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2026-02-07 11:50
レスリング世界選手権で3度の優勝を果たし、2016年から23年までMMAファイターとしてRIZINで活躍した山本美憂(51)。RIZINでの引退試合から2年が経過しても、そのファイティングスピリッツは衰えることなく、次なる戦いの舞台としてボクシングを選んだ。
【インタビュー動画】山本美憂「やらなかった後悔はしたくない」KIDさんの言葉を胸に、プロボクシング初陣へ!
現地時間3月28日にオーストラリア・シドニーで開催される大会で、ミシェル・マック(オーストラリア)と対戦することが発表されると、年齢にとらわれず自分の好きなことを追求する姿勢に多くの反響が寄せられた。オリコンニュースでは、プロボクサーデビューにむけて練習に励む山本にインタビューを実施。ファイティングスピリッツの源に迫った。
■RIZIN引退後も「生活は何一つ変わっていない。ずっとトレーニングしていました」
――今回、プロボクサーデビューのニュースで再び世間を驚かせました。
【山本】自分の中ではずっとプランに入っていたことなので、「やっと」という気持ちが大きいです。もう少し早く試合をしたかったのですが、いろいろなタイミングを考えると、今が一番いいのかなと決断しました。
――ボクサーになろうと最初に考え始めたのはいつ頃ですか。
【山本】MMAの現役の頃から、ボクシングのトレーニングをしている時間が一番うれしくて、「いつかボクシングだけで試合をしてみたい」とずっと思っていたんです。MMAを引退して一区切りをつけたので、次の目標として練習していました。
――2016年にRIZINでMMAデビューし、23年大みそかにMMAファイターとして引退され、現役ファイターとして一区切りをつけました。この2年間ほどはどのように過ごしていたのでしょうか。
【山本】生活は何一つ変わっていなくて、引退してからもずっとトレーニングの日々でした。ボクシングの練習量が増えたけど、MMAでもパク・シウ選手のスパーリングパートナーは続けていたんです。
――自分が試合に出なくなっても、練習は途切れなかったんですね。
【山本】どんな形であれ練習ができるうちは、いつでも出動できるようにしておきたいという気持ちがあります。引退したけれど、あれはRIZINの中での一区切り、ファンの皆さんへの「ありがとうございました」というごあいさつのような感覚でした。
――とはいえ、引退前と引退後で生活や気持ちに変化はありませんでしたか。
【山本】コロナ禍で試合がない時期もそうでしたが、「張り合いがない」と感じたことは一度もありません。毎日やるべき練習があるので、そこに集中するだけなので。ただ、「試合はしたい、拍手を浴びたい」という思いはずっとありました。
――美憂さんほど長年格闘技を続けてきても、今でも日々の練習で新しい発見がありますか?
【山本】あります。自分はMMAキャリア10年といっても、他の選手に比べてレベルが高いわけではないので、今でも“底辺のルーキー”くらいの感覚でやっています。だから、「これ全然できてなかった」という発見が毎日のようにあるんです。
――RIZINに復帰したいと考えたことは?
【山本】もちろんありました。普通に動けて、女子選手や男子選手とスパーリングしていても問題なくやれていると、「また出たい」という気持ちは常にあります。
■「ジャングルの土の上でも構わない」山本美憂が語る、戦いを続ける理由
――今回はオーストラリアでプロボクサーデビュー戦が決まりました。ライセンス取得の経緯を教えてください。
【山本】日本では年齢の問題もあってライセンス取得は不可能なので、まずアメリカでアマのトーナメントに出ようとしましたが、MMAでプロとして試合をしているため、土壇場で「アマの大会には出られない」とNGになってしまいました。州によってルールも違うと思うのですが、知り合いのオーストラリアでMMAジムをやっている会長さんにボクシングの話をしたところ、「探してあげる」と言ってくださり、オーストラリアでプロとしてやる流れになりました。
――オーストラリアでのボクサーライセンスは、試合までに取得する形になるのですか。
【山本】そうですね、試合までに取得します。相手選手はボクシングの公式データサイトにプロフィールがあり、その「次の試合」の欄に私の名前がすでに入っているので、自分のプロフィールも、試合前か試合後には反映されると思います。
――オーストラリアで試合をするのは初めてですか。
【山本】仕事で行ったことは2回ほどありますが、試合をするのは今回が初めてです。日本とは季節が逆で今は暖かく、3月末頃は暑すぎず寒すぎずのちょうど良い気候だと思います。
――オーストラリアのライセンスで、日本のリングに立つ可能性は?
