国内
2026-06-27 12:00
7月18日開催の『RIZIN LANDMARK 15 in HIROSHIMA』(広島グリーンアリーナ)で、バンタム級王者ダニー・サバテロのベルトに挑戦する鹿志村仁之介。RIZINで2連勝、さらに5月にはDEEPバンタム級暫定王者となり、RIZIN初開催となる広島大会のビッグマッチに抜てきされた。
【インタビュー動画】鹿志村仁之介、太田忍へ痛烈アンサー「俺がチャンピオンになったら完全にあいつが格下」
バックボーンの柔術を武器に、圧倒的な極めの強さで勝ち上がってきた鹿志村。この勢いのまま一気にベルト奪取に成功するのか。それとも、レスリングエリートのサバテロに実力差を見せつけられるのか。ORICON NEWSは、今年下半期の格闘技界で最重要人物となる可能性を秘めた24歳にインタビュー。タイトルマッチのチャンスに驚きながらも、強豪との対戦を心待ちにする素顔に迫った。
■突然の王座戦オファーに驚きも「押し込まれて倒されてからの展開には自信がある」
――サバテロ選手のベルトに挑戦というタイトルマッチのオファーをもらって、最初にどう感じましたか?
【鹿志村】最初はもうビビったっすね、全くその予感はなかったんで。アメリカに遊びに行ってる時に電話がかかってきて、全身に鳥肌がバーっと立って、そのあと何したか全然覚えてないです(笑)。「どうします?」って聞かれたんで、即答で「やります」って、それしか言ってないです。
――今回の舞台は広島ですが、行かれたことは?
【鹿志村】…行ったことがないですし、あんまりどこかも分かってないです。地図で「ここ」って指せない(苦笑)。ただ、RIZINではこれまで北海道と神戸で戦わせてもらって、東京じゃない土地での試合はけっこう好きかもしれないです。試合のちょっと前から前乗りして、ホテルで調整してっていうのは、集中できてやりやすい感覚はあります。東京だと日常が直前まで続くし、試合の朝も家から出発ですが、ホテルに入っていた方が「試合だな」っていう感覚が早めに来るっていうか、やりやすいです。
――王者サバテロ選手について、警戒すべき攻撃や対策はどのように考えていますか?
【鹿志村】もちろん、レスリングで真っ向勝負したら勝てないですし、自分の寝技もある程度は分かっていると思うんで。その中で、立ち技の打撃が僕の穴だと思っているはずなので、そこで勝負しに来る可能性は十分あると思っています。太田(忍)選手との試合でも、けっこう打撃で攻めるシーンがありましたし、ああいうのを見ると「打撃もできそうだな」と注意しないといけない。ただ、自分も最近はそこまで打撃ができないという感じではないので、「サバテロと打撃で勝負しろ」と言われたら、勝負できるぐらいの力はあると思っています。でも、殴り合いはしないです。ダメージは溜めたくないので(笑)。殴り合わない形で勝てればいいなと思っています。
――サバテロ選手は前回の後藤丈治選手との防衛戦が「アグレッシブさが足りない」と榊原CEOから指摘されたので、今回は「絶対フィニッシュに行く」と宣言していますが、その姿勢については?
【鹿志村】そんなに短期間でファイトスタイルは変わらないと思っています。後藤選手との試合でも、相手のスタンド能力を分かった上でテイクダウンで漬けたのは素晴らしかったですし、あれがサバテロのスタイルなので。だから、スタイルをチェンジして急にアグレッシブに来る、ということには多分ならないと思います。いつも通り打撃を振って組み付いて、テイクダウンしたら漬ける。その形で来ると見ています。
――これまでMMAでレスリングが強い選手との対戦経験はありますか?
【鹿志村】あまりないですね。(DEEPで2024年9月に対戦した)力也選手ぐらいじゃないですか。レスリングが強いMMAファイターとやった経験は多くないです。でも、押し込まれて倒されてからの展開にはすごく自信があるので、今回は恐怖心はないです。KOを量産しているハードパンチャータイプの方が怖いですね。
■“RIZIN王者”のイメージは「まだない(笑)。でも、1ヶ月後には王者になる」
――今回はケージでの試合ですが、ご自身にとってプラスですか?
