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「ハクナ・マタタ」で見送られたい――葬儀屋が舞台のドラマ『終のひと』主演・柿澤勇人さんに聞く、“もしも自分が死んだら?”

エンタメ
2026-02-15 08:00

少子高齢化やコロナ禍の影響もあり死や終活が身近になる中、「自分の葬式をどうしたいか?」という問いは、誰にとっても避けて通れないテーマになりつつある。


【写真で見る】柿澤勇人さんや、“バディ”役を演じる西山潤さんとの撮影裏ショットも・・・ドラマストリーム『終のひと』より


現在放送中のドラマストリーム『終のひと』では、余命宣告された破天荒な葬儀屋・嗣江宗助が“異色のバディ”梵孝太郎と共にさまざまな死や遺族と向き合いながら、現代社会の家族や孤独、老い、喪失、再生を描く。


同作で銀髪に髪を染め上げ、体当たりで嗣江役を好演しているのが、俳優の柿澤勇人さんだ。高校生の時に課外授業で見た「劇団四季」のミュージカル「ライオンキング」に衝撃を受け俳優の道を志し、同劇団に入団。退団後も、舞台やドラマなどで幅広く活躍し、俳優歴20年目になる。


役作りのために10冊以上の葬儀関連書籍を読み込んだと言う柿澤さんに、リアルな死生観や理想の葬式、ドラマ初主演を経て得たものについて、熱く語ってもらった。


図書館通いで知った“葬儀のリアル” 「完璧じゃなくていい」という発見

――今回、役作りに際して葬儀に関する資料を読んだと伺いました。印象に残った記事や資料などはありましたか?


四国の方だったと思うのですが、代々葬儀社を継いでいる方の本で、その中で葬儀というものを赤裸々に、堅苦しくなく語っていたんです。エピソードを織り交ぜながら、いろいろな葬儀ごとに思い出をただひたすら語っている、という本でした。ちょっとした“面白エピソード”みたいなものもあったり。


例えば、メイク(死化粧)をしたいという遺族が、実際にメイクをしてみたら全然生前の本人に似ていなくて、結局皆で笑って終わったというエピソードもありました。ちょっとほんわかするような、“厳かな”という印象ではなくて、とてもリアルに沿った内容が印象的でしたね。


納棺の儀に関しても、全部をきっちりかっちり、美しく完璧にしなければいけないというような正解はなくて、今回、役としてはもちろん完璧にしたいと思っていたのですが、実際は必ずしもその必要はないと書かれていて、少しホッとした部分もありました。


――役作りの際などは、いつも図書館に行かれているのでしょうか?


昔からよく行きますね。村上春樹さん原作の舞台「海辺のカフカ」(蜷川幸雄演出・初演2012年)で僕が演じたカラスという役は、抽象的な役だったんです。


僕は解離性同一性障害だと仮定して、主人公が生み出した“もう一つの人格”みたいな風に考える中で、その勉強をすごくしましたね。本当に膨大な数の本があって、学んでいくのが面白かったです。


――今回ご葬儀関連の本は何冊ぐらい借りられましたか?


少なくとも10冊は借りましたね。図書館に冠婚葬祭コーナーみたいなコーナーがあって、そこに毎週通っていました。職員の方には「葬儀屋の人かな」と思われていたかもしれません(笑)。


一般向けの葬儀の本と、納棺師が書いた本と、葬儀社の方が書いた本があって、葬儀社の本も、その中でのいろいろな仕事を紹介していたり。仏壇を売る方の本や、お墓を作る方の本、葬儀のお花屋さんの本など、本当に多岐にわたって紹介されていて、読んでいると段々全部がつながっていく感じもありました。


死去した祖父が写真に?! 親族皆との共通体験がもたらした“死生観”

――今回、柿澤さんの“死生観”についても伺いたいと思います。これまで役としてもさまざまな「死」と向き合ってこられた中で、ご自身の中では「死」についてどのような考えをお持ちですか?