【山本】そこはまだ分かりません。ただ、日本のファンの皆さんにも私の試合を見てもらえるような形になったらうれしいです。本当は、ボクシングでは新人なので、ジャングルの土の上のリングでも構わないくらいで、「どこでもいいからいい試合がしたい」という気持ちでした。
――試合が決まってから、練習の雰囲気は変わりましたか。
【山本】相手のハイライト映像を見ながらコーチと作戦を立てるようになり、練習も一層「試合モード」になっています。
――この試合は日本からも視聴できそうでしょうか。
【山本】配信ストリーミングはあると思います。意外としっかりした大会なので、そのあたりは確認しますが、オーストラリアは時差もほとんどないですし、日本からも見られる形になるはずです。
――MMAの打撃と、拳だけのボクシング。最も違いを感じている点はどこですか。
【山本】ボクシングはタックルも蹴りも寝技もなく、拳だけの世界なので、その分「ボクシング一択」で戦わなければなりません。距離感や駆け引き、相手がどこで“餌”を撒いているかなど、すべてを拳だけの中で組み立てる難しさがありますが、そこが大好きですし、教科書のページを一つずつめくるように知識を増やしていけるのがうれしいです。
――グローブや打ち方など、純粋なボクシングへのシフトは順調ですか?
【山本】もともとMMAの頃からボクシングの試合ばかり見ていて、YouTubeでもずっとボクシングの映像を見ていました。今はそこに集中できるので、より楽しいですね。
――好きなボクサーや、参考にしている選手は。
【山本】サウスポーを勉強することが多くて、(ワシル・)ロマチェンコや、今話題になっている(ジャーボンテイ・)デービスなどのサウスポー選手の試合をよく見ています。
――いま盛り上がっている日本人ボクサーもチェックしている?
【山本】もちろん。3月15日にWBCタイトル戦が決まっている岩田翔吉選手とは、彼が小さい頃からうちジム(当時のKILLER BEE)に通っていた縁があって、一緒に映像を見て研究したりしています。畑中健人選手も練習やアドバイスでお世話になっていて、松本流星選手もサウスポーなので参考にさせていただいていますね。また、かつてRIZINで同じ大会に出た那須川天心選手もサウスポーで、彼のボクシングの試合もただ応援するだけじゃなく参考にしながら見ていて、本当に「すごいな」と思うし、活躍はうれしいですね。
■今も胸に残るKIDさんの教え「試合を断るな。引退を宣言するな」
――美憂選手のプロボクサーデビューのニュースには、「年齢は関係ない」「好きなことに挑戦する姿が素晴らしい」といったポジティブな反応が多くありました。
【山本】そうなんですね。私は年代や性別はあまり気にしていません。やりたいけどブレーキをかけている人たちが、「この人、いきなりこんな挑戦をしちゃうんだ」と私を見て、年齢とか性別とか関係なく一歩を踏み出すきっかけになってくれたら、すごくうれしいです。失敗を考えるのも大事ですが、「やらなかった後悔」の方が大きくなるなら、思い切ってやってしまった方がいいと思います。
――長年のキャリアの中で、年齢による変化や体の変化は感じますか。
【山本】怪我はありますが、それは年齢というより格闘技をやっている以上、当たり前のもの。蹴られれば折れることもありますし、怪我は付きものです。練習では「疲れるまで追い込む」のが当たり前なので、疲れないと意味がないと思っています。
――今回の挑戦について、息子のアーセン選手の反応は?