【鹿志村】これはプラスだと思います。壁で練習してることの方が多いし、リングで練習する機会あんまりないんで、どっちかっていうとやっぱ壁・ケージの方が僕はやりやすいなとは思いますね。DEEPでの試合もほぼケージですし、リングでやったのは(今年3月の『RIZIN.52』の)所英男選手との一戦だけなんで。
――1ヶ月後に“RIZINチャンピオン”になるイメージはできていますか?
【鹿志村】そんなイメージはないですね。やっぱり、なってみないと分からないっす(笑)。DEEPの時もそうでしたけど、自分がベルトを巻いている姿を後から映像で見ても、しっくり来るかと言われたら別に来ないので。勝っても「ああ、RIZINチャンピオンなんだな」みたいな感じなんじゃないですかね。もちろん、RIZIN王者にはなりたいし、なるつもりです。その気持ちは固いです。1ヶ月後にベルトを巻いて、ケージの上でガッツポーズしている、そういう映像を撮られるなんてすごいと思いますよ。だからといって勝負にビビっているわけでもなくて、試合は試合なので。普段とあまり変わらず試合には挑めると思いますけど、勝った時にベルトがもらえるという実感はまだ全然ないです。今はただ「サバテロと試合するんだ」という感覚です。
――今年は3月に所戦、5月にDEEP暫定タイトルマッチの平松翔戦と、早くも次が3戦目ですが、ペースはどうですか?
【鹿志村】いい感じっすね、僕は年間4試合したい人なんで、すごいいい感じで来てるなと。今回勝って次は年末か、みたいなことは考えてます。減量は、ちょっと期間が空いちゃった方が大変になっちゃうんで、2ヶ月スパンぐらいで落として増やして、落として増やしてぐらいが楽かなと思いますね。
――DEEPのチャンピオンになって、何か変化はありましたか?
【鹿志村】マジで何も変わんないっす(笑)。ちょっと応援してもらえる人が増えて、ちょっと今までより楽な生活ができるようになったぐらいですよね、お金に焦らなくていいっていうか。今まではけっこう金もなかったし、「なんで格闘技やってんのかな」と思う時もあったんで。格闘技って一部のトップ選手が稼いでるだけで、そんなにいい暮らしできるわけじゃないから、他の仕事した方がいいよなって思う時も全然あったし。そういうのを踏まえて、ちょっと楽になった分、より格闘技が好きになるっていうか、もっと集中して頑張っていこうかなと思えてるのが、すごくいいサイクルになってきています。
――ベルトはどこに飾っていますか?
【鹿志村】テレビの横にポンって置いて、なんなら地面に置いてきれいに飾ってます(笑)。RIZINのベルトを取ったら、隣に置こうかなと思ってます。
――前回のRIZINで対戦した所英男選手とは練習仲間でしたが、試合後に交流はありましたか?
【鹿志村】まだ1回も会ってないんですよ。練習仲間から聞くと、所さんが気にしてるらしくて。もう戦うことはないから、自分としてはまた一緒に練習したいんですけど、勝った側から声をかけるのってちょっと難しいんですよ。言いづらさもあって。でも会いたいなとは思ってますし、ラブコールは送ってます。
――普段はどのような選手と練習していますか?
