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“革命的人事”第2次高市改造内閣発足の舞台裏 人事アンケート「白紙回答」の林芳正氏は閣外へ… 要職には“主流派” 残る派閥の影

国内
2026-09-21 06:00

9月17日夕方、第2次高市改造内閣が発足した。さかのぼること2日前、政権幹部の1人は「今回の人事は革命的なものになる」と予言してみせたが、果たして何が革命的だったのか。そして今回の人事の焦点だった林芳正前総務大臣が閣外に去ることになったのはなぜなのか。こうした今回の人事の一部始終を深掘りする。


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高市総理「実行力重視」の人選 党内からは 「専門家を充てた印象」「手堅い布陣」との声

改造内閣が発足した夜、高市総理は今回の人事の基本方針について、こう明らかにした。


高市総理(17日の会見で)
本人の専門知識・課題意識・やる気を吟味し、この人物なら公約の実現に向けた政策を追加的に提案しつつ、前に進めていただけるという方。実行力重視の人選といたしました


自民党の閣僚経験者の1人は、内閣の布陣を見て「専門家を充てた印象だ」と語る。実際、財務・総務・法務・国交・国家公安の各閣僚は、いずれもその役所の官僚出身者。農林水産大臣として初入閣を果たした簗和生氏についても、党の農水族重鎮が「THE・農水族」とまで評するほどだ。


党内から一様に「手堅い布陣だ」との声が上がる今回の人事。ではいったい何が「革命的」だったのか?


「革命的人事」 自民党衆院議員に配布の役職希望アンケートを熟読

革命的なのは内閣の布陣ではなく、「人選のプロセス」である。


従来は派閥の領袖が推薦リストを作り、総理に閣僚候補などを伝えていた。しかし、麻生派を除く派閥が解散された今、高市総理が重視したのは、政府の役職や党・衆院の役職について第5希望まで募る形で自民党所属の衆院議員に配布した「役職希望アンケート」だ。高市総理は木原官房長官とともに、このアンケートを熟読してから人選の作業に入った。


総理周辺は、この人事手法にこそ高市総理らしさがあると解説する。


総理周辺
総理は良い意味でも悪い意味でも人を信用しない。派閥からの推薦で決めてしまうと自分で責任が取れなくなる。また、総理は国会で答弁ができるかどうかを重要視していて、自分の思いをしっかり書き込める人は国会での答弁でも対応できるという評価もしていると思う


一方で、仮にアンケートだけで決めたとなれば、“エントリーシート内閣”とのそしりも受けかねない。政権幹部の1人は、「総理はアンケートだけで決めたわけではない。党の部会でどれだけ汗をかいてきたか、どんな発言をしてきたかもよく見ていた」と明かす。


例えば、葉梨国家公安委員長。高市総理の後任として、党の治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会長を務め、この間、ストーカーや特殊詐欺、そしてトクリュウ対策などに取り組んできた。総理側近は、「党で関わった政策について今度は国会で自ら答弁することになる。最適任者だ」と話す。党の実力者の影響を排除し、アンケートという手法を最大限活用しながら、総理自らフリーハンドで専門家集団の内閣を構成する、これこそが「革命的」と語る所以だろう。


目立つ旧安倍派・旧茂木派・麻生派の要職起用 “不記載議員”も閣僚起用に

高市総理は会見で「旧派閥のバランスなどは全く考慮していない」と話すが、それでは本当に派閥の影響を受けていないのか検証したい。18人の閣僚のうち、実は、旧安倍派と旧茂木派の出身者が半数を占めている。


▼旧安倍派からは、片山さつき財務大臣・関芳弘文科大臣・簗農水大臣・古川俊治デジタル大臣の4人。
▼旧茂木派からは、山下貴司法務大臣・茂木敏充外務大臣・笹川博義環境大臣・木原稔官房長官・小野田紀美経済安保大臣の5人。
▼麻生派からは井林辰憲国交大臣の1人に留まるが、自民党役員人事では党の要である麻生副総裁と鈴木幹事長が続投となる。


一方で旧岸田派からは葉梨大臣の1人に留まり、要職には総裁選で高市総理を主に支援した3派閥の比重が大きくなる形となった。


また今回は派閥の裏金問題で、政治資金収支報告書に不記載があり処分をうけた関文部科学大臣と簗農林水産大臣の2人が起用された。政権幹部は「“罪を憎んで人を憎まず”だ。このままでは一度間違いを犯したらずっと役に就けなくなる」と起用理由を説明する。


人事に関する情報管理の徹底 「保秘ができるかどうかのリトマス試験紙」

今回、国交大臣に任命された井林大臣。認証式に向かう15時前、井林大臣自らテーブルにズボンを置いてアイロンがけをする一幕があった。


(井林大臣と秘書とのやり取り)
秘書 :本当に慌てているんだよ。やらせじゃなくて本当なんだから。
井林氏:大臣にしていただけると予想していなかったので。クリーニング掛けたまま…
秘書 :分かんなかったですもんね。だってね。
井林氏:昨日のうちに吊るしておけばよかった。