【山本】心配はしていると思いますし、いつも「気をつけて」と言われますが、それでも私が止まらないことをアーセンは分かっているので、最終的には応援してくれています。現地にもアーセン、次男のアーノン、娘のミーア、マネージャーの中野ちゃんと一緒に行く予定です。ミーアはこの前カットマンのセミナーに参加して勉強もたくさんしてくれているので、今回はセコンドに入ってもらいます。ミーアは本当は一番気が強いから格闘家に向いてるんだけど(笑)、ずっとチームをサポートしてくれて、今ではチームに必要な存在です。
――弟の“KID”徳郁さんがこの挑戦を聞いたら、なんと言ったでしょうか。
【山本】絶対止めなかったし、「やるよね」と背中を押してくれたはずです。KIDから教えられたのは、「試合を断るな」。誰かとのオファーが来たら一応考えるけれど、基本的に「NOと言うな」と言われていました。それと「引退を宣言するな」。ただRIZINの時だけは、今まで応援してくださったファンの方々に「前の試合が最後だった」と後から知られるのは申し訳ないと思い、けじめとしてあの場で区切りをつけました。でも、ファイターとして戦いからの引退は宣言しません。
■MMA初戦は黒星、今度は必ず白星を――
――10年前にMMAに転向されて、RIZINではいい時期もあればなかなか勝てない辛い時期もありました。ボクシングも順調にはいかないと覚悟していますか。
【山本】そうですね、私は別にエリートでずっと来たわけでもないし、昔から名前は出てたけど戦績はむしろヒドい部類に入るんで。でも、毎回の試合でちょっとでも自分らしさが出ればと思っていたし、MMA初戦は黒星だったけど、ボクシング初戦は絶対に勝ちます!
――RIZIN引退試合の伊澤星花戦後は、「やりきった」という充実感よりも、「練習でやってはいけないと分かっていたことを本番でやってしまった」と反省の言葉が多かったと記憶しています。その思いは今も残っていますか。
【山本】もちろん残っています。いっつも私が負ける試合って、大体「いいところまで行って、最後にやってはいけないことをやってしまう」というパターンが多くて、それを乗り越えたいというのが今の大きな課題です。練習ばっかり強い“練習チャンピオン”って言われるのも、イヤなんで(笑)。
――ボクサーとしてのキャリアで、何か大きな目標は設定していますか。
【山本】立場的に「一戦一戦」がすべてです。目の前の試合に全力で向き合い、毎日悔いのないように練習して、しっかり勝ってリングを降りる。それに尽きます。MMAのときは、子どもたちがまだ小学生で「腕や足を折ってしまったら、この子たちの生活はどうなるんだろう」と常に考えていました。他の選手のように「リングで死んでもいい」とは思えず、「母親が第一で、その上で選手をやらせてもらっている」という立場でした。そのため、タップすることに迷いがなかった部分もあります。でも、今は子どもたちも大きくなって、「私が腕を折っても大丈夫でしょ」という感覚があります。今回はどんなことがあっても勝ちに行く、完全に“自分主体”のわがままなマインドになっています。
――もしボクシングで結果を出し続けたら、ボクサーとしてRIZINの舞台に戻る可能性もありますか。
【山本】榊原さんが「面白い」と思ってくだされば、可能性はあると思います。ただ、自分からストーリーを作って売り込むつもりはなく、自分の試合内容や生き方で人を引きつけていれば、「上がってよ」と声がかかると信じていますし、その時は迷わず上がります。
――昨年の大みそか大会では、美憂選手が過去に戦った伊澤選手とRENA選手の試合も話題になりました。あの一戦はどう見ましたか。
【山本】久しぶりに女子の試合があれだけ盛り上がって、RENAちゃんがいてくれて本当に良かったと思いました。接点はないし一緒に出かけたこともないけど、ずっと同じ時代を戦ってきたので、RENAちゃんがいてくれる存在感で安心できます。
――美憂さんが新しい挑戦をすることも、RIZINで戦う女子ファイターにも刺激になっていくと思います。
【山本】そうですね、期待してくれる人がいっぱいいると思うので、まずは怪我なくリングに上がること、その上で“ボクシングらしい試合”をして、必ず勝って帰ってきます。顔が多少ボコボコになっても構いません。結果にとことんこだわって戦います!