【鹿志村】ロータスでは矢地(祐介)選手もいるし、堀江(圭功)選手もいるけど体格差があるからあんまり組みません。ほかにも青木真也選手、北岡悟選手、あとは半年くらいは会ってないけど金原(正徳)さん。引退しても金原さんはむっちゃ強くて、普通にボコボコにされてました(苦笑)。日本のトップ選手と組ませていただいているのが僕の自信になってるので、ロータス所属じゃないけどロータス様様です。だから、日頃支えてくれてる人たちのためにベルトを獲りたいとめちゃくちゃ思います。
■太田忍へのアンサー「悪いけど、ちょっと俺が先に行かせてもらうわ」
――試合決定前には太田忍選手とのSNSの煽り合いがあり、前回の会見では太田選手がトラッシュトークも仕掛けてきました(太田は同じ広島大会でイリスベク・ティレノフと対戦)。
【鹿志村】僕は太田選手と戦うものだと思って、SNSの煽り合いにも乗っかってたんですよ。戦うなら期待値を高めて試合したいと思っていたんですけど、アイツ勝手に試合が決まってたじゃないですか。俺はそれを会見で知って、「ウソでしょ」みたいな(笑)。その瞬間から「もうコイツはいいや」って相手にしてないんですけど、会見を見てる時は正直ムカつきましたよね。試合が決まってるなら俺のことを煽らなくてもよかったんじゃないか、変な因縁をつけてやり合わなくてもいいんじゃないかって思うタイプなんで、「やめてよ」って感じでした。
――ファンも対戦を期待していました。
【鹿志村】アイツはそれを裏切ってきたんで、逆にこういう形で僕も裏切れてよかったです。「悪いけど、ちょっと俺が先に行かせてもらうわ」みたいな感じで(笑)。サバテロに勝ってチャンピオンになったら、完全にアイツの方が下なんで、そしたら「敬語使えよ」「やってやってもいいよ」ぐらいのスタンスに変われるので、それはいいっすよね。
――トラッシュトークについてはどう考えていますか?
【鹿志村】試合に向けて盛り上がるのであれば、乗っかっていくのは大事なことだと思うんですけど、自分からガンガンやっていくのはキャラ的に苦手かもしれないです。会見で「バチバチに殺しに行くんで」とか言う人もいるけど、自分は殺意なんて湧かないです。去年に対戦した安井(飛馬)選手には「お前は柔術ナメてんな」ってちょっとムカついたけど、アイツがいないと俺の試合もできないんだなと思うと、かわいく見えてくるんですよ。どっちかというと対戦相手に「ありがとう」って思ってるタイプなんで(笑)。
――平本蓮選手や皇治選手のように話すのは、難しいんですよね。
【鹿志村】本当に難しいし、すごいなと思いますよ。たぶん平本選手も喋ったらいい人なんですよ、それが伝わってくるからこそ、あんだけキャラを固めて会見でとんでもないことするじゃないですか。「すげえなこの人」って思いますし、「俺もちょっと見せ方考えないといけないな」って最近ちゃんと考えるようにはなりましたね。
――サバテロ選手も会見にリモート参加で強烈なトラッシュトークを連発していました。
【鹿志村】すごいですよね。あれはいいっすよ。だって、カメラに向かって言ってるんですよ。誰もいないのに、ありえない(笑)。ものすごい罵られてたんですけど、僕はあんまり英語が分からないんで、あまり伝わってなくて笑っちゃってました。でも、好きなんですよ。リモートであのサングラスですよ。意味分かんなくないですか(笑)。盛り上げもしてくれて、ちゃんと実力もあって、本当にいい選手ですよね。英語を勉強しようかなって。佐藤将光選手は計量で言い返してましたけど、あれも努力ですよね。自分ではできないかもしれないです。
――サバテロ選手との対面は前日計量になりそうですね。
【鹿志村】楽しみっすね。絶対に中指を立ててくるんで笑っちゃうと思いますけど、ちょっと1回突き飛ばしてやろうかな。榊原さんに「押していいっすかね」って相談してみます(笑)。早く対面したいですね。あいつは僕より6センチくらいデカいんで圧迫感はあると思うんですけど、あのアメリカンMMAファイターに俺のスタイルが通用したら、世界のどこに行っても通用するし、それを証明したい。自分はグラップラーで、MMAでも寝技ばっかりだから「MMAファイターとして認められてない」って気持ちがデビューしてからずっとあるんです。打撃をやってこなかった自分が悪いんですけど、この試合でバチッと極めたら誰も文句を言えなくなるので、その状況を作りたいです。逆に、全く通用しない可能性も全然あって、3ラウンドずっと潰されちゃう展開もあるかもしれないけど、どこかでは覆せる瞬間はあるし、じゃないとこの試合は引き受けないので、日本人として勝ちに行きます。俺のことを普段は嫌いでもいいから、7月18日だけは日本人として団結して俺を応援してほしいです。
■アメリカで感じた格闘技の熱狂 世界最高峰へのリアルな憧れと冷静な自分の分析
――このオファーを受けた時は、パートナーの平田樹選手(ONE)とアメリカにいたんですよね?
