
8月20日の夜、神戸市にある六甲山の山道で、トラックを牽引していたレッカー車が猛スピードで電柱などに衝突する事故が発生しました。運転手は「ブレーキが利かなくなった」と話しています。
【写真を見る】猛暑の影響も?「ブレーキ利かなくなった」フェード現象に注意…“万が一”の対処法は【THE TIME,】
「ブレーキ過熱注意 止まって冷やせ」事故現場の急な下り坂
事故現場は、神戸市の六甲山にある山道。市街地まで急カーブが続く、長い下り坂です。道路脇の看板には「ブレーキ過熱注意 止まって冷やせ」との文字もあり、運転には注意が必要な場所であることがうかがえます。
視聴者から提供されたドライブレコーダーの映像には、レッカー車が猛スピードで電柱などに衝突する瞬間が捉えられていました。
レッカー車の運転手は「ブレーキが利かなくなった」と証言。同乗していた人も「下っている途中からブレーキがおかしくなり、警告音が鳴り始めノンストップで下りてきた」と、当時の緊迫した状況を語りました。
なぜ、ブレーキは利かなくなったのでしょうか?
猛暑の影響も?ブレーキが利かなくなる“フェード現象”とは
事故現場周辺の道をよく知るタクシー運転手は、この道に潜む危険性を指摘します。
「長い坂道で急勾配でカーブも多い。フェード現象にならないように注意して運転している」。
この“フェード現象”とは、一体どのような現象なのでしょうか。交通事故鑑定人の中島博史氏によると、
「下り坂でブレーキをかけっぱなしで進んでいると、ブレーキの摩擦材が過熱してしまい、ある温度を超えると摩擦力が低下する。ブレーキを踏んでも減速できないという状態になる」。
フェード現象とは、下り坂などでフットブレーキを踏み続けることで部品が熱を持ち、ブレーキが利きにくくなることです。
さらに中島氏は、近年の猛暑もブレーキに影響を与えたのではないかと指摘します。
「今の時期は路面の温度が上がっているため、ブレーキに熱がこもってフェード現象が生じやすくなる。」
フェード現象を防ぐための運転方法
では、急な下り坂でフェード現象を起こさないためには、どのような運転をすればいいのでしょうか。タクシー運転手に、事故現場周辺の坂道を実際に走ってもらいました。
「(下り坂で)スピードを出したくないので、シフトレバーをドライブからブレーキにして、エンジンブレーキで速度を落としながら走行している」。
さらに、フットブレーキの使い方にもコツがあると言います。
「ブレーキを踏む回数を減らすことにより、ブレーキが過熱して利きにくくならないように速度を調整している」。
フットブレーキを踏む時間や回数を減らし、ブレーキ部品を「冷やす時間」を作ることが大切だと言います。
万が一ブレーキが利かなくなったら…
万が一、ブレーキが利かなくなった場合はどうすれば良いのでしょうか。中島氏は、段階的な対処法を挙げます。
「低いギア(エンジンブレーキ)に落として、だんだんスピードを下げていって、最終的にはサイドブレーキで止める」。
それでもスピードが落ちない場合は、最終手段を取る覚悟が必要になるといいます。
「ガードレールや壁にこすりつけてでも速度を落とす。車を壊してでも止めるというような覚悟が必要」。
長い下り坂に潜む「フェード現象」は、大きな事故につながる大変危険な現象です。エンジンブレーキを効果的に使い、フットブレーキを酷使しない運転を心がけることが、事故を防ぐための重要な鍵となります。そして、万が一の事態に備え、冷静に対処する方法を知っておくことが自らの命を守ることにつながります。
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