
熱中症による救急搬送の状況(7月13日~19日)を発生場所別で見ると、搬送人数1万857人のうち、「住居」が4523人と、約4割を占めています。
また、厚労省のデータによると、住宅内における熱中症の発生場所で一番多いのが「居間・リビング」。次いで「寝室・就寝中」「トイレ」「玄関」「台所」「浴室・脱衣所」の順となっています。
在宅医療で熱中症の診察などを行っている田代和馬医師に、自宅での熱中症を防ぐポイントを教わります。
【写真を見る】サーモカメラで検証!室内に潜む「熱中症リスク」トイレや冷たいシャワーも要注意【ひるおび】
「時間差熱中症」に注意
日中に汗をかいて体の水分が排出されていると、帰宅後エアコンをつけリラックスして過ごしても、夜から朝にかけて熱中症を発症する「時間差熱中症」になる可能性があります。
予防するには、家での過ごし方が重要です。
ひなた在宅クリニック山王 田代和馬院長:
我々在宅医療の出動要請も、日中の暑い時間ももちろんあるんですけれども、午前中の早い時間が意外と多いです。やはり家での過ごし方を間違えてしまうと、夜中にかけて体調を崩してしまいます。
番組で行ったアンケート(回答数:1万814人)では、家の中で熱中症の経験がある人は、18.6%という結果となりました。
「庭で草刈りをした後台所で料理を始めたところ突然膝の力が抜けて倒れた」(60代女性)
「体育館でのスポーツの後、家に帰ってシャワーを浴びてビールを飲み始めたら突然倒れて嘔吐した」(60代男性)
「寝不足で食欲もなく朝食を抜いて過ごしていたら急に体調が悪くなった」(60代男性)
「就寝中に母が寒くてエアコンを切ったら、子どもが夜中に嘔吐、発熱の症状」(50代女性)
などの声が寄せられました。
帰宅後の生活をサーモカメラで検証
30代の会社員に協力してもらい、仕事が終わって自宅に帰ってから寝るまでの熱中症のリスクを検証しました。
彼女は普段、10時~18時までオフィスでデスクワークをして、出勤時と退勤時に20分程徒歩で移動しています。
取材した日は、午後8時の時点で気温が31.4℃、湿度75%でした。
≪リスク1:帰宅直後の室内環境≫
午後8時、エアコンを切っていた室内の温度は33℃、湿度76%と高温多湿の危険な状態。サーモカメラで見てみると、部屋全体が高温を示すオレンジや黄色になっていました。
まず換気のため窓を開け、その後窓を閉めてエアコンを24℃に設定し、30分間エアコンをつけると・・・
30分後には室温28℃、湿度は55%に。しかし天井付近は35℃前後を示す黄色の部分が残り、部屋の温度にムラがあることがわかります。
ここで役立つのが扇風機やサーキュレーターです。空気を攪拌させることで温度のムラを解消することができます。
田代和馬院長:
空調の効率も上がりますし、冷房の冷気が届きにくいところに冷気を送り込む、非常に効率がいいですよね。
やはり日本の建物って特に熱を持ちやすくて、上の方にとても熱い空気が本当にしつこく留まっています。
恵俊彰:
帰ってくる時間が分かっていれば、例えばタイマーセットをしてちょっと環境を整えるというのも大事なのかもしれませんね。
「冷たいシャワー」で熱中症リスク!?
≪リスク2:入浴時≫
入浴の際の注意点は、「水分補給」と「湯の温度」です。
日中の活動で体内の水分を失っている中で、さらに入浴で汗をかき水分を失うことでリスクが高まります。
入浴の前後に、それぞれコップ1杯程度の水分補給が大事です。
取材した女性は、特に暑かった日は冷たいシャワーで汗を流して終わりということもあるそうですが、田代医師によるとこの行動は熱中症のリスクが高まるそうです。
田代和馬院長:
一気に冷たい水を浴びてしまうと、体表面の血管が収縮してしまい、血液の流れが悪くなって熱の放散を落としてしまいます。
つまり深部体温が下がりきらず、むしろ上がってしまうリスクがあります。
そしてもう一つ、一時的に冷たい水を浴びて寒く感じた後、暑い脱衣所に出ると気温差で体調を崩しやすくなります。
シャワーの場合、38℃前後のぬるま湯で足元からなじませ、手早く汗を流しましょう。
湯船に浸かる場合は、ぬるめのお湯に10分前後浸かって、じわっと汗をかく程度にするのがいいそうです。
調理中のキッチンをサーモカメラで見ると・・・
≪リスク3:キッチンの過酷な環境≫
シャワーを浴びた後、女性は夕食の準備でキッチンへ。
パスタを茹でる様子をサーモカメラで撮ってみると、コンロに火をつけたとたん40℃を超え、服の前側から顔のあたりまで高温になっているのが分かります。
キッチンはコンロの熱や湯気で高温多湿になりやすいので、10分~30分ぐらいで熱中症の十分なリスクになります。
対策としては、換気扇は「強」に設定し、サーキュレーターなどでリビングの冷えた空気をキッチンの方に循環させるのが有効です。
実際、サーキュレーターを稼働させサーモカメラで見ると、顔周りは33℃程度になり、服も30℃以下を表す紫色になりました。
≪リスク4:晩酌≫
夕食後の晩酌にも、熱中症のリスクが伴います。
アルコールの利尿作用で多くの水分が排出され、また飲みすぎることで体温調節機能が麻痺し、体内の熱が抜けにくくなります。
田代医師によると、例えばお酒を1リットル飲むと、体内から約1.1リットルの水分が排出されます。
恵俊彰:
飲んでいるのに出ていくんですか?
田代和馬院長:
あくまでこの数字は目安ですけれども、大切なことは飲んだ量、場合によってはそれ以上の水を失ってしまうので、アルコールで水分補給はできないということですよね。
≪就寝時の注意点≫
睡眠時に水分は200~500mlほど自然に体外へ排出されます。
寝る前と起床後にコップ一杯ずつ水を飲むと効果的です。
着る服は綿や麻など吸水性・通気性のいい素材で、ゆったりサイズ、腹部は冷やさないようにタオルケットなどをかけるといいそうです。
熱中症リスクスポット「トイレ」
熱中症による吐き気などでトイレに長時間いることで、熱中症をさらに悪化させるリスクがあります。
トイレの個室は温度や湿度が高くなっている場合があります。
調子が悪い時にトイレに行く際は▼スマホを持ち込む▼家族に伝える▼鍵をかけずにすぐ開けられる状態にするなどの対策をとるようにしてください。
田代和馬院長:
トイレは高温多湿の代表的な場所です。脱水状態で排尿やいきみをしてしまうと、血圧の変動が激しく、体調を急激に崩しやすくなります。
そうした時にSOSをあげられないと、助けられない、気づかないということがありますので、気をつけていただきたいです。
(ひるおび 2026年7月23日放送より)
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<プロフィール>
田代和馬氏
ひなた在宅クリニック山王院長
在宅医療で熱中症の診察などを行う
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