【鹿志村】はい、アメリカに到着した日に『Netflix:ロンダ・ラウジーvs.ジーナ・カラーノ』の大会をやってるって知って、熱狂を感じてみたくて会場に行ったんですけど、すさまじかったですね。みんなファイトに集中して見てるし、アメリカの人たちは喧嘩が好きなんでしょうね、本当に面白かったです。ああいうの見ると海外で試合したいなとはもちろん思うし、でもそれなりの実力をつけてから、誰も文句が言えない状態でそういう発言をしないといけないと思ってます。今の立場をわきまえてちゃんと発言するタイプなんで。UFCへの憧れはずっとあって、絶対にUFCが世界最高峰なんですけど、Netflixの大会もお祭りみたいなアメリカ人の熱狂を感じて、ネイト・ディアスはスーパースターでしたね。アイツが入ってきただけで会場がみんな喜んで、負けてもかっこいいみたいな。
――SNSで世界的ミュージシャンのスヌープ・ドッグのスタジオに行っている写真も見ましたが、どういう経緯で?
【鹿志村】樹の試合をスヌープ・ドッグの息子が見てたらしいんですよ、ONEをよく見るらしくて。昔DMも来たことがあったのを思い出して、「ちょっとお父ちゃんに会わせろってメッセージ送ってみよ」って送らせたら、「スタジオに来て」って返事が来て本当に行けたっていう、超ミラクルです(笑)。僕が「死ぬまでに見てみたい人No.1」で、制作してるところを見せてもらって、Death Row Records(デス・ロウ・レコード)も半端なかったです。樹には本当に「ありがとうね」って感謝ですね、コネを使わせてもらって(笑)。
――平田選手とは普段から格闘技の話をしますか?
【鹿志村】けっこうしますよ。でも、技術の話よりは「あの試合どうだった」とか選手のゴシップを喋り合ってケタケタ笑ってます(笑)。UFCのホワイトハウス大会も「見た?見た?」ってLINEしたり、けっこう格ヲタカップルかもしんないですね。
――鹿志村選手は、格闘技はよく見る方ですか?
【鹿志村】最近はよく見ます。2年前までは全く興味なかったんですけど(笑)。今はU-NEXTでUFCを見てます。「本物はファイトパス」とか言われるらしいけど、U-NEXTはUFCもPFLもDEEPも全部見られて、日本に住んでるならU-NEXT一択って思います。
――話題のBreakingDownも見ますか?
【鹿志村】パト君(宇佐美正パトリック)の試合だけは見ました、すごかったです。相手のところに行ってプレッシャーの中でやり合う覚悟は俺にはないです。「RIZIN代表で出てくれ」って頼まれても断ります、殴り合えないんで。1分とか俺に一番向いてないし、別の競技だなって思います。会場の設営とかもすごいし、イベントの勢いもハンパないですよね。ただ、1個だけ思うのはあれに出てる人たちのことを「選手」って呼ぶのはやめた方がいい。別に選手ではないと思うし、アスリートでもないしプロでもないし、ファイターでは絶対ないからなと思います。でも好きですよ、オーディションとか見てますし、面白いっす。俺にはあんな演技できない、目の前にいるやつに飛びかかれる勇気はないです(笑)。
◆『abc presents RIZIN LANDMARK 15 in HIROSHIMA』
7月18日/広島グリーンアリーナ
【対戦カード】
・バンタム級タイトルマッチ
(王者)ダニー・サバテロ vs. (挑戦者)鹿志村仁之介
・カルシャガ・ダウトベック vs. 萩原京平
・太田忍 vs. イリスベク・ティレノフ
・ジョニー・ケース vs. 天弥
・ヒロヤ vs. 山本アーセン
・篠塚辰樹 vs. イ・ジェフン
・パク・シウ vs. 須田萌里
・大島沙緒里 vs. イ・イェジ
・昇侍 vs. 梅野源治
・佐々木信治 vs. 林RICE陽太
・芝宏二郎 vs. 遥心
ほかオープニングファイト4試合
【会見動画】サバテロと鹿志村仁之介がバチバチ! あまりの毒舌に思わず笑顔も!?
