就任100日を迎えたトランプ大統領は「歴代で最も成功している」と関税政策の成果などをアピールしました。これから始まる2度目の日米関税交渉。日本はどう挑むのでしょうか?
2度目の日米交渉 日本側の切り札はあの食材か
熱狂的なトランプ支持者が集まったのはアメリカ・デトロイト郊外の集会場。
トランプ大統領の支持者
「彼が大統領で良かった。彼は全て正しい」
「100点満点中101点。満点以上だ」
トランプ大統領は就任100日に合わせ演説を行いました。
トランプ大統領
「歴代大統領の中でも最高の100日間のスタートだ」
関税政策や移⺠対策など、成果を声高にアピールしますが、会場の後方には空席も。
最新の世論調査(RealClearPoliticsより)では「不支持」が52.5%と「支持」(45.1%)を上回る状況ですが…。
トランプ大統領
「正当な調査なら支持率60%~70%はあるはずだ。我々は尊敬されている。世界中の人々が私に会いに来ている」
トランプ氏に会いに行く1人が、日本の赤沢経済再生担当大臣です。
「トランプ関税」をめぐる2度目の日米交渉に臨むため、4月30日夜(日本時間)、ワシントンへ到着しました。
就任以来、関税を振りかざしてきたトランプ氏は、4月3日には輸入車に25%の追加関税を発動し、自動車部品についても5月3日に発動するとしていましたが…
トランプ大統領
「自動車メーカーを少しの期間助けたい」
4月29日、アメリカ国内で自動車を生産するメーカーを対象に、輸入部品にかかる関税負担を軽減すると発表しました。
態度を軟化させているようにも見えますが、日本はどう臨むのか。
交渉カードとして提示するとみられているのが、大豆やトウモロコシの輸入拡大です。
輸入拡大案に日本の大豆農家「笑っちゃう」
埼玉県内で大豆をつくっている石塚さん夫婦は、大豆が交渉の材料になるか、気を揉んでいます。
大豆農家 石塚晴香さん(38)
「自動車を守って大豆は輸入を推し進めて問題ないというのも一つの意見だけど、そうすると日本の大豆自給率はゼロになっちゃう。日本の大豆はなくなっちゃうって思います」
醤油や味噌などの原料で、日本食を支える大豆。すでに海外に頼っているのが現状です。
農林水産省によりますと、日本の大豆の自給率はわずか7%で、アメリカからの輸入が全体の7割を占めています。
石塚さんは東京ドーム約4個分の畑で大豆を育てていますが…。
大豆農家 石塚晴香さん(38)
「広くやってる割には収入も少ないし、手間も非常にかかるうえに、大豆は『博打』とか言われて、天候とかその年によって(収穫の)差がすごい。何百万円単位の差が出る」
石塚さんによると、大豆はコメと比べて同じ作付面積でも収穫できるのは3分の1ほど。さらに取引価格も安く、30キロで約4000円とコメの価格の3割程度にとどまります。
このため大豆を対象とした国の交付金を受け、コメや麦も育てることで生計を立てています。
なぜ採算が取りづらい大豆を作り続けるのか。
大豆農家 石塚晴香さん(38)
「(国産大豆を)知ってほしいし、いろんな人に楽しんでほしいし。農業や地域の農地というのを継続させていきたい思いがあるから」
大豆を使ったモンブランを考案したり、きな粉づくりのワークショップを開いたりして、国産大豆の魅力を伝えています。
そんな中で聞こえてくる輸入拡大案。石塚さんは...。
大豆農家 石塚晴香さん(38)
「笑っちゃうって感じかな。結局住む世界違うよねみたいな。大豆農家はもう減る一方ってなっちゃうから、そこをどう考えるのかな」
アメリカの思惑とトランプ関税の行方
今回のトランプ関税問題、交渉のプロはどう見るのか。
元外交官の大江博さんは2013年から、TPP=環太平洋パートナーシップ協定をめぐる交渉の最前線でアメリカと向き合いました。
大江さんは、トランプ政権が今、振り上げた拳をどうやって下ろすかを摸索しているのではないかと分析します。
元TPP首席交渉官 大江博さん
「アメリカがこういうこと(関税政策)をやったおかげで、いろんな国が譲歩してきて、(関税を)やめると言える状況を作るのは、実はアメリカが一番欲していることなんじゃないかと思う」
その上で、日本側が取引できる材料として、大豆やトウモロコシの他に、「コメ」もあると指摘します。
元TPP首席交渉官 大江博さん
「今のコメ価格がこれだけ上がっていることを見ると、かえって日本が進んででもアメリカから(コメを)輸入してもいいと思う。アメリカ、トランプ大統領からしたら『日本から譲歩させてやった』と顔が立つという。ウィンウィンじゃないかと個人的には思う」
そして、今後の交渉の行方については…
元TPP首席交渉官 大江博さん
「1日でも早くまとめた方が日本にとってもいいし、このままいくと世界経済がすごく低迷してしまうことを考えると、日本が早くまとめて、他の国もそれに続いて、この異常な事態が一刻も早く正常化することが重要なのではないか」
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