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コメ価格17週連続値上がりで街からは嘆きの声 秋の新米“争奪戦”も…今後の価格、秋の新米価格を専門家4人が分析【news23】

経済
2025-05-08 17:56

「また…」という声が漏れてしまいそうです。7日、スーパーでのコメの平均価格が発表され、5キロあたり4233円(前週比+12円)と“17週連続”で値上がりとなりました。備蓄米の放出に加え、秋以降の新米の出荷に向けた田植え作業も始まる中、今後のコメの価格、新米の価格はどうなるのでしょうか?


【写真を見る】17週連続で値上がり スーパーでのコメの平均価格のグラフを見る


コメ好きにはうれしい「焼肉ライク」のごはんキャンペーン開始

汗をかきながらご飯を(口に)かき込む。また、別の人はご飯をおかわりをして、肉をバウンドさせてほおばる。(食べる)手が止まりません。


5月7日から「焼肉ライク」が始めたのは“無限ごはんキャンペーン”。
岩手県産ひとめぼれのご飯とキムチ、スープが、終日おかわりし放題となるキャンペーンです(5月28日まで)。


来店者
「今コメも高いんで、お得だなって思いますね」


家で“何杯もごはんをおかわりできる日”は、いつ来るのでしょうか。


17週連続で値上がりのコメ 政府が対策を検討し始めるも街からは「遅い」の声

備蓄米が全く届いていないスーパー(東京・葛飾区の「Superマルセイ」)では、特売品の米が5キロ4946円でした。


5月7日に発表された、全国のスーパーの平均価格は5キロ4233円(4月21日~27日)と、17週連続で値上がりとなりました。備蓄米が放出されているにも関わらず、値上がり幅も12円と大きくなっています((株)KSPーSPが提供するPOSデータに基づき農林水産省にて作成)。


コメを購入した女性
「あ~、やっぱり上がったんだ。備蓄米の恩恵を受けている印象はないですね」

80代男性
「高くなったよねぇ。なんでこんなに高くなるのかね」


こうした状況を受け、5月7日、石破総理は自民党の小野寺政調会長と会談し、コメの価格を下げることなど、物価高対策を検討するよう指示したということです。


3児の母
「今さら感がありますよね。もうちょっと早めにしてくれないと。安くならなかったら、ほんとに食べられなくなるじゃないけど、子どもたちに食べさせる量が減っちゃうなと。新米が出ることによって安くなればいいけど…」


すでに争奪戦が起きている コメ農家からも「不安」の声 

岡田農園 岡田伸幸代表
「2025年も天候がどうなるか分からないので、不安はいっぱいです」


こう話すのは、栃木県さくら市で農園を営む岡田伸幸さん。
例年より早く、先週から田植えを始めています。

その理由はやはり「コメ不足」。
2024年から続く“令和のコメ騒動”は、2023年の不作も要因の一つと見られていて、またコメ不足にならないために、2025年は…


岡田農園 岡田伸幸代表
「酒米を一部廃止して、(品種を)1本に絞り、コメ不足に対応するために品種を切り替えた」


これまで日本酒用に生産していたコメを減らし、主食用米の割合を増やしたといいます。
それでも2025年の新米は既に全て契約済み、争奪戦が起きているようで…


岡田農園 岡田伸幸代表
「茨城の業者がうちの方に買いに来て『1俵(60キロ)4万円で売ってくれ』という話もありました。残念ながらタマがないので、うちでは販売できなかった。


JAでは3割以上引き上げ?専門家たちが占う今後の“新米価格” 

より多くのコメを仕入れたいと思っているのは、大手集荷業者の「JA」も同じです。


JAが米を集める際に、農家に支払うお金を「概算金」といい、秋に出回る新米の販売価格の指標にもなります。

コメどころ「JA全農にいがた」は、その概算金の目安を明らかにしました(8月に正式決定)。
60キロあたり、2024年は1万7000円だったのが、2025年は2万3000円に。3割以上引き上げる方針だということです(5月2日時点)。


JA全農にいがた 担当者
「競合先も増え『高い金額を払うからコメをくれ』という業者も増えている。新潟県はコシヒカリなどのブランド米もあり、JAとして全国的に流通させる責任がある。生産者に対して、ある程度の金額を出さないといけないということになった」


専門家は、60キロあたり2万3000円の概算金の場合、JAの手数料を上乗せするため、卸売業者による価格が、今の2万5876円より高くなると指摘します。


キヤノングローバル戦略研究所 山下一仁研究主幹
「今の史上最高の価格とほぼ同じ水準、あるいは、上回る水準で農協は卸売業者に売る。そうすると、今の(相対取引価格)2万6000円というのが5キロあたり4200円に対応。4200円という価格は下がらない。逆に上がる可能性がある」


さらに他の3人の専門家にも、今後のコメ価格を占ってもらいました(5キロあたりの予想額)。


【3人の専門家が占う「今後のコメ価格」】
・流通経済研究所 折笠俊輔主席研究員
新米が出るまで「下がる」。予想額は(備蓄米 流通で)3000円台。
新米が出たあとも「下がる」。予想額は(不作でない場合)2000円台。

・宇都宮大学農学部 松平尚也助教
新米が出るまで「下がる」。予想額は(追加放出分含めた備蓄米流通で)3000円台後半。
新米が出たあとも「下がる」。予想額は(備蓄米の買戻しで、再び高騰の可能性)3000円台後半。

・東京大学 鈴木宣弘特任教授
新米が出るまで「変わらず」。予想額は4000円台。
新米が出たあとも「変わらず」。予想額は4000円台。


新米が出回る秋までの価格について、備蓄米が流通するなどの条件はあるものの、1人が今の価格と「変わらない」とした一方で、2人が「下がる」と推測。

また、新米が出回ったあとの価格についても、1人が今と「変わらない」としましたが、2人が「下がる」と指摘しています。


中室さん「重要なのは長期」根本的な供給力を高める政策が必要

藤森祥平キャスター:
備蓄米の放出を重ねて、政府もすでに本腰を入れているはずなのですが、なぜ値下げどころか上がっているんでしょうか?


教育経済学者 中室牧子さん:
政府による、備蓄米を使った需給調整が、あまりうまくいっていないという印象です。ひょっとすると、短期的には、この先、備蓄米が出回って、下がってくるかもしれないのですが、むしろ重要なのは、長期でどうなるのかだと思います。

農家など、生産者の高齢化が進んでいるのにも関わらず、後継者が不足していて、この先もますます供給が細っていくのではないかという懸念があります。

ここは短期的な需給調整だけではなく、もっと収益性の高い品種に切り替えていく、あるいは、株式会社など、企業の参入を容易にするといった規制緩和を行うとかをして、根本的に供給力を高めるような政策も同時にやっていかないといけないのではないかなと思います。


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<プロフィール>
中室牧子さん
教育経済学者 教育をデータで分析
著書「科学的根拠で子育て」


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