【動画】伊澤星花が会見乱入!RENAやケイトロータス 榊原CEOにブチギレ「お前らが盛り上げろよ」
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バックボーンの柔術を武器に、圧倒的な極めの強さで勝ち上がってきた鹿志村。この勢いのまま一気にベルト奪取に成功するのか。それとも、レスリングエリートのサバテロに実力差を見せつけられるのか。ORICON NEWSは、今年下半期の格闘技界で最重要人物となる可能性を秘めた24歳にインタビュー。タイトルマッチのチャンスに驚きながらも、強豪との対戦を心待ちにする素顔に迫った。
■突然の王座戦オファーに驚きも「押し込まれて倒されてからの展開には自信がある」
――サバテロ選手のベルトに挑戦というタイトルマッチのオファーをもらって、最初にどう感じましたか?
【鹿志村】最初はもうビビったっすね、全くその予感はなかったんで。アメリカに遊びに行ってる時に電話がかかってきて、全身に鳥肌がバーっと立って、そのあと何したか全然覚えてないです(笑)。「どうします?」って聞かれたんで、即答で「やります」って、それしか言ってないです。
――今回の舞台は広島ですが、行かれたことは?
【鹿志村】…行ったことがないですし、あんまりどこかも分かってないです。地図で「ここ」って指せない(苦笑)。ただ、RIZINではこれまで北海道と神戸で戦わせてもらって、東京じゃない土地での試合はけっこう好きかもしれないです。試合のちょっと前から前乗りして、ホテルで調整してっていうのは、集中できてやりやすい感覚はあります。東京だと日常が直前まで続くし、試合の朝も家から出発ですが、ホテルに入っていた方が「試合だな」っていう感覚が早めに来るっていうか、やりやすいです。
――王者サバテロ選手について、警戒すべき攻撃や対策はどのように考えていますか?
【鹿志村】もちろん、レスリングで真っ向勝負したら勝てないですし、自分の寝技もある程度は分かっていると思うんで。その中で、立ち技の打撃が僕の穴だと思っているはずなので、そこで勝負しに来る可能性は十分あると思っています。太田(忍)選手との試合でも、けっこう打撃で攻めるシーンがありましたし、ああいうのを見ると「打撃もできそうだな」と注意しないといけない。ただ、自分も最近はそこまで打撃ができないという感じではないので、「サバテロと打撃で勝負しろ」と言われたら、勝負できるぐらいの力はあると思っています。でも、殴り合いはしないです。ダメージは溜めたくないので(笑)。殴り合わない形で勝てればいいなと思っています。
――サバテロ選手は前回の後藤丈治選手との防衛戦が「アグレッシブさが足りない」と榊原CEOから指摘されたので、今回は「絶対フィニッシュに行く」と宣言していますが、その姿勢については?
【鹿志村】そんなに短期間でファイトスタイルは変わらないと思っています。後藤選手との試合でも、相手のスタンド能力を分かった上でテイクダウンで漬けたのは素晴らしかったですし、あれがサバテロのスタイルなので。だから、スタイルをチェンジして急にアグレッシブに来る、ということには多分ならないと思います。いつも通り打撃を振って組み付いて、テイクダウンしたら漬ける。その形で来ると見ています。
――これまでMMAでレスリングが強い選手との対戦経験はありますか?
【鹿志村】あまりないですね。(DEEPで2024年9月に対戦した)力也選手ぐらいじゃないですか。レスリングが強いMMAファイターとやった経験は多くないです。でも、押し込まれて倒されてからの展開にはすごく自信があるので、今回は恐怖心はないです。KOを量産しているハードパンチャータイプの方が怖いですね。
■“RIZIN王者”のイメージは「まだない(笑)。でも、1ヶ月後には王者になる」
――今回はケージでの試合ですが、ご自身にとってプラスですか?
