ブーム”
東京・表参道にある抹茶専門カフェ「THE MATCHA TOKYO」は、連日大盛況です。
日本の良質な抹茶を味わうために、欧米やアジアなど様々な国から来店しており、客の約9割が外国人だといいます。
抹茶ラテを楽しむ外国人観光客に話を聞くとー
「1、2週間前にここに来て初めて日本の抹茶を飲みました。本当に美味しかったのでまた来ました。」
「この店はTikTokで知りました。コーヒーより抹茶の方が健康的だと思う。」
「マレーシアの人たちは日本の文化が大好き。抹茶のお菓子もたくさんあるけれど、日本の抹茶は全然違う。日本の方が圧倒的に美味しい!」
「THE MATCHA TOKYO」は、日本に6店舗、海外に55店舗展開しています。国内の店舗では、一昨年から去年にかけて、来客数が1.5倍に増えているということです。
コメンテーター 長田麻衣:
10年ぐらい前から、日本のお土産も抹茶味のキットカットなど、抹茶味が多いと聞いていたので、イメージはできますね。
恵俊彰:
なぜこんなに人気があるんですか?
日本茶ナビゲーター 酒井智子氏:
「緑色」がおしゃれに見えるのと、健康的な効果が海外でも知られているのが一番ですね。
≪世界的抹茶ブームの要因≫
◆“映える”見た目で#matchaなどのSNS投稿が増加
◆円安などで、日本の高品質なお茶が安価で入手可能になった
◆“茶をたてて飲む”日本文化の体験が人気
◆健康志向が高まる欧米を中心に人気が拡大
抹茶には抗酸化作用やアンチエイジングが期待される「カテキン」や、
集中力の維持をもたらす「カフェイン」、さらにリラックス効果をもたらす「テアニン」も含まれています。
日本茶ナビゲーター 酒井智子氏:
カフェインだけだと集中力が上がったあと下がって、また飲んで上げるということになるんですが、テアニンが含まれることで緩やかに持続していきます。
海外のIT系の方にも、10年程前から知られています。
「抹茶」ブームで「煎茶」が値上がり!?
財務省の統計では、日本の緑茶の輸出は右肩上がりに増え、2025年の輸出額は721億円と、過去最高額となっています。
一方で、大手飲料メーカーは危機感を感じています。
「伊藤園」の志田光正執行役員は、5月12日の会見で
「日本茶の需給構造は大きな転換点にある。今年の新茶取引では各産地で価格が過去最高水準など高止まりが続いている。」と話しています。
ペットボトル(600ml)のお茶の場合、2022年10月の希望小売価格は172円でしたが、2026年3月には237円と、3年半で約1.4倍になっています。
また、ペットボトルの緑茶によく使われる「秋冬(しゅうとう)番茶」も大幅に値上がりしています。
鹿児島県茶市場では2024年には1kgあたり417円でしたが、2025年は約6倍の2431円となっています。
お茶の値上げ「2つの理由」
「煎茶」と「抹茶」は同じお茶の木から作られます。
摘んで蒸してから、揉んで乾燥させたものが、いわゆる「煎茶」。私たちに身近な緑茶です。
一方の「抹茶」は、収穫前に2~3週間黒いシートでお茶の木を覆い、遮光することによって旨味成分を閉じ込めた「てん茶」の茶葉を使います。蒸して乾燥させ、挽いて粉末にしたものが「抹茶」です。
“抹茶ブーム”により「てん茶」の栽培量を増やしたことにより、「煎茶」の生産量が減っています。2015年には4万5405トンでしたが、2024年には3万6511トンと、約2割減。
そのため「煎茶」の価格が高騰し、お茶の値上がりにつながったのです。
もう一つの値上げの理由はナフサ不足です。
日本茶の包装には、風味が落ちるのを防ぐために日光・湿気を遮る素材が不可欠ですが、袋に使われる素材の9割以上がナフサなど原油由来なので、製造コストが上がっています。
落語家 立川志らく:
海外に日本の文化を知らしめることはいいんだけど、日本人は「抹茶」じゃなくて普段「煎茶」を飲むでしょ。日常的に飲むペットボトルのお茶が高くなるのは嫌ですね。
恵俊彰:
輸出額も増えて人気があるのに、値段が上がってしまうという。
日本茶ナビゲーター 酒井智子氏:
今がチャンスなのになかなか難しいですね。
急激なブームで・・・お茶農家は“複雑な心境”
『ひるおび』は、お茶で有名な埼玉県狭山市で15代続くお茶農家「奥富園」を取材しました。
狭山茶生産農家「奥富園」 奥富雅浩さん
「抹茶ブームは、日本を代表する抹茶が世界に受け入れられて非常に嬉しいですし、お茶を作っている一生産者としてもありがたいと思うんですけど、やっぱりちょっと急激にブームになりすぎました。」
「奥富園」では2024年12月頃から、アメリカ・ドイツ・フィリピン・タイなど海外からの新規注文の問い合わせが増え始めたといいます。
そこで、それまで2:1で生産していた「煎茶」と「てん茶(抹茶)」を1:1にして対応。抹茶の売れ行きは好調で、2024年と比べ2025年は2倍となりました。
しかし現在、新規の注文は全て断っている状況だといいます。
茶生産農家「奥富園」 奥富雅浩さん
「埼玉県は抹茶の工場自体がまだ一軒しかないのでそもそも抹茶を作る量の上限が決まっているような状況なんですね。
潤沢に受けられる状況だったらその分売り上げも上がるのに、ちょっと残念だなっていう。歯がゆいですね。」
日本茶ナビゲーター 酒井智子氏:
本当にいいものをたくさんの人に飲んでほしいというのは皆さん同じ気持ちで作ってらっしゃると思うんですけど、あまりに急な変化すぎて皆さん戸惑いが隠せないような状況ですね。
高値は続く?日本茶の今後はー
酒井氏は、国内のお茶の品薄と高騰は当分続きそうだと見ています。
また、今後“抹茶ブーム”で生産者の収入が増えることで、お茶農家の後継者不足の問題が緩和されることを期待しているそうです。
弁護士 八代英輝:
お茶の木を植えて収穫できるようになるまで5年ぐらいかかるんですよ。その間の収入をどうするかという問題もありますし、急傾斜地が多くてなかなか機械化が難しいという問題もあります。でもなんとかバックアップしてほしいなと思いますね。
コメンテーター 長田麻衣:
「抹茶」は文化も含めて楽しまれていると思うんですが、「煎茶」の方はコーヒーみたいな感覚で日常的に飲むという訴求もできそうだなと思います。
両方合わせて“日本のお茶のブランド化”を考えるタイミングなのかなと思いますね。
(ひるおび 2026年6月8日放送より)
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<プロフィール>
酒井知子氏
日本茶シニア・インストラクター
茶道裏千家講師
大阪・関西万博「LOCAL JAPAN展」アドバイザー
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