
米中の過熱する関税戦争 中国への関税は145%に
今回、中国の習近平国家主席が訪問したのは、ベトナム、マレーシア、カンボジアでした。この3か国は、トランプ大統領による国別の「相互関税」で特に、高い税率を課された国々です。
【画像で見る】トランプ関税の狙いは? アメリカが迫る”踏み絵”を手作りフリップ解説
他の国などを見ていくと、例えば、EUが20%、日本が24%などとなっているのに対し、ベトナムが46%、マレーシアが24%、カンボジアが49%となっています。これは、中国製品が、こうした東南アジアの国々を経由してアメリカに入ってくるという、中国の「迂回輸出」を制限する思惑もあるとみられています。
しかし、こうした「相互関税」については、「60の国と地域」に対して発動されたにもかかわらず、トランプ大統領は、わずか13時間後に「90日間の停止」を発表。ほとんどの国に対して、一律10%の関税が残されました。
一方で唯一、「相互関税」が停止されなかったのが中国です。そして今、アメリカと中国による報復関税の応酬が極限までエスカレートしています。
関税とは、外国から輸入する商品に立ちはだかる“壁”のようなもの。4月2日、アメリカは中国から入ってくるモノに対して34%の「相互関税」を課すと発表。中国も同じ数字で対抗します。
その後も、お互いに50%、41%と関税をかけあい、関税率が125%にまで達した4月10日、アメリカ政府は中国に対し、違法薬物「フェンタニル」の流入などを理由に既に発動していた、20%の相互関税が上乗せされると明らかにしたことで、アメリカが中国に対して最終的に145%、中国がアメリカに対して125%の関税をかけるという異常な事態になっています。
友好国は米中二者択一の“踏み絵”を迫られる?
しかしこの状況は、アメリカにとってこれまで割安だった中国製品が大幅に値上がりすることを意味します。
たとえば「スマートフォン」、特にiPhoneはその多くが中国で組み立てられているため、それをアメリカで売ろうとすると145%の関税がかかり、価格が2倍以上に跳ね上がってしまうのです。
そんな懸念を受けトランプ政権は、スマホについては「相互関税の対象から外す」と発表しました。ところが、関係者が胸をなでおろしたのも束の間、この2日後にトランプ氏は、スマホについて「別の関税バケツに移されただけだ」と投稿したのです。
これは、どういう意味なのでしょうか?トランプ氏にならって、一連の関税措置を「バケツ」を使って考えてみます。すると、国ごとに課税する「相互関税」のバケツと、特定の製品ごとに課税する「分野別関税」のバケツに大きく分けられます。
そして今回トランプ政権は、スマホについて新たに「半導体」というバケツを設置すると説明。スマホは、こちらのバケツに組み入れるということのようです。
「分野別関税」としては、これまでに、鉄鋼、アルミ、自動車などのバケツが設置されていて、それぞれ25%の関税が課されていますが、半導体に対する関税率は、まだ明らかにされていません。
二転三転するトランプ関税について、明海大学の小谷哲男教授は、半導体や鉄鋼など「安全保障上不可欠な分野で“中国に負けない”、“中国に依存しない”体制をつくる狙いがある」と指摘。
こうした経済安保の分野では、最終的に日本などの友好国に対してもアメリカを取るか中国を取るか、二者択一の“踏み絵”を迫ってくると分析しています。
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