僕は役や作品とは関係なく、個人的にはあまり死に対して“怖い”というような感覚を今は持っていないんです。かといって、今すぐ死にますと言われたら、それは怖いと思いますし、死にたくないとは思うのかなと思いますが、眠っている間の記憶ってほとんど残らないじゃないですか。だからそれがずっと続くだけなんじゃないかなと思っているんです。


でも一方で、何か魂のような、霊的なものが残るというのは、実は信じています。なぜかと言うと、僕が実際に体験したんですよ。


僕の母方の祖父が亡くなったタイミングと、僕の兄が大事な試験に合格した時期がちょうど重なって、その時に開かれた食事会の際にデジカメで撮った集合写真を現像したら、真ん中に兄がいて同級生が周りにいて、その右上辺りに僕の祖父がいたんです。本当に、顔も、そのまんま祖父で。


親戚が集まっている時に誰かが見つけて、「うわー!おじいちゃんじゃん‼」となって。それでそのあと話していて、祖父は兄のことをとても心配していたので、きっと応援していたから写真に写りにきたんじゃないかって。僕らの勝手な解釈かもしれないですが、明らかに説明できないなと感じた出来事でしたね。


だからというわけではないですが、毎年必ずお墓参りに行きます。


理想の葬式BGMは「ハクナ・マタタ」 “葬儀屋”を演じて強くなった思いも

――今回の葬儀社の社長である嗣江を演じられて、何かご葬儀に対する見方の変化などはありましたか?


先ほども話した祖父が亡くなった時は、うちの母を含めて祖父には娘が3人いるのですが、みんなで父親がどういう人間だったのか、語っていたんです。どんな戒名を付けるかの話もしていましたね。


みんなで「その人がどういう生き方をしていたのか」「どういう人間だったのか」というのを語り合う場でもあるのかなと、その時に感じました。


今回葬儀屋を演じることになって、作品自体でもそうですし、読んだ資料の中でも、故人と遺族がどういう関係だったのか、故人がどのようにして生きて、どのようにして死んでいったのか、ということを語り合って、それを忘れないようにするためのものが葬儀なのではないかというのは感じましたね。


何かが変わったというよりは、その感覚がより強固になったという感じです。


――まだだいぶ先のことにはなると思うのですが、ご自身の中で“こういう葬儀にしてほしい”というような希望はありますか?


自分と密に接してくれた方々と、一緒にその場を共有できたらいいなとは思いますね。僕はその時もう死んでいるとしても。


一般葬(通夜から告別式、火葬までを行う伝統的な形式)だとしても、そんなに大きくもなく、来たい方に来ていただいて、というような感じでいいんじゃないかな。


――今はご葬儀で流す音楽や遺影に使う写真も、ロックやポップスだったり写真をスライドショーで流すなど変化があると聞きます。柿澤さんはどのような音楽や遺影がいいですか?


どうでしょう…難しいですね…。(少しの間考えて)「ハクナ・マタタ」ですね!「ライオンキング」の。“心配ないさ”と(笑)。


写真は、誰かが携帯とかで撮ったいい感じの笑っている写真がいいですね。


『終のひと』が人生の分岐点となる作品に

――今回の作品で、ご自身にとって初挑戦されたことなど、“初めて”だったことはありましたか?


“初めて”は、もういっぱいありました。今回主役という大役を頂いているので当たり前なのですが、こんなに連日ロケで朝から晩までというのも初めてでしたね。


ドラマの現場にはたくさんのスタッフの方がいて、常にセッションしながらという感じで、俳優はあくまでも「俳優部」でしかないということも改めて感じましたね。毎回現場が変わって、位置が変われば、照明の方も、「このシーンでこの役だったら、こっちから明かりは当てないかな」というように、常にセッションするんです。


舞台だと劇場に入ってから3日、4日で仕上げてゲネプロ(本番と同じ条件で最初から最後まで通す最終リハーサル)をして、本番へGOという流れで、テクニカルなスタッフさんと会うのはだいたい本番の1週間前ぐらいからなんです。


それがドラマだと、常に密にコミュニケーションを取ります。いろいろなスタッフの方の力や働きを現場で間近で見られるのも初めてで新鮮でしたね。


――ご自身にとって、この『終のひと』という作品は、どのような存在になりましたか? 


僕が役者を今後も5年、10年やっていくとしたら、必ず、この作品のことを話していると思います。結果として、何かが変わったというのは、未来のことなのでその時になってみなければ分からないですが、僕の中で“何かが変わる”作品ですし、今はまだ感覚ですが、“そこから分岐してこうなった”と、この作品については一生話すと思います。


――この作品を通して、次につなげていきたいなと思ったことはありますか?


一人じゃ何もできないんだな、というのは今回すごく思いました。


スタッフやキャストの方々ともっともっとコミュニケーションを取らなければだめだなと思いましたし、自分一人では何もできないことを痛感しました。周りに対しての思いやりみたいなものを持つことが、本当に大切だと改めて思いました。


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