【鹿志村】これはプラスだと思います。壁で練習してることの方が多いし、リングで練習する機会あんまりないんで、どっちかっていうとやっぱ壁・ケージの方が僕はやりやすいなとは思いますね。DEEPでの試合もほぼケージですし、リングでやったのは(今年3月の『RIZIN.52』の)所英男選手との一戦だけなんで。
――1ヶ月後に“RIZINチャンピオン”になるイメージはできていますか?
【鹿志村】そんなイメージはないですね。やっぱり、なってみないと分からないっす(笑)。DEEPの時もそうでしたけど、自分がベルトを巻いている姿を後から映像で見ても、しっくり来るかと言われたら別に来ないので。勝っても「ああ、RIZINチャンピオンなんだな」みたいな感じなんじゃないですかね。もちろん、RIZIN王者にはなりたいし、なるつもりです。その気持ちは固いです。1ヶ月後にベルトを巻いて、ケージの上でガッツポーズしている、そういう映像を撮られるなんてすごいと思いますよ。だからといって勝負にビビっているわけでもなくて、試合は試合なので。普段とあまり変わらず試合には挑めると思いますけど、勝った時にベルトがもらえるという実感はまだ全然ないです。今はただ「サバテロと試合するんだ」という感覚です。
――今年は3月に所戦、5月にDEEP暫定タイトルマッチの平松翔戦と、早くも次が3戦目ですが、ペースはどうですか?
【鹿志村】いい感じっすね、僕は年間4試合したい人なんで、すごいいい感じで来てるなと。今回勝って次は年末か、みたいなことは考えてます。減量は、ちょっと期間が空いちゃった方が大変になっちゃうんで、2ヶ月スパンぐらいで落として増やして、落として増やしてぐらいが楽かなと思いますね。
――DEEPのチャンピオンになって、何か変化はありましたか?
【鹿志村】マジで何も変わんないっす(笑)。ちょっと応援してもらえる人が増えて、ちょっと今までより楽な生活ができるようになったぐらいですよね、お金に焦らなくていいっていうか。今まではけっこう金もなかったし、「なんで格闘技やってんのかな」と思う時もあったんで。格闘技って一部のトップ選手が稼いでるだけで、そんなにいい暮らしできるわけじゃないから、他の仕事した方がいいよなって思う時も全然あったし。そういうのを踏まえて、ちょっと楽になった分、より格闘技が好きになるっていうか、もっと集中して頑張っていこうかなと思えてるのが、すごくいいサイクルになってきています。
――ベルトはどこに飾っていますか?
【鹿志村】テレビの横にポンって置いて、なんなら地面に置いてきれいに飾ってます(笑)。RIZINのベルトを取ったら、隣に置こうかなと思ってます。
――前回のRIZINで対戦した所英男選手とは練習仲間でしたが、試合後に交流はありましたか?
【鹿志村】まだ1回も会ってないんですよ。練習仲間から聞くと、所さんが気にしてるらしくて。もう戦うことはないから、自分としてはまた一緒に練習したいんですけど、勝った側から声をかけるのってちょっと難しいんですよ。言いづらさもあって。でも会いたいなとは思ってますし、ラブコールは送ってます。
――普段はどのような選手と練習していますか?