【写真】たくさんのベルトに囲まれた井上尚弥
【画像】山本美憂のプロボクシングデビュー戦カード
【画像】KIDさんの姿も 山本ファミリー大集合カット
【動画】山本美憂、引退試合で伊澤星花に完敗 複雑な心境を明かす「スッキリはしてない」
【動画】井上尚弥、アフマダリエフ戦後のインタビュー【フル映像】
【インタビュー動画】山本美憂「やらなかった後悔はしたくない」KIDさんの言葉を胸に、プロボクシング初陣へ!
現地時間3月28日にオーストラリア・シドニーで開催される大会で、ミシェル・マック(オーストラリア)と対戦することが発表されると、年齢にとらわれず自分の好きなことを追求する姿勢に多くの反響が寄せられた。オリコンニュースでは、プロボクサーデビューにむけて練習に励む山本にインタビューを実施。ファイティングスピリッツの源に迫った。
■RIZIN引退後も「生活は何一つ変わっていない。ずっとトレーニングしていました」
――今回、プロボクサーデビューのニュースで再び世間を驚かせました。
【山本】自分の中ではずっとプランに入っていたことなので、「やっと」という気持ちが大きいです。もう少し早く試合をしたかったのですが、いろいろなタイミングを考えると、今が一番いいのかなと決断しました。
――ボクサーになろうと最初に考え始めたのはいつ頃ですか。
【山本】MMAの現役の頃から、ボクシングのトレーニングをしている時間が一番うれしくて、「いつかボクシングだけで試合をしてみたい」とずっと思っていたんです。MMAを引退して一区切りをつけたので、次の目標として練習していました。
――2016年にRIZINでMMAデビューし、23年大みそかにMMAファイターとして引退され、現役ファイターとして一区切りをつけました。この2年間ほどはどのように過ごしていたのでしょうか。
【山本】生活は何一つ変わっていなくて、引退してからもずっとトレーニングの日々でした。ボクシングの練習量が増えたけど、MMAでもパク・シウ選手のスパーリングパートナーは続けていたんです。
――自分が試合に出なくなっても、練習は途切れなかったんですね。
【山本】どんな形であれ練習ができるうちは、いつでも出動できるようにしておきたいという気持ちがあります。引退したけれど、あれはRIZINの中での一区切り、ファンの皆さんへの「ありがとうございました」というごあいさつのような感覚でした。
――とはいえ、引退前と引退後で生活や気持ちに変化はありませんでしたか。
【山本】コロナ禍で試合がない時期もそうでしたが、「張り合いがない」と感じたことは一度もありません。毎日やるべき練習があるので、そこに集中するだけなので。ただ、「試合はしたい、拍手を浴びたい」という思いはずっとありました。
――美憂さんほど長年格闘技を続けてきても、今でも日々の練習で新しい発見がありますか?
【山本】あります。自分はMMAキャリア10年といっても、他の選手に比べてレベルが高いわけではないので、今でも“底辺のルーキー”くらいの感覚でやっています。だから、「これ全然できてなかった」という発見が毎日のようにあるんです。
――RIZINに復帰したいと考えたことは?
【山本】もちろんありました。普通に動けて、女子選手や男子選手とスパーリングしていても問題なくやれていると、「また出たい」という気持ちは常にあります。
■「ジャングルの土の上でも構わない」山本美憂が語る、戦いを続ける理由
――今回はオーストラリアでプロボクサーデビュー戦が決まりました。ライセンス取得の経緯を教えてください。
【山本】日本では年齢の問題もあってライセンス取得は不可能なので、まずアメリカでアマのトーナメントに出ようとしましたが、MMAでプロとして試合をしているため、土壇場で「アマの大会には出られない」とNGになってしまいました。州によってルールも違うと思うのですが、知り合いのオーストラリアでMMAジムをやっている会長さんにボクシングの話をしたところ、「探してあげる」と言ってくださり、オーストラリアでプロとしてやる流れになりました。
――オーストラリアでのボクサーライセンスは、試合までに取得する形になるのですか。
【山本】そうですね、試合までに取得します。相手選手はボクシングの公式データサイトにプロフィールがあり、その「次の試合」の欄に私の名前がすでに入っているので、自分のプロフィールも、試合前か試合後には反映されると思います。
――オーストラリアで試合をするのは初めてですか。
【山本】仕事で行ったことは2回ほどありますが、試合をするのは今回が初めてです。日本とは季節が逆で今は暖かく、3月末頃は暑すぎず寒すぎずのちょうど良い気候だと思います。
――オーストラリアのライセンスで、日本のリングに立つ可能性は?
