中東シリアでは、アサド政権を打倒した反体制派勢力の中心組織が全ての武装勢力を解散させる方針を発表しました。ただ、14年続いた内戦は、子どもたちの未来に大きな影を落としています。
首都ダマスカス中心部から車で15分ほどのところにあるタダモン地区。反体制派勢力などが一時拠点としたことから、政府軍が度々、激しい攻撃を加えてきた場所です。
記者
「この街を歩いていると、目に入ってくるのは全て完全に崩れた建物であったり、外壁もなくコンクリート片がむき出しになっている建物ばかりです」
廃墟と化した街で取材をしていると、子どもたちが何度も声をかけてきました。手を使ってジェスチャーをしながら、何かを案内しようとする子どももいました。
記者
「ここで取材を続けていると、子どもがこっちに来てと…。白骨化した人骨ですかね」
崩れ落ちた建物のなかに放置された人の骨は、政府軍の空爆で犠牲になった市民の多さを物語っています。
市民
「何と言えば良いのか。きのう、子どもたちが遺体で遊んでいた。(パレスチナの)ガザ地区やほかの国でもなかったことだ」
この街には、さらに忌まわしい記憶が…
記者
「この街では、政権側による虐殺によって無辜の市民が40人以上、命を落としました」
市民
「恐ろしいことが起きた。身元証明書で出身を調べたあと、殺して遺体を埋めたんだ」
2013年、情報機関員が市民40人を虐殺。のちにその映像が出回り、政権側の残虐さが露わになりました。
市民
「(Q.アサド政権が崩壊した。どう感じているか)とてもうれしい。この上ない喜びだ。やっと普通の生活を送れる」
喜びを語る大人がいる一方で、破壊や虐殺を日常的に見てきた子どもたちにとって、希望を抱くことは簡単ではありません。
子ども
「(Q.将来に何をしたいか?)外国に行きたい」
「(Q.なぜシリアから出たいのか?)シリアには何もないから」
「(Q.こうした風景を見てきたからか?)うん。ここで生きてきた」
「(Q.ここが嫌いか?)好き。それでも外国へ行きたい」
シリアでは15日、政権を倒した反体制派勢力の中心組織「シリア解放機構」のトップが全ての武装勢力を解散させる方針を発表しました。16日には、アサド前大統領のものとされる声明が亡命後、初めて発表されるなど、政治的な動きも活発になっています。
今後、シリアは子どもたちが希望を抱ける、争いのない国へと生まれ変わることができるのでしょうか。
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