【鹿志村】ロータスでは矢地(祐介)選手もいるし、堀江(圭功)選手もいるけど体格差があるからあんまり組みません。ほかにも青木真也選手、北岡悟選手、あとは半年くらいは会ってないけど金原(正徳)さん。引退しても金原さんはむっちゃ強くて、普通にボコボコにされてました(苦笑)。日本のトップ選手と組ませていただいているのが僕の自信になってるので、ロータス所属じゃないけどロータス様様です。だから、日頃支えてくれてる人たちのためにベルトを獲りたいとめちゃくちゃ思います。
■太田忍へのアンサー「悪いけど、ちょっと俺が先に行かせてもらうわ」
――試合決定前には太田忍選手とのSNSの煽り合いがあり、前回の会見では太田選手がトラッシュトークも仕掛けてきました(太田は同じ広島大会でイリスベク・ティレノフと対戦)。
【鹿志村】僕は太田選手と戦うものだと思って、SNSの煽り合いにも乗っかってたんですよ。戦うなら期待値を高めて試合したいと思っていたんですけど、アイツ勝手に試合が決まってたじゃないですか。俺はそれを会見で知って、「ウソでしょ」みたいな(笑)。その瞬間から「もうコイツはいいや」って相手にしてないんですけど、会見を見てる時は正直ムカつきましたよね。試合が決まってるなら俺のことを煽らなくてもよかったんじゃないか、変な因縁をつけてやり合わなくてもいいんじゃないかって思うタイプなんで、「やめてよ」って感じでした。
――ファンも対戦を期待していました。
【鹿志村】アイツはそれを裏切ってきたんで、逆にこういう形で僕も裏切れてよかったです。「悪いけど、ちょっと俺が先に行かせてもらうわ」みたいな感じで(笑)。サバテロに勝ってチャンピオンになったら、完全にアイツの方が下なんで、そしたら「敬語使えよ」「やってやってもいいよ」ぐらいのスタンスに変われるので、それはいいっすよね。
――トラッシュトークについてはどう考えていますか?
【鹿志村】試合に向けて盛り上がるのであれば、乗っかっていくのは大事なことだと思うんですけど、自分からガンガンやっていくのはキャラ的に苦手かもしれないです。会見で「バチバチに殺しに行くんで」とか言う人もいるけど、自分は殺意なんて湧かないです。去年に対戦した安井(飛馬)選手には「お前は柔術ナメてんな」ってちょっとムカついたけど、アイツがいないと俺の試合もできないんだなと思うと、かわいく見えてくるんですよ。どっちかというと対戦相手に「ありがとう」って思ってるタイプなんで(笑)。
――平本蓮選手や皇治選手のように話すのは、難しいんですよね。
【鹿志村】本当に難しいし、すごいなと思いますよ。たぶん平本選手も喋ったらいい人なんですよ、それが伝わってくるからこそ、あんだけキャラを固めて会見でとんでもないことするじゃないですか。「すげえなこの人」って思いますし、「俺もちょっと見せ方考えないといけないな」って最近ちゃんと考えるようにはなりましたね。
――サバテロ選手も会見にリモート参加で強烈なトラッシュトークを連発していました。
【鹿志村】すごいですよね。あれはいいっすよ。だって、カメラに向かって言ってるんですよ。誰もいないのに、ありえない(笑)。ものすごい罵られてたんですけど、僕はあんまり英語が分からないんで、あまり伝わってなくて笑っちゃってました。でも、好きなんですよ。リモートであのサングラスですよ。意味分かんなくないですか(笑)。盛り上げもしてくれて、ちゃんと実力もあって、本当にいい選手ですよね。英語を勉強しようかなって。佐藤将光選手は計量で言い返してましたけど、あれも努力ですよね。自分ではできないかもしれないです。
――サバテロ選手との対面は前日計量になりそうですね。
【鹿志村】楽しみっすね。絶対に中指を立ててくるんで笑っちゃうと思いますけど、ちょっと1回突き飛ばしてやろうかな。榊原さんに「押していいっすかね」って相談してみます(笑)。早く対面したいですね。あいつは僕より6センチくらいデカいんで圧迫感はあると思うんですけど、あのアメリカンMMAファイターに俺のスタイルが通用したら、世界のどこに行っても通用するし、それを証明したい。自分はグラップラーで、MMAでも寝技ばっかりだから「MMAファイターとして認められてない」って気持ちがデビューしてからずっとあるんです。打撃をやってこなかった自分が悪いんですけど、この試合でバチッと極めたら誰も文句を言えなくなるので、その状況を作りたいです。逆に、全く通用しない可能性も全然あって、3ラウンドずっと潰されちゃう展開もあるかもしれないけど、どこかでは覆せる瞬間はあるし、じゃないとこの試合は引き受けないので、日本人として勝ちに行きます。俺のことを普段は嫌いでもいいから、7月18日だけは日本人として団結して俺を応援してほしいです。
■アメリカで感じた格闘技の熱狂 世界最高峰へのリアルな憧れと冷静な自分の分析
――このオファーを受けた時は、パートナーの平田樹選手(ONE)とアメリカにいたんですよね?
