セブンーイレブンが“定番おにぎり”を値上げしました。紅しゃけは税込み199円でしたが、200円超え。梅や昆布のおにぎりなども値上がりしました。コメの値段が過去最高となっていますが、実は別の要因が指摘されています。
【写真で見る】「やばいっすね」おにぎり値上げ 街の人のリアクション
おにぎり1つ200円時代 コメだけでなく“海苔”も不足
おにぎりの値上げに悲鳴が上がっています。
昆布のおにぎりはセブン-イレブンでは162円でしたが、15日から178円になりました。梅も、178円に値上げです。
同じく紅しゃけは199円から213円へ。辛子明太子も213円になり、定番メニューのおにぎりでも1つ200円を超えました。
利用客(男性)
「そんなですか?そんなに上がってるんですか?今まで200円以内で買えていたのが200円以上になっているのがちらほらある」
利用客(女性)
「え~!高い!出せないかもしれないです、そこまで。悲しいです」
利用客(男性)
「やばいっすね。ちょっと手が出せないですね」
セブン-イレブンの今回の値上げの大きな理由のひとつは、海苔の高騰です。
東京・大田区にある150年以上の歴史をもつという海苔の問屋「吉田商店」は、各地から海苔を仕入れ、年間500万枚ほどの焼き海苔を製造しています。しかし、その数はどんどん減っているといいます。
Q.フル稼働はしていない?
吉田商店 古市尚久社長
「そうですね。ここ数年ひどい不作が続いていて、日本国中でいうと海苔は圧倒的に少ない」
養殖クロノリ生産量は2001年には約100億枚でしたが海水温の上昇などが原因で、この5年は約60億枚まで減っています。
吉田商店 古市尚久社長
「少ないモノの取り合いで価格がものすごい上がっている。153年やっているけど、こんな値の変動、数年間で変わることはなかった」
2013年、海苔1枚あたりの平均単価は9円ほどでしたが2024年は、25円を超えています。
日本の食卓に並んでいたコメや海苔。これまでの当たり前や定番がなくなるところまできていると社長は話します。
吉田商店 古市尚久社長
「海水温が下がり、海苔の育成に良い温度になり海苔が立派に育つことが今後あり得るのか。この後も海苔(の値段)は上がっていくのではないか。1300年間、海苔を日本人は食してきたが、この1300年の歴史自体が今後どうなっていくのか。日本人の食卓に海苔が並ぶことが無くなるのではないかとそこまで来ている」
これまでが安すぎたのか?適正価格を見直すとき
藤森祥平キャスター:
おなじみのセブン-イレブンのおにぎり、1月は138円でした。このペースで上がってきていて、ものによっては200円を超えている。コンビニでも気軽に手を伸ばせないかもしれない。
小説家 真山仁さん:
確かに値段が上がっていることは深刻ですが、もう半年ぐらいおコメの値段が上がっていることにコメントしている印象があります。今まで日本人はそんなにコメを気にしていなかった。例えば藤森さんは3食全てコメを食べていますか。
藤森キャスター:
割と食べています。うちは4人家族で弁当も持って行きますから、大変です。1年前に比べて2倍になっていて、5キロで税込みで5000円超えてしまうんですよ。
小説家 真山仁さん:
でも多くの人はたぶん朝パンで、昼パスタ、夜もイタリアンに行ってコメを食べない。だから元々日本人にとってもコメの存在感がなかったはずなんですよ。それが値段が上がり始めて、大変だと言い始めた。
何が言いたいかというと、そもそもコメは日本で大切な食糧ですよね。今まで安くて当然で、いつでも欲しいだけ手に入るということの方にも問題はあったんじゃないか。
それが少し値段が上がったことで、急に大変で許せないという感情まで来てしまっていますが、元々の金額が、本当にコメ農家がコメを作り続けられる金額だったのか。
あるいは最初から需要と供給のカーブをちゃんとわかってコメを作っていたのか、ということを考えた人はあまりいないと思うんですよね。
小川彩佳キャスター:
適正価格がどこなのか探っていくべきところがありますが、ただ2024年に農水大臣は「新米が出回れば価格は下がる」と言っていた。それが備蓄米を放出するまでとなり、でも価格も全く下がらない。この状況は何とかして越えていかなければならない。
小説家 真山仁さん:
安くするのであればたくさん作ればいいんですよね。需要と供給のバランスですよ。
ただ問題は今までの値段が本当に適正だったのか。農家はずっと安いと言い続けてきた。「こんな値段じゃコメ作っていられない」と思って野菜を作って儲けるんだけど、農家はコメを作るのが義務だから。
例えば水でもそうだし、あるいはエネルギーでもそうで、我々は命に直結する一番大切なものを、なぜか潤沢にいつも手に入る社会制度・みんなの努力があるが、値段が上がった瞬間に、「何か誰かが悪いんじゃないの」となる。
例えば、私はおにぎりはもともと110円のイメージがあるんですよね。なんでずっと110円だったのか。本当は50円なのに110円でぼろ儲けしていたのだったら、値上げはおかしいと言えると思うんですよ。だけどギリギリでやっていたんだったら、そこは価格を上げざるを得ないという、そういう知識の中で値段の話をしたいじゃないですか。
普通の商品だと「しょうがない」と言っているのに、なぜかコメとかそういうものにだけ急に怒らないでくれないかなと。
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<プロフィール>
真山 仁さん
小説家
「ハゲタカ」「ロッキード」など
最新著書に「ロスト7」
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