物価高の中、人気が高まっているのが家で手軽に作れる「袋麺」です。物価上昇が続く中、2025年のお給料はどれぐらい上がるのでしょうか。
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賃上げの実感は? 中小企業などは物価高騰の影響大
齋藤慎太郎キャスター:
全国の約9000世帯を対象とした総務省による家計調査で、1月に消費に使った金額は、前年同月比で0.8%増加しました。2か月連続でプラスになり、「住宅」や「教育」への支出は上昇し、「食料」への支出は減少したということです。
一方、物価の変動分を反映した「実質賃金」は、前年同月比で1.8%減少しているということです。
厚労省は「基本給は伸びているが、物価の上昇に追いついていない」としています。
では、この2025年、給料はどうなっていくのでしょうか。
まず、2024年の賃上げがどうだったのかというと、▼民間主要企業(従業員1000人以上、348社)では賃上げ率が5.33%、月の賃上げ額は1万7415円でした。
▼中小企業(従業員500人未満、754社)は賃上げ率が4.01%、月の賃上げ額は1万712円でした。
経済評論家の加谷珪一さんは「賃上げしていると実感できているのは大企業だけ。中小企業などは物価高騰の影響が大きいので、賃上げの実感がないのでは」と話します。
井上貴博キャスター:
物価高はかなり厳しい状況です。実質賃金の指数が11月と12月はプラスだったといっても、そこにはボーナスが加味されているのではないでしょうか。
経済評論家 加谷珪一さん:
そのとおりプラスは一時的なもので、基本的にはまだマイナスです。
消費に使った金額では「住宅」や「教育」が伸び、「食料」は減少というデータがありましたが、たとえば家賃や塾の月謝が上がっても支出は削れませんよね。ここが伸びた分、食べるものを安く減らしたということがよく表れています。
やはり、まだ物価にはなかなか賃金が追いついていないという状況をよく示しているのではないでしょうか。
賃上げに企業も努力、福利厚生を取り入れる企業増
齋藤キャスター:
賃上げに企業も努力をしているということで、具体例を挙げていきます。
まず、初任給の引き上げです。▼大和ハウスの2025年度の初任給は最大35万円で、これまでと比べると10万円アップしました。
また、▼東京海上日動火災保険の2026年度の初任給は最大で約41万円と、これまでより13万円多くなるということです。
他にも実質手取りを増やす“新しい賃上げ手法”があり、福利厚生を取り入れる企業が増えているといいます。
たとえば▼ダイナミックマッププラットフォームという地図の会社は、食事補助(チケットレストラン)で月3500円、語学学習補助で年6万円、レジャー割引などがあるということです。
人事部長の樋口さんは「福利厚生は企業の税負担も抑え、従業員の実質手取りも増やせるので助かっている」と話します。
こうした福利厚生を提供する会社の契約数は、2021年から比べると、2025年3月は7.3倍増えているということです(エデンレッドジャパンによる)。
一方、従業員の退職によって倒産してしまった会社が2024年は87件と、過去最多になりました(帝国データバンクによる)。
理由としては、収益力が乏しい中小企業では待遇改善ができずに人材が流出してしまっており、賃上げ難倒産が増加する可能性も高まっているそうです。
井上キャスター:
東京海上日動火災保険は最大で約41万円に初任給を引き上げるといいますが、採用人数の縮小などはないのでしょうか。
経済評論家 加谷珪一さん:
基本的には、ただ人件費が増えるということです。今は金利が上がっているため、銀行や、東京海上日動火災保険のような保険会社は収益が拡大します。
また、大和ハウスはもともとハウスメーカーですが、デベロッパーとしての事業のほうが多いです。今は不動産価格や家賃が上がっている分、業績が比較的いいというのも、初任給アップの背景にあるのではないでしょうか。
元競泳日本代表 松田丈志さん:
僕と井上キャスターは一緒の歳ですが、我々が就職活動をしていた時期から、大卒初任給といえば20万円ぐらいが相場でした。それが何十年と続いていたので、やっとこれだけ動き出したのは嬉しいニュースだと思います。
良原安美キャスター:
そういう意味では中小を目指す若者が減ってしまい、どんどんみんな大企業を目指しますよね。
経済評論家 加谷珪一さん:
これだけの賃金になってしまうと、やはり格差が広がっていきます。できるだけ早く、全部の企業に賃上げが波及するような政策も必要なのではないかと思います。
2025年の賃上げどうなる? 二極化への対処が課題か
齋藤キャスター:
では、2025年の賃上げはどうなるのでしょうか。
あす12日は、春闘の集中回答日です。▼連合の約2900の労働組合の平均(2025年の要求集計)では、賃上げ率6.09%、月額1万9244円アップを要求するそうです。
そして▼300人未満の中小企業(約1900の組合)では、賃上げ率6.57%、月額1万7667円アップを要求するそうです。
賃上げを実感できるのはいつなのかについて、加谷さんは「この数字をクリアできれば、給料が上がったという実感はでてくるだろう。しかし、一部の中小企業では実感がわかないという二極化が進むのでは」と話します。
井上キャスター:
一刻も早く中小零細企業に賃上げが波及してほしいと、切に願います。
「政府の政策で賃上げを進めてもらいたい」という話がよくありますが、給料は民間が決めるものだと考えると、政府は何がどこまでできるのでしょうか。
経済評論家 加谷珪一さん:
今、石破政権は動き始めています。不当な買いたたきや、古い商習慣で異常に低い利益を余儀なくされていた中小企業については、きちっと公正取引委員会が「大企業さん、ある程度ちゃんと払いましょう」と指導できます。
給料は最終的には民間が決めますが、適正な競争が維持できるようなところに持っていくところまでは、政府の役割としてアリではないかと思います。
井上キャスター:
中小企業の利益の部分だけが割を食うのはおかしいと、政府はストップできるということですね。
元競泳日本代表 松田丈志さん:
正しい競争が働く状態になってほしいです。
大企業がこれだけ業績がいいなか、その下に紐づく下請け企業がたくさんあるわけなので、そこにはちゃんと利益の還元をしなければいけません。企業側も、正しい交渉ができるテーブルに乗っていくことが大事なのではないかと思います。
井上キャスター:
2024年からずっと「賃上げどうなる」「賃上げ今年こそ」となっていますが、加谷さんはどういう展望でしょうか。
経済評論家 加谷珪一さん:
今は結構いい数字が出ていて、おそらく企業側も必要性はわかっていると思うので、それなりの結果が出るのではないかと思います。
あとはやはり、二極化で格差が生まれるところをどう対処していくか。そこに焦点が移っていくように感じます。
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<プロフィール>
加谷珪一さん
経済評論家
元日経BP記者 著書に「貧乏国ニッポン」
中央省庁などへのコンサルティング業務も
松田丈志さん
元競泳日本代表
五輪4大会出場 4個のメダル獲得
JOC理事 宮崎県出身 3児の父
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