【鹿志村】はい、アメリカに到着した日に『Netflix:ロンダ・ラウジーvs.ジーナ・カラーノ』の大会をやってるって知って、熱狂を感じてみたくて会場に行ったんですけど、すさまじかったですね。みんなファイトに集中して見てるし、アメリカの人たちは喧嘩が好きなんでしょうね、本当に面白かったです。ああいうの見ると海外で試合したいなとはもちろん思うし、でもそれなりの実力をつけてから、誰も文句が言えない状態でそういう発言をしないといけないと思ってます。今の立場をわきまえてちゃんと発言するタイプなんで。UFCへの憧れはずっとあって、絶対にUFCが世界最高峰なんですけど、Netflixの大会もお祭りみたいなアメリカ人の熱狂を感じて、ネイト・ディアスはスーパースターでしたね。アイツが入ってきただけで会場がみんな喜んで、負けてもかっこいいみたいな。
――SNSで世界的ミュージシャンのスヌープ・ドッグのスタジオに行っている写真も見ましたが、どういう経緯で?
【鹿志村】樹の試合をスヌープ・ドッグの息子が見てたらしいんですよ、ONEをよく見るらしくて。昔DMも来たことがあったのを思い出して、「ちょっとお父ちゃんに会わせろってメッセージ送ってみよ」って送らせたら、「スタジオに来て」って返事が来て本当に行けたっていう、超ミラクルです(笑)。僕が「死ぬまでに見てみたい人No.1」で、制作してるところを見せてもらって、Death Row Records(デス・ロウ・レコード)も半端なかったです。樹には本当に「ありがとうね」って感謝ですね、コネを使わせてもらって(笑)。
――平田選手とは普段から格闘技の話をしますか?
【鹿志村】けっこうしますよ。でも、技術の話よりは「あの試合どうだった」とか選手のゴシップを喋り合ってケタケタ笑ってます(笑)。UFCのホワイトハウス大会も「見た?見た?」ってLINEしたり、けっこう格ヲタカップルかもしんないですね。
――鹿志村選手は、格闘技はよく見る方ですか?
【鹿志村】最近はよく見ます。2年前までは全く興味なかったんですけど(笑)。今はU-NEXTでUFCを見てます。「本物はファイトパス」とか言われるらしいけど、U-NEXTはUFCもPFLもDEEPも全部見られて、日本に住んでるならU-NEXT一択って思います。
――話題のBreakingDownも見ますか?
【鹿志村】パト君(宇佐美正パトリック)の試合だけは見ました、すごかったです。相手のところに行ってプレッシャーの中でやり合う覚悟は俺にはないです。「RIZIN代表で出てくれ」って頼まれても断ります、殴り合えないんで。1分とか俺に一番向いてないし、別の競技だなって思います。会場の設営とかもすごいし、イベントの勢いもハンパないですよね。ただ、1個だけ思うのはあれに出てる人たちのことを「選手」って呼ぶのはやめた方がいい。別に選手ではないと思うし、アスリートでもないしプロでもないし、ファイターでは絶対ないからなと思います。でも好きですよ、オーディションとか見てますし、面白いっす。俺にはあんな演技できない、目の前にいるやつに飛びかかれる勇気はないです(笑)。
◆『abc presents RIZIN LANDMARK 15 in HIROSHIMA』
7月18日/広島グリーンアリーナ
【対戦カード】
・バンタム級タイトルマッチ
(王者)ダニー・サバテロ vs. (挑戦者)鹿志村仁之介
・カルシャガ・ダウトベック vs. 萩原京平
・太田忍 vs. イリスベク・ティレノフ
・ジョニー・ケース vs. 天弥
・ヒロヤ vs. 山本アーセン
・篠塚辰樹 vs. イ・ジェフン
・パク・シウ vs. 須田萌里
・大島沙緒里 vs. イ・イェジ
・昇侍 vs. 梅野源治
・佐々木信治 vs. 林RICE陽太
・芝宏二郎 vs. 遥心
ほかオープニングファイト4試合
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