【山本】そこはまだ分かりません。ただ、日本のファンの皆さんにも私の試合を見てもらえるような形になったらうれしいです。本当は、ボクシングでは新人なので、ジャングルの土の上のリングでも構わないくらいで、「どこでもいいからいい試合がしたい」という気持ちでした。
――試合が決まってから、練習の雰囲気は変わりましたか。
【山本】相手のハイライト映像を見ながらコーチと作戦を立てるようになり、練習も一層「試合モード」になっています。
――この試合は日本からも視聴できそうでしょうか。
【山本】配信ストリーミングはあると思います。意外としっかりした大会なので、そのあたりは確認しますが、オーストラリアは時差もほとんどないですし、日本からも見られる形になるはずです。
――MMAの打撃と、拳だけのボクシング。最も違いを感じている点はどこですか。
【山本】ボクシングはタックルも蹴りも寝技もなく、拳だけの世界なので、その分「ボクシング一択」で戦わなければなりません。距離感や駆け引き、相手がどこで“餌”を撒いているかなど、すべてを拳だけの中で組み立てる難しさがありますが、そこが大好きですし、教科書のページを一つずつめくるように知識を増やしていけるのがうれしいです。
――グローブや打ち方など、純粋なボクシングへのシフトは順調ですか?
【山本】もともとMMAの頃からボクシングの試合ばかり見ていて、YouTubeでもずっとボクシングの映像を見ていました。今はそこに集中できるので、より楽しいですね。
――好きなボクサーや、参考にしている選手は。
【山本】サウスポーを勉強することが多くて、(ワシル・)ロマチェンコや、今話題になっている(ジャーボンテイ・)デービスなどのサウスポー選手の試合をよく見ています。
――いま盛り上がっている日本人ボクサーもチェックしている?
【山本】もちろん。3月15日にWBCタイトル戦が決まっている岩田翔吉選手とは、彼が小さい頃からうちジム(当時のKILLER BEE)に通っていた縁があって、一緒に映像を見て研究したりしています。畑中健人選手も練習やアドバイスでお世話になっていて、松本流星選手もサウスポーなので参考にさせていただいていますね。また、かつてRIZINで同じ大会に出た那須川天心選手もサウスポーで、彼のボクシングの試合もただ応援するだけじゃなく参考にしながら見ていて、本当に「すごいな」と思うし、活躍はうれしいですね。
■今も胸に残るKIDさんの教え「試合を断るな。引退を宣言するな」
――美憂選手のプロボクサーデビューのニュースには、「年齢は関係ない」「好きなことに挑戦する姿が素晴らしい」といったポジティブな反応が多くありました。
【山本】そうなんですね。私は年代や性別はあまり気にしていません。やりたいけどブレーキをかけている人たちが、「この人、いきなりこんな挑戦をしちゃうんだ」と私を見て、年齢とか性別とか関係なく一歩を踏み出すきっかけになってくれたら、すごくうれしいです。失敗を考えるのも大事ですが、「やらなかった後悔」の方が大きくなるなら、思い切ってやってしまった方がいいと思います。
――長年のキャリアの中で、年齢による変化や体の変化は感じますか。
【山本】怪我はありますが、それは年齢というより格闘技をやっている以上、当たり前のもの。蹴られれば折れることもありますし、怪我は付きものです。練習では「疲れるまで追い込む」のが当たり前なので、疲れないと意味がないと思っています。
――今回の挑戦について、息子のアーセン選手の反応は?
