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河瀬直美監督、6年ぶり劇映画『たしかにあった幻』メインビジュアル&全キャスト発表

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2025-11-08 14:57
河瀬直美監督、6年ぶり劇映画『たしかにあった幻』メインビジュアル&全キャスト発表
河瀬直美監督最新作『たしかにあった幻』(2026年2月6日公開)全キャスト
 河瀬直美監督(※瀬=旧字体)の最新作『たしかにあった幻』が、来年(2026年)2月6日よりテアトル新宿(東京)ほか全国公開される(配給:ハピネットファントム・スタジオ)。本作は、監督にとって6年ぶりの劇映画であり、オリジナル脚本としては8年ぶりとなる意欲作。2種類のメインビジュアルと全キャストが発表された。

【画像】『たしかにあった幻』メインビジュアル(2種類あり)

 “愛のかたち”と“命のつながり”をテーマに、年間約8万人とされる日本の行方不明者と、先進国の中でドナー数が最下位という日本の臓器移植医療の現実を重ねて描く人間ドラマ。

 主人公は、臓器移植普及のために来日したフランス人女性・コリー。演じるのは『ファントム・スレッド』(17年)などで注目されたルクセンブルク出身のヴィッキー・クリープス。

 コリーが屋久島で出会う青年・迅を演じるのは、寛一郎。さらに、河瀬監督作品の常連である尾野真千子、永瀬正敏をはじめ、北村一輝、小島聖、岡本玲、松尾翠、早織、平原テツ、利重剛、中嶋朋子ら出演。河瀬監督がオーディションで見出した子役の2人、中村旺士郎(久志役)、中野翠咲(瞳役)のリアリティある演技にも注目だ。

 フランスから来日したコリーは、日本における臓器移植への理解と移植手術の普及に尽力するが、西欧とは異なる死生観や倫理観の壁は厚く、医療現場の体制の改善や意識改革は困難で無力感や所在のなさにさいなまれる。また、プライベートにおいても屋久島で知り合った迅と同棲を始めるが、お互いが使う時間のズレからくるコミュニケーションの問題に心を痛めていた。そんな中、心臓疾患を抱えながら入院していた少女・瞳の病状が急変するが…。

 最愛の息子を失い、一周忌を迎えた今も罪悪感に苛まれるめぐみ(尾野)、元捜査一課の刑事で、現在は弁当屋の亮二(北村)、ドナーとなる少年の父親(永瀬)と母親(早織)、心臓病を患う久志の母親・由美(岡本)、小児病棟に入院中の瞳の母親・裕子(松尾)、人手不足が深刻な移植コーディネーターの浜野(小島)、臓器移植医療を担当する小児科医・平坂(平原)、迅の父親・英三(利重)と母親・幸江(中嶋)ら、それぞれの視点から「命のリレー」が丁寧に紡がれる。

 河瀬監督は、『あん』(15年)で差別と偏見の果てに生きる歓びを人々に与えたハンセン病患者の生き様、『光』(17年)で失われゆく視力に翻ろうされる人生の中で気づかされた新たな愛を獲得したカメラマンの人生、『朝が来る』(00年)では特別養子縁組で救われた命の尊さと二人の母の絆など、旧来の常識や血縁とは異なる、他者との関係性の中に存在する“愛”を描いてきた。本作では、“死”が終わりではないという気づきの先に、移植医療が人の命をつないでゆき、“生”の意味を問いかける。

 撮影には、『光』と『Vision』(18年)で河瀬監督の右腕をつとめた写真家の百々新と、河瀬監督のドキュメンタリー『東京2020オリンピック』(22年)の撮影統括を担当した鈴木雅也が参加。音楽は本作が初の映画音楽となりパリを拠点とするピアニスト/作曲家の中野公揮。編集は『殯の森』(07年)以降これまでの河瀬監督の劇映画全てを手がけてきたティナ・バスがパリでの編集作業全般を担当した。

 フランス・ベルギー・ルクセンブルク・日本の合作となっており、劇中で日本の移植医療関係者たちが交わすディスカッションや、心臓移植手術の現場をとらえたシーンは、実際に小児臓器移植に携わる人々の協力のもとで、役者と現役医師や看護師、また映画スタッフが入り混じってドキュメンタリーのように撮影された。

 世界遺産にも登録されている屋久島の、1000年以上生きてきた屋久杉が織りなす光景は、自身が生まれ育った奈良の森や奄美大島の海をはじめとする自然の神秘と一体のフィルモグラフィーを築いてきた河瀬監督だけに、人類の原初的な鼓動のように生命の源たる息吹を放っている。それはまるで地球の記憶のごとく、見るものの魂と響きあってこの世界に提示されてゆく。

 世界遺産・屋久島で1000年以上の時を刻む屋久杉の風景。その荘厳な自然の姿は、河瀬監督が生まれ育った奈良の森や奄美大島の海などを通じて描いてきた“自然と人のつながり”というテーマと深く響き合う。人間の原始的な鼓動や生命の源を感じさせるような力強さに満ちており、まるで地球そのものの記憶がスクリーンを通じて観客の心に語りかけてくるようだ。

(C) CINEFRANCE STUDIOS - KUMIE INC - TARANTULA - VIKTORIA PRODUCTIONS - PIO&CO - PROD LAB - MARIGNAN FILMS - 2025

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