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“泣かない調教師”が涙した瞬間――調教師・大竹正博さんが語る日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』 強き“思い”と競馬界の未来【ドラマTopics】

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2025-12-13 08:30

「レースで勝って、泣きました」――調教師・大竹正博さんが涙したのは、日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)のレースシーンでの一幕だ。馬のことを最優先に考え、GⅠ勝利後にも涙を流したことのない“職人気質”の大竹さんが、思わず涙する「人間ドラマ」がそこにはある。


【写真で見る】最終話、“運命”の有馬記念の結果は?・・・日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』場面写真


この道19年。美浦トレーニングセンター所属。獣医学部卒という経歴を持ち、2018年のブラストワンピースで有馬記念制覇(GⅠ初勝利)。通算394勝を収める(2025年12月10日時点)。『ザ・ロイヤルファミリー』では調教師監修を務め、ドラマにリアリティーを加えている。


同作は、作家・早見和真さんによる同名小説を原作に、競馬の世界で夢を追い続けた熱き人間たちと競走馬の20年にわたる壮大なストーリーを描き、12月14日に最終話<拡大SP>を迎える。


“調教師監修”・・・その譲れない「こだわり」とは?

調教師の仕事は、馬主から競走馬を預かり、レースでの勝利に導くためにトレーニングから健康管理、レース選定、出馬登録まで、厩舎運営全般を担う。大竹さんは、プロの視点から本作で“調教師”監修を担当。脚本の段階から携わり、撮影シーンにも足を運んだという。


エキストラが手に持つ物や警備員の位置取りなど、細かいところまで「すごくこだわりました(笑)」と、監修でも手腕を発揮。劇中で調教師・広中博を演じる安藤政信さんも、実際にトレーニングセンター(競走馬の調教施設)を訪れ、大竹さんの仕事に一日付いて回った。


「安藤さんに参考にしてもらっているのかな」とも話す、自身の「調教師」としての在り方については、こう明かす。


「調教師は“馬主の代理人”のような形で、馬を預けてもらって管理している立場の人間。代理人である以上、出過ぎてもいけないし、かと言って疎遠になってもいけない。人との距離感というのがとても大事になってくると思っています」


さらに、「僕が本当に大事にしているのは、人とも同じで、馬との“距離感”なんです。例えば毎日見ていると分からなくても、1か月ぶりに会うと『あれ?ちょっと痩せた?』となったりもしますよね。そういった意味で、時には距離を置くことも大事です」と、経験に裏打ちされた持論には説得力も宿る。


主役はあくまで「馬」 口取り式でも“泣かない”理由

調教師だけでなく、「“1頭の馬”に関わる人間はたくさんいます。そしてそれだけ、いろんな人間模様があるんです」と大竹さんが語るように、多くの関係者が力を合わせて勝利を目指す競馬の世界。


「馬主さんをトップにして、我々厩舎スタッフもそうですし、牧場でも、生産牧場から育成牧場まであって、トレセンの周りには外厩(競走馬の民間育成・調整施設)もあるように、すごく多くの人たちが関わっているんです。その中でも、調教師は最終的にジョッキーにバトンをつなぐ最前線に居ながら、あくまでも馬が主役なので、馬本位で考える仕事ですね」


大竹さんが、馬の勝利を見届けても“泣かない”のは、この「馬本位」に徹しているからだ。


「代理人という立場を考えると、目立って泣くのは違うかな」と自身の立ち位置を冷静に見つめつつ、「レースが終わりゴール板を過ぎた後も、調教師はやっぱり馬を見ているんですよね。帰ってきた時に足元に怪我がないかとか、そういうところまでチェックしています。なので、嬉しくても僕はなかなか涙を流して、という感じにはなれないんですよね。不思議と冷静です」と、プロとしての意識が勝るという。


ところが、『ザ・ロイヤルファミリー』を見ていると、つい涙腺が緩む。「そこはやはり、『泣かすのがうまいな』と毎回思いますよね(笑)。ただ、僕らが皆さんをグッと来させるためには、やはり“いかに良いレースをさせるか”ということなので」と、調教師としての使命も語る。


「複雑な人間模様が…」 原作・早見さんと“ぶっちゃけ”トークも

放送が始まった後にも、原作者の早見さんとは「何回か話す機会があった」と言う。


ドラマでも描かれているさまざまな“人間模様”については、「正直、もっと深いものが渦巻いている世界だということは、早見さんとも話します。海外に目を向けると、ジョッキーも年間契約で騎乗依頼をしたり、日本のように複雑に人が絡むことはないのですが…」と、海外との環境の違いも、引き合いに挙げる。


「日本の競馬は、前のレースでは同じチームだったとしも、次のレースでは敵になってしまうというジョッキーもいて、いろいろなものが複雑に絡み合っている中で勝負をしなければいけません。ドラマの中にもあった、馬が転厩(競走馬が所属していた厩舎から別の厩舎へ移動すること)する話もそうです」


もちろん、ネガティブな側面だけではないとも付け加える。


「一度離れた関係が、ひょんなことでまた一緒に戦うメンバーになって、その馬が予想に反して走って勝ったりすると、“よりを戻して”また一緒にやっていくというパターンもあります。最終的には、良い成績が出れば関係も良くなっていくという、実はすごく単純な法則にのっとって成り立っているんだと思います」


日本競馬界の未来と、「強い思い」の力

大竹さんをもってしても、「馬の状態を理解するのは難しい」と話す調教技術。


「今、日本の競馬は本当に行き着くところまで行っていて、馬のちょっとした変化も見逃さずに、どう対応していくかということが、毎日判断を求められているところです」と、そのレベルはかなりの高水準に達しているようだ。


「今では、海外の馬たちとも遜色なく対戦できるようになりました。実は世界と対等に渡り歩くには、国内のどんなスポーツよりも、競馬は世界に近いスポーツの一つだと思います」とも話す。


国内にとどまらず世界をも見据える中、「僕は“思い”が強い陣営こそ勝つべきなんじゃないかと思っているんです」と、勝利を手繰り寄せるには、チームの気概も大切なピースだと力を込める。


主人公でレーシングマネージャーの栗須栄治(演・妻夫木聡さん)や、栗須がかつて仕えた馬主の山王耕造(演・佐藤浩市さん)、その息子の中条耕一(演・目黒蓮さん)――。大竹さんも言うこの“強い思い”が、最終話のクライマックス、有馬記念でどう表現されるのか。


「今回、リアリティを追求していく“監修”という立場ですが」と前置きした上で、「いかに皆さんの感情が一つになっていけるかどうかが大事なのかなと、やっていく中で、どんどんそういう気持ちになっていきました」と続け、最終話もこれまでと同じく“リアタイ”で見届ける予定だ。


最後に「僕から一ついいですか?」と話してくれた大竹さん。「これがきっかけで、ドラマの世界でも“競馬”というのが一つのジャンルになればいいなと思うんです。“医療もの”や“刑事もの”のように、“競馬もの”というジャンルも加われたらな、と。かなりディープなものもありますが、ネタには事欠かないと思うので(笑)」と、早くも次の“競馬ドラマ”実現に期待を寄せている。


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