【山本】心配はしていると思いますし、いつも「気をつけて」と言われますが、それでも私が止まらないことをアーセンは分かっているので、最終的には応援してくれています。現地にもアーセン、次男のアーノン、娘のミーア、マネージャーの中野ちゃんと一緒に行く予定です。ミーアはこの前カットマンのセミナーに参加して勉強もたくさんしてくれているので、今回はセコンドに入ってもらいます。ミーアは本当は一番気が強いから格闘家に向いてるんだけど(笑)、ずっとチームをサポートしてくれて、今ではチームに必要な存在です。
――弟の“KID”徳郁さんがこの挑戦を聞いたら、なんと言ったでしょうか。
【山本】絶対止めなかったし、「やるよね」と背中を押してくれたはずです。KIDから教えられたのは、「試合を断るな」。誰かとのオファーが来たら一応考えるけれど、基本的に「NOと言うな」と言われていました。それと「引退を宣言するな」。ただRIZINの時だけは、今まで応援してくださったファンの方々に「前の試合が最後だった」と後から知られるのは申し訳ないと思い、けじめとしてあの場で区切りをつけました。でも、ファイターとして戦いからの引退は宣言しません。
■MMA初戦は黒星、今度は必ず白星を――
――10年前にMMAに転向されて、RIZINではいい時期もあればなかなか勝てない辛い時期もありました。ボクシングも順調にはいかないと覚悟していますか。
【山本】そうですね、私は別にエリートでずっと来たわけでもないし、昔から名前は出てたけど戦績はむしろヒドい部類に入るんで。でも、毎回の試合でちょっとでも自分らしさが出ればと思っていたし、MMA初戦は黒星だったけど、ボクシング初戦は絶対に勝ちます!
――RIZIN引退試合の伊澤星花戦後は、「やりきった」という充実感よりも、「練習でやってはいけないと分かっていたことを本番でやってしまった」と反省の言葉が多かったと記憶しています。その思いは今も残っていますか。
【山本】もちろん残っています。いっつも私が負ける試合って、大体「いいところまで行って、最後にやってはいけないことをやってしまう」というパターンが多くて、それを乗り越えたいというのが今の大きな課題です。練習ばっかり強い“練習チャンピオン”って言われるのも、イヤなんで(笑)。
――ボクサーとしてのキャリアで、何か大きな目標は設定していますか。
【山本】立場的に「一戦一戦」がすべてです。目の前の試合に全力で向き合い、毎日悔いのないように練習して、しっかり勝ってリングを降りる。それに尽きます。MMAのときは、子どもたちがまだ小学生で「腕や足を折ってしまったら、この子たちの生活はどうなるんだろう」と常に考えていました。他の選手のように「リングで死んでもいい」とは思えず、「母親が第一で、その上で選手をやらせてもらっている」という立場でした。そのため、タップすることに迷いがなかった部分もあります。でも、今は子どもたちも大きくなって、「私が腕を折っても大丈夫でしょ」という感覚があります。今回はどんなことがあっても勝ちに行く、完全に“自分主体”のわがままなマインドになっています。
――もしボクシングで結果を出し続けたら、ボクサーとしてRIZINの舞台に戻る可能性もありますか。
【山本】榊原さんが「面白い」と思ってくだされば、可能性はあると思います。ただ、自分からストーリーを作って売り込むつもりはなく、自分の試合内容や生き方で人を引きつけていれば、「上がってよ」と声がかかると信じていますし、その時は迷わず上がります。
――昨年の大みそか大会では、美憂選手が過去に戦った伊澤選手とRENA選手の試合も話題になりました。あの一戦はどう見ましたか。
【山本】久しぶりに女子の試合があれだけ盛り上がって、RENAちゃんがいてくれて本当に良かったと思いました。接点はないし一緒に出かけたこともないけど、ずっと同じ時代を戦ってきたので、RENAちゃんがいてくれる存在感で安心できます。
――美憂さんが新しい挑戦をすることも、RIZINで戦う女子ファイターにも刺激になっていくと思います。
【山本】そうですね、期待してくれる人がいっぱいいると思うので、まずは怪我なくリングに上がること、その上で“ボクシングらしい試合”をして、必ず勝って帰ってきます。顔が多少ボコボコになっても構いません。結果にとことんこだわって戦います!
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