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3月1日、学生への会社説明会が、解禁となりました。
【写真を見る】「上にも下にも踏まれている」“就職氷河期”世代 「初任給30万円時代」の裏でつづく苦悩【風をよむ・サンデーモーニング】
売り手市場と言われる、2025年の就職事情。しかし、今から30年前は、正反対とも言える、光景が見られました。
“超売り手市場” 学生に高価な美容器具や音響機器を配る企業も
SNS動画
「令和X年、少子化の加速により、就活生が会社を選ぶ時代になった」
パーカー姿の若い男性が座る部屋に、スーツ姿の中年男性が、緊張した面持ちで入ってきます。
若者
「じゃあ、皆さんの会社に入るメリットを教えてください」
中年
「必ず定時でご帰宅いただけます、有給休暇取り放題です」
「出社していただかなくて大丈夫です」
SNS上で話題となった動画。作ったのは大ヒット映画「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督。
企業と学生の力関係が逆転したかのような今の時代を風刺した作品です。
実際はどうなのでしょうか…
3月1日に解禁された、大学生などを対象とした会社説明会を訪ねると...
企業担当者
「チラシだけでも、お願いします」
企業ブースには「20代で年収1000万以上」などといった、うらやましい言葉が並び、高価な美容器具や音響機器を配るなど、学生の心をつかもうと、あの手この手でアピール。
学生
「英会話スクールに通う費用も全部負担してくれる会社があったり、すごい進んでいるなと」
会場ではスーツ以外のラフな姿の学生も目立ちます。
学生
「私服でもOKと書いてあったし、自分らしさをそのまま出して」
人手不足や少子化を背景とした学生の“超売り手市場”のなか、最近目立っているのが「初任給アップ」の動きです。
火曜日、住友生命は来年入社する社員の初任給を引き上げて、33万5千円にすると発表。
他の大手企業も相次いで30万円以上に引き上げています。
20代の賃金が増加する一方で、氷河期世代では「減少」も
いまや引く手あまたの若者たち。しかし、かつて就職に際して、今とは正反対の、苦境を味わった世代がいます。
今から30年ほど前…
バブル崩壊後の90年代半ばから2000年代はじめ。日本経済が苦境にあえぐ中、就職活動を行った、いわゆる「就職氷河期世代」です。
当時の就活生(1994年)
「バブルがはじけたことが自分の将来に関わってくることなんだと」
当時は未曾有の就職難。セミナー会場では通路に座り込む学生たちも。2003年には大学生の就職率が過去最低の55.1%に。
氷河期世代の苦難はその後も続きます。
以下は2019年~2024年の年代別所定内給与の増減率(大卒・第一生命経済研究所調べ)です。
20~24歳…+10.3%
25~29歳…+9.5%
30~34歳…+5.8%
35~39歳…+4.8%
40~44歳…+0.1%
45~49歳…+2.1%
50~54歳…-3.0%
55~59歳…+4.9%
過去5年間の賃金を見ても、20代が10%ほど増加する一方で、氷河期世代の伸びは少なく、50代前半ではむしろ減少しています。
そうした世代から見れば、今の学生の状況は隔世の感。
「売り手市場」「初任給30万」の時代に、氷河期世代からは...
「報われない世代」という言葉も…拡大する“世代内格差”
47歳・男性
「単純にうらやましい。我々のときは雇ってくれる会社はどこなんだろうみたいな」
氷河期世代からは、さらにこんな声も...
49歳・女性
「上にも下にも踏まれている感があります。昔は『下がやるもんだ』と思って生きてきたのに...」
1990年代半ばから2000年代初頭、未曾有の就職難に遭遇した「氷河期世代」
彼らは今、管理職、上司として新たな問題に直面します。
49歳・男性
「コンプライアンス研修も充実してきているので、学ばせてもらいつつ、感情をそのまま出さないようにしている。確かにつらいと思いますね」
49歳・女性
「下が入ってきたら『それは私たちの仕事じゃない』みたいな。自分がやるしかない」
「働き方改革」が進む中、無理な残業はさせられず、「コンプライアンス」に気を使う氷河期世代。
こうした状況にSNS上では「報われない世代」という言葉まで。さらに氷河期世代の中でも、こんな格差が生じているといいます。
東京大学 社会科学研究所 近藤絢子 教授
「お金持ちがどんどんお金持ちになっていくというよりは、貧しいところが広がっているという意味で格差が拡大した。“世代内格差”。非正規雇用や非常に賃金が低いような会社で働いている人が増えて、それが減らないまま来てしまっている」
氷河期世代の人口はおよそ2000万人。日本の総人口の6分の1にあたります。そしてこの世代が高齢者になったとき、とりわけ深刻な影響を受けるのは、実は今、売り手市場の恩恵を受けている若者たちだと、警鐘を鳴らします。
東京大学 社会科学研究所 近藤絢子 教授
「氷河期世代が高齢期になった時に、無視できない割合の人たちが、生活ができない水準の年金しか、もらえないということが起きる。生活保護が受け皿になるわけですが、高齢者の低年金を補填するために作られた制度ではない。今の若い人たちが人口が少ないので、上の盛大の人口が多いということは、社会保険料がのしかかることになる。氷河期世代が老後になる前に考えておかねばいけない」
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