こうしたやり取りから伺えるように、任命された本人も事前に必要な準備をする時間が用意されなかったのである。「箝口令が敷かれている」「情報が漏れたら代えられる」「保秘が徹底されている」との情報が永田町で流れる中、なぜこれほどまでに情報管理が徹底されていたのか。政権幹部はこう語る。


高市政権幹部
今回選ばれた閣僚は国家情報会議のメンバーになる。保秘がちゃんとできるかどうかは、“リトマス試験紙”になるという観点もある。この程度の保秘が守れないと国益を損なう場合もあるだろう


こうした人事に関する情報管理の徹底も高市総理ならではと言えるだろう。


内閣改造の翌朝に衆参国対委員長が官邸を訪問 課題の国会対策で連携へ

改造の翌日、朝から総理官邸に動きがあった。今回の党の人事で抜擢を受けた村井英樹国会対策委員長と、磯崎仁彦参議院国会対策委員長が訪れ、木原官房長官と衆議院の尾﨑正直副長官、そして参議院の中西祐介副長官とおよそ1時間の面会をおこなった。


この場では今後の国会運営について話し合われたほか、木原官房長官が両国対委員長に臨時国会を10月5日に召集する方針を伝えた。その後、村井国対委員長は日本維新の会の遠藤国対委員長と「与党国対委員長会談」をおこなった。


特別国会を終えて課題とされている高市政権の国会対応に関して、官邸と与党国対で緊密に連携していこうという意思が滲み出る一幕だったが、早速野党側からは国会運営への懸念が示された。


立憲民主党・斎藤嘉隆参院国対委員長(18日、自身のXで)
へぇー。そうなんだ。来月5日召集なんですね。与党から野党には何の連絡もない。報道を通じて召集日を知りました。こんなことはこれまでありませんでしたので正直驚きです。召集に向けた与野党協議はどうされるのか…。与党だけで国会を運営されるつもりなら、そうされればよいと思います


臨時国会では食料品の消費税減税に関する法案や、衆議院議員の定数削減法案が焦点となる。国会対策に精通する自民党のベテラン議員は「村井氏は国対も議運もよく知っていて戦略も立てられるだろう」と評価する一方、「頭の良さだけではできないのが国対だ」とも話していて、国対委員長に抜擢された村井氏の手腕が今後問われることになる。


アンケート白紙の林氏は閣外へ... 高市総理「手堅く仕事をしていたから本当に残念」

もう1つ焦点だったのは、去年の総裁選で争ったライバルの処遇だ。結果、外務大臣の茂木氏、防衛大臣の小泉氏、そして党の政調会長の小林氏は残留し、林氏が総務大臣を離れ、閣外に去った。このライバルたちの処遇、実は高市総理自ら会見で内幕を明かしている。


高市総理(17日の会見で)
昨年、総裁選挙でご一緒して今回続投となった方につきましては、第1希望の役職であることを確認した上で人事を行いました


なぜ、3人が留任し、林氏は去ることになったのか。総理側近は林氏について、その高い政策力や答弁力を踏まえて次のように話していた。


総理側近
総理は国会で答弁ができるかどうかを非常に重視している。高市総理も総務大臣経験者として総務大臣は簡単じゃないということを分かっているし、大事にしている役所だ。基本的に留任をお願いするんじゃないかと思う


側近ですら留任を予想していた林氏。この予想を覆すことになった原因こそ、「革命的」とうたうアンケートの存在だった。人事をおこなううえでアンケートを主軸においた高市総理。しかし、政権幹部によると林氏はアンケートを出したものの、中身は「白紙」だったという。高市総理は林氏が総務大臣を希望しなかったから留任を見送ったのか否か、周辺にはこう語っている。


高市総理(周辺に対し)
アンケートが白紙だった。手堅く仕事をしてくれていたから本当に残念


この言葉を聞く限り、ホンネではその仕事ぶりから林氏を留任させたかったが、させる理由を見いだせなかったという胸の内が垣間見える。一方の林氏、改造の前に側近にこう語っていた。「留任の打診が来たら断れないよね」。この言葉から林氏も積極的に閣外に出ようとする意志はなかったものと推察される。


その林氏。改造の翌日、都内の講演で来年の総裁選についてこう語っている。


林芳正前総務大臣(18日の講演で)
あしたの(朝刊の)見出しになっちゃうといけないので、今日は『まだ先のことはわからない』という程度にさせていただいてよろしいでしょうか


留任か退任か、アンケートの上で思惑がすれ違った高市総理と林氏。高市総理も、2度目の総裁選で石破氏に敗れた後、打診された総務会長の椅子を蹴って”無役”で活動し、1年後、雪辱をはたした。これまで要職を歴任し、陽の当たるところを歩み続けてきた林氏は、来年に向けてどう動くか。果たして今回の改造が総裁選に向けた号砲になるのか、高市総理と林氏。この2人に永田町の視線が集まっている。


(TBSテレビ政治部 官邸クラブ 